「FCNT経営破綻」の衝撃 arrows/らくスマ販売好調でも苦戦のワケ、穴を埋めるメーカーは?石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2023年06月03日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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FCNT不在の端末市場はどうなる? メーカーの入れ替わりはあるか

 FCNTは現在、民事再生法に基づき、経営を支援するスポンサーを募っている。もし引き受け先が見つかれば、arrowsやらくらくスマートフォンなどの開発は継続できる可能性がある。逆に、このままスマートフォン市場から姿を消してしまう恐れも残されている。気になるのは、今後、arrowsやらくらくスマートフォンに変わる端末が登場するのかということだ。

 エントリーモデルやミッドレンジのarrowsが抜けた穴は、複数のメーカーで補うことができるだろう。特にエントリーモデルは、フラグシップモデルほどの機能差がないからだ。一方のらくらくスマートフォンやらくらくホンは、簡単には代替が効かないモデルといえる。ブランド自体はドコモが所有しているが、FCNTのノウハウが詰まっているからだ。こうしたシニア向け端末のユーザーに向けたサポート体制も、FCNTが構築していた。

FCNT らくらくスマートフォンには、FCNTのノウハウが凝縮されていた

 例えば、らくらくスマートフォンには、使い方を学べるアプリだけでなく、ガイド本も付属している。有償にはなるが、ユーザーの自宅を訪問し、使い方をレクチャーする「らくらくコンシェルジュ」もFCNTのサービスとして展開されている。端末を見ても、物理キーのようにカチッと押し込める「らくらくタッチ」や、撮影した花の名前が分かる機能など、シニアユーザーの必要とする機能が多数搭載されていた。次に同シリーズを手掛けるメーカーによっては、このようなノウハウを承継できない可能性がある。

 シニア世代の多様化を受け、ドコモはよりアクティブな層に向けた「あんしんスマホ」も2022年に投入している。このモデルは、FCNTではなく京セラが製造を担当している。そのノウハウで、らくらくスマートフォンの製造先を切り替えられそうだが、当の京セラも、2025年までにコンシューマー向けのスマートフォンから撤退する意向を表明済み。ドコモは、シニア向け端末のメーカーを一挙に失ってしまった形になる。ドコモにはシニア世代が多く、先に挙げた端末別の内訳を見ても、その割合はハイエンドモデルより大きいだけに、対応を急ぐ必要がある。

FCNT らくらくスマートフォンとのすみ分けを狙ってドコモが導入したあんしんスマホだが、開発元の京セラも2025年までの撤退を表明している

 キャリアの要望をくみ取ったカスタムモデルを作れるメーカーは、意外と少ない。特に昨今の地政学的な事情から、キャリアはこうした端末を日本のメーカーに発注する傾向が強まっている。残る日本メーカーはシャープとソニーの2社。ただ、Xperiaでハイエンドモデルに注力するソニーが、らくらくスマートフォンを手掛けるとは考えづらい。こうした状況を踏まえると、シャープに発注が集中する可能性もある。

 また、6月1日には、米国に拠点を構えるOrbic(オルビック)が日本市場への参入を表明した。上陸第1弾となる「Fun+ 4G」はオープンマーケットモデルだが、同社もまた、キャリアから発注を受けた端末を黒子として開発している。米国では、最大手キャリアのVerizonと協業。「通信事業者と一緒にやっていくことの経験は、かなり積んでいる」(Orbic Japan ダニー・アダモポウロス社長)と、対応への自信をのぞかせた。日本メーカーの選択肢が減る中、キャリア側も端末戦略の見直しを迫られそうだ。

FCNT 6月に日本に参入するOrbicのFun+ 4G。同社も米国などではキャリアモデルを手掛けており、日本展開の意欲を示している
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