なぜドコモがサブブランドを新設せず、あくまでドコモの料金プランとして、irumo/eximoを発表するに至ったのか。その狙いと背景を6月20日の発表会で、NTTレゾナント パーソナルサービス事業部担当課長の木藤暢俊氏、ドコモ 営業戦略部長の山本明宏氏、営業戦略部の江原綾花氏が語った。
先にも述べた通り、発表の目玉となるのが、エコノミーMVNOに参画していたOCNモバイル ONEへのテコ入れ。ドコモの料金プランの1つとなったirumoの登場に伴い、ドコモはOCN モバイル ONEの取り扱いを6月26日に終了する。既存ユーザーは継続利用が可能だという。
エコノミーMVNOの強化はオンライン料金プラン「ahamo」の発表会で、ドコモの代表取締役社長、井伊基之氏が明らかにしたもの。大容量プラン、中容量プラン、小容量プランの大きく3カテゴリーに分けている。山本氏はこの三層戦略を「ユーザーのライフスライルに合わせて提供すべく、無制限もしくは大容量プランをギガホプレミアム、中容量プランをahamo、小容量プランをギガライト/エコノミーMVNOとして提供している」と振り返る。
このうち、小容量にはギガライトとエコノミーMVNOが混在している状態となっており、特に5Gギガライトで月間データ使用量が1GB以下の場合、割引適用前が3465円、割引適用後でも2178円と割高となっていた。「社会や生活様式が大きく変化したことで、リモートワークが普及しつつあり、大容量のデータ容量を求める声がある一方で、物価高騰も顕著になり、毎月負担する通信費を抑えたい」という声も挙がっているという。
そういった声に対しては、エコノミーMVNOのOCN モバイル ONEで応えてきたドコモだったが、木藤氏によるとスマホを利用する人の内、半数程度が毎月3GB未満で済んでいることがドコモの調査で分かったという。さらに、「docomoブランドで小容量のプランを提供してほしい」「ドコモのサービスとセットで使いたい」「ドコモショップ店頭でサポートを受けたい」といった声が多かったと木藤氏は語る。
ドコモがdocomoブランドとは別のブランドを新設し、その中でいくつかのプランを提供するサブブランドとしなかったのも、ドコモの料金ブランドとして提供する必要があったからだという。
エコノミーMVNOもドコモの料金プランに位置付けられてはいるが、あくまでサービスを提供しているのは第三者のMVNO。docomoブランドでは「これまで十分に応えられていなかった小容量を強化」(山本氏)し、irumoでそうしたユーザーの声に応えたというのが今回の発表の注目点だ。単にブランドを新設するよりもドコモとして料金ブランドを3軸展開することで、「こんなドコモを待っていた、と感じてもらいたい」と山本氏は述べた。
ギガホプレミアとギガライトを統合したイメージのeximoは、家族間通話の多いファミリー層、外出先で多くのデータを消費する学生、ドコモショップ店頭でのサポートを求めるシニア層、大容量コンテンツを楽しみたい人に向けたプランで、「多様なニーズに応えられるワンプランでありながら、ファミリー割引や店頭サポートに加え、「爆アゲ セレクション」の提供など、ドコモのサービスをフルに受けられる」(江原氏)としている。
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