楽天モバイルが2020年4月、MNOのサービス開始に合わせて、自社ブランド名を冠した小型スマートフォンした「Rakuten Mini」を世に送りだした。ディスプレイが3.6型で、手のひらに収まるほどの小型ボディーに、FeliCaやeSIM搭載というニッチな端末だ。
筆者は発売から数日後にRakuten Miniを入手し、そのサイズ感に驚いたのを鮮明に覚えている。当時、メイン端末にしていたのはドコモの端末だが、サブ回線かつ超小型なサブ端末を探していた筆者にとって、Rakuten Miniの登場は好機逸すべからずで、なんとしても実機を使いたい、と感じた。
それから約3年。長く使い続けていると、当初のワクワク感や満足感は次第に薄れ、そろそろ違う機種は出ないものかと思い始めた。そんなときに飛び込んできた、楽天モバイルによるサムスン電子製の縦折りスマホ「Galaxy Z Flip4」の取り扱い開始、というニュースを目にした筆者はRakuten Miniを手放し、Galaxy Z Flip4への機種変更を決意した。
なぜそうまでして小型スマホから折りたたみスマホへ変えたのか、長年使ったからこそわかった利点と欠点、そしてRakuten Miniでは得られないGalaxy Z Flip4の魅力を語りたい。
そもそもRakuten Miniがどれくらい小型なのかチェックしていきたい。
サイズは約53.4(幅)×106.2(高さ)×8.6(厚さ)mm、重量は約79g。幅70mm台前半、重量150から200g程度ある一般的なハイエンドスマホと比べると、Rakuten Miniがいかに小さくて軽いかが分かる。
しかし、その分だけ画面サイズは小さく、設定から文字サイズを変更したとしても、大画面スマホよりは表示領域が圧倒的に狭い。そう感じるのは地図やWebなどの閲覧時。楽天Edy残高がそこそこ大きく表示されるなど、かなりストレスに感じた。
そして、最も不便に感じたのがキーボードでの入力。特にテンキーからQWERTY配列のキーボードに切り替えると、個々のキーがテンキーより小さく、指でタッチしづらい。キー1つ分の大きさは身近なものだと米粒1つか2つほどしかなく、ましてやこの小さいキーボードでの早打ちは至難の技だ。10キーに切り替えて入力してみても、押しづらさは変わらなかった。
本体が小さい分、カメラもそれなりのものだ。アウトカメラは有効約1600万画素で、昨今のハイエンドスマホと比べるとかなり劣る。昼間ならほぼ問題ない仕上がりだが、暗所にはかなり弱い。F値は2、ISO感度は最大で6400、手ブレ補正にも対応しない。写真を撮るには物足りないと感じる。
実際にRakuten MiniとGalaxy Z Flip4で撮り比べてみたが、花はRakuten Miniの方がGalaxy Z Flip4よりも実物に近い色味になるが、人物や風景となると、Galaxy Z Flip4の方が格段にきれいな仕上がりとなる。特にRakuten Miniで撮影した人物の写真は輪郭が分かりづらく、顔全体が暗くなってしまう。なお、全てズームイン/アウト、フォーカス合わせをせずにそのまま構えて撮影している。風景もピンボケして、うっすらと建物があるかどうかを認識できる程度だ。
Rakuten Miniを手放す決め手になったのがバッテリー容量だ。バッテリー容量は1250mAhで、連続待受時間は約160時間、連続通話時間は約5.4時間。実使用で約半日以上、バッテリーが持ったことがなかった。バッテリーセーバーを使って極力使うアプリを減らしたとしても、長持ちといえるほどの改善効果が見られなかった。
仮に裏ぶたを開けてバッテリーを交換できたとしても、バッテリーをその都度交換する手間がかかる。そのコンパクトさゆえにバッテリーが長持ちしない、というのはRakuten Mini最大の欠点かもしれない。
過去にユーザーへ告知することなく、対応バンドを変更していたことにも触れておきたい。製造時期によってLTE(FD-LTE/TD-LTE)通信の対応周波数帯(Band)が異なったり、一部ロットで「技適」の不適切表示が判明したりと、好印象を抱けなかった。対応バンドの少なさも、これまで度々指摘されてきた。
他にも、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長(参入当時:楽天の会長兼社長)が端末発表時に自慢げに話していた、eSIMオンリーという独特な仕様も、筆者にとってあまり好都合な仕様ではなかった。それは昨今の度重なる通信障害でデュアルSIMがほしい、と感じたからだ。
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