Metaは7月6日、テキスト共有アプリ「Threads(スレッズ)」をリリースしました。
SNSとしてまだ荒削りな部分も多く、まずは最低限の機能でローンチしたという印象ですが、Twitterでは閲覧制限が課せられ、Twitterの使い勝手が悪くなったタイミングでのリリースということもあり、わずか5日で登録ユーザー数が1億人を超えるなど、大いに盛り上がっています。Instagramをベースにしており、登録のハードルが低かったということもあるのでしょう。
SNSとしては大きなシェアを誇るTwitterですが、イーロン・マスク氏の買収以降、サードパーティーアプリの締め出しやAPIの利用制限、そして大規模な人員整理など、さまざまな出来事が目まぐるしく起きています。7月24日にはブランドを「X」に変更することも発表されました。ユーザーからすると、先行きが不安になるのも仕方がないところです。
Threadsの登録が伸びたのも、こうした背景があるのは間違いありません。では、このままThreadsがTwitterにとって変わるのかというと、そう簡単な話でもなさそうです。
Twitterの代替サービスという話はしばしば話題に上がっており、最近ではBlueskyやPost Newsなどが挙げられます。少し前にはMastodonも大きな話題となりました。いずれのサービスも一定のユーザーを獲得しています。
しかしこれらのいずれも、Twitterに取って代わるほどの勢いはありません。サービス開始直後には、一時的な盛り上がりを見せていましたが、しばらくして自然と収束していった印象です。また、この盛り上がりに関しても「Twitterの代替えになる」「これはこういうことに使えるサービス」という投稿での盛り上がりだったようにも思います。
これに対してThreadsは、筆者が見ている範囲での話にはなりますが、既にTwitter同様に何気ない投稿が多く、普通に使われている印象です。多くの企業も投稿を行っており、他のサービスが経験した導入時の一時的な盛り上がりは抜けているのかもしれません。ただ、Twitterと同じ内容をThreadsに投稿している人も多くいるので、どちらをメインに使うか、あるいはどう使い分けるかを模索している最中ではあるようです。
また、ベースにInstagramがあることから、TwitterとInstagramのユーザー層の違いについてもよく指摘されています。Twitterから流れてきたユーザーは、思い思いに雑多な内容を投稿。これに対してInstagramから来たユーザーはキラキラな自撮り写真などをよくアップしている印象です。
現在、Threadsのタイムライン(公式にはフィードと呼ぶそうです)はアルゴリズムによる表示となっているので、フォローしていない人の投稿も表示されています。このため、深刻な対立が発生している……とは言いませんが、早くフォローしている人だけが表示されるタイムラインが欲しいという声は多いです。
幸い、Threadsを主導しているMetaのアダム・モッセリ氏によると、フォローしている人だけのフィードや、ハッシュタッグ、本文検索などの機能については取り組んでいるとのこと。リリースまで、まだしばらく時間はかかるようですが、フォロー限定のフィードができれば、うまくユーザーのすみ分けも行われそうです。
Threadsが勢いを増す一方で、Twitterも危機感を感じているのか、閲覧制限をそうそうに解除した様子(特に発表はありませんが)。また、7月4日には旧TweetDeckが使用できなくなりましたが、現在は復活しています。使用できなくなっていたのが一時的なものなのか、あるいは現在一時的に使えているだけなのかは定かではありませんが、このようにコロコロと仕様変更を行うのも、現在のTwitterに不安を覚える要因の1つです。
とはいえ、完全にTwitterに見切りをつけられるのかというと、そんなことはなく、このまま正常化するのであれば、Twitterを使い続けたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
Twitterが復活し、それを取り巻く無数のSNSという構図になるのか、あるいはThreadsがTwitterを追い落としMetaがSNSの覇権を握るのか。結果が出るのはもう少し先になりそうです。
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