世界を変える5G

5G品質が最も安定しているのはソフトバンク、前回首位のドコモを上回る 英Opensignalが調査

» 2023年04月27日 18時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
Opensignal 4g 5g 速度比較 分析担当バイスプレジデント、イアン・フォッグ(Ian Fogg)氏

 世界のモバイルネットワークのユーザー体感を分析している英Opensignal(オープンシグナル)は4月26日、日本国内大手通信事業者4社の5Gネットワークのユーザー観点での調査結果をまとめた、「日本モバイル・ネットワーク・ユーザー体感調査レポート2023年4月」を公開した。調査期間は2022年12月1日から2023年2月28日まで。同日、分析担当副社長のイアン・フォッグ(Ian Fogg)氏がレポートの内容を解説した。

 本レポートでは最新の日本国内通信キャリア4社、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルにおける5G通信の速度とビデオ、ゲーム、音声アプリ、ダウンロードスピード、アップロードスピードの5項目に分け、日本のユーザーが主に使うというiPhone、Galaxy、AQUOSなどを使用し、調査を行った。

動画やゲームの体験はソフトバンクが首位 

 まずは4Gや5Gを含む全体的なネットワーク体感レポートから解説した。Opensignalはユーザー体感を測定する場合に「ビデオ体験」「ゲーム体験」「音声アプリ体験」「ダウンロードスピード体験」「アップロードスピード体験」について調査した。

Opensignal 4g 5g 速度比較 全項目の評価

 ビデオ体験とは5Gでの動画ストリーミングを指す。この項目ではソフトバンクがトップとなり、平均フルHD画質で解像度を担保し、中断せずにストリーミングし続けたという。100点満点中、ドコモは76.9、KDDIは75.6、楽天モバイルは73.6と、ソフトバンクよりもやや低いスコアとなった。

Opensignal 4g 5g 速度比較 ソフトバンクがビデオ体験の項目でトップとなり、中断せずにストリーミングできたという

 ゲーム体験に関して、100満点中89.1点で首位になったのもソフトバンク。大多数がソフトバンクのネットワークによる体験を評価した証だという。次いでKDDI、楽天モバイルとなり、最下位はドコモだった。

Opensignal 4g 5g 速度比較 ゲーム体験もソフトバンクがトップとなった

 音声アプリ体験はSNS(LINE、WhatsApp、Skype、MetaのMessenger)が快適に使えるのかを示す。この項目ではドコモとKDDIとソフトバンクが82点以上を獲得したが、楽天モバイルも小差ですぐその後を追うような結果となった。

Opensignal 4g 5g 速度比較 音声アプリ体験は小差となった

ダウンロードとアップロードの平均速度で首位は?

 5Gのダウンロードスピードは平均的に最も速いのがドコモの204Mbps。次いで楽天モバイルが174.4Mbps、ソフトバンクが131.3Mbpsとなり、最下位は112.4MbpsのKDDIだった。

Opensignal 4g 5g 速度比較 ドコモが平均的に最も速いダウンロードスピードとなった

 5Gアップロードスピードの平均は楽天モバイルがトップの29.5Mbps。次いでソフトバンクの21.2Mbps、KDDIの14.2Mbpsで、最下位となったのがドコモの9.2Mbpsだ。

Opensignal 4g 5g 速度比較 楽天モバイルが平均的に最も速いアップロードスピードとなった

5G利用率と到達率はauとソフトバンクが高評価

 5G利用率は5Gサービスの広がりを示す尺度を示す。これはユーザーが有効な5Gに接続している時間の割合を示すもので、KDDIが5.5%から9.3%、ソフトバンクが5.9%から8.4%、ドコモが4.5%から6.1%とこれらの3キャリアが大幅に向上し、前回の調査からわずか6カ月で驚異的な上昇を見せたとしている。

 ユーザーが5G接続できる場所の割合を示す5Gの到達率については、KDDIとソフトバンクが10点満点中4.3点と肩を並べた。ドコモは3.9点だが、楽天モバイルは最下位の1.4点と極めて低い。

Opensignal 4g 5g 速度比較 5G利用率
Opensignal 4g 5g 速度比較 5G到達率

一貫して高い品質なのは?

 一貫性という項目は一般的なアプリケーション要件をサポートするため、ネットワーク上でのユーザー体験がどれほど十分だったのかを示す。Opensignalはダウンロード速度、アップロード速度、遅延、ジッタ(信号のゆらぎ)、パケット損失、サーバ初期応答時間に加え、試行テスト(ダウンロードコンポーネントかサーバ応答コンポーネントのどちらかで接続の問題が発生し、成功しなかったもの)の割合を測定した。

 その結果、ソフトバンクが首位に輝き、次いでドコモ、KDDIが続く。楽天モバイルが最下位となった。

Opensignal 4g 5g 速度比較 一貫した品質ではソフトバンクがトップで、ドコモ、KDDI、楽天モバイルが続いた

 素晴らしい品質はHD解像度動画の視聴、グループ会議通話、ゲームのプレイに最低限必要なパフォーマンスのしきい値を満たしたユーザーのテストの割合を示す。こちらもソフトバンクが首位となった。ちなみに、前回の調査で同項目はドコモが首位だった。

Opensignal 4g 5g 速度比較 素晴らしい品質も同じ順に並んだ

5Gは日本が後発 世界に比べ優位性なし

 イアン氏は「1社が他社を大きく上回る結果が複数出る、とはならなかったが、ダウンロードスピードはドコモ、アップロードスピードは楽天モバイルが首位だった。通信事業者、分野ごとに異なる測定値が出たことになる」と全体を振り返る形でコメントした。

 一方で、5Gネットワーク品質については「日本の5Gが世界と比べて後発のため、必ずしも優位性があるとはいいづらい」との意見を述べた。

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