変化が乏しい「OPPO Reno9 A」が先代より130%売れているワケ 貫いた開発思想に迫る(1/3 ページ)

» 2023年08月10日 10時26分 公開
[石野純也ITmedia]
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 OPPOの「Reno9 A」の販売が好調に推移しているという。同機は、6月22日に発売されたReno Aシリーズの最新モデル。日本市場に特化した“専用機”としての特徴はそのままに、「Reno7 A」で導入した背面加工の「OPPO Glow」をガラスに進化させた他、メモリも8GBに増量している。ソフトウェアには、新たに「Dynamic Computing Engine」を採用。メモリを効率的に利用し、消費電力を抑制しながら、バックグラウンドアプリの動作を安定させる。

OPPO Reno9 A OPPOの最新スマートフォン「OPPO Reno9 A」

 一方で、発表時には、そのスペックに賛否両論の声が広がっていた。プロセッサに、Reno7 Aと同じSnapdragon 695を採用しており、90Hz駆動の有機ELディスプレイやバッテリー容量、カメラなどの仕様も据え置きになっていたからだ。円安基調の為替相場や、物価高の中、価格を前モデル並みに維持した点は評価されていたものの、新機種としてのインパクトに欠けていた点は物議をかもした。

 一般的な端末購入のサイクルを踏まえると、Reno7 Aを購入したユーザーがReno9 Aを手に取ることはまれだが、経年でラインアップを追っている人にとっては、物足りなさが残ったのだろう。とはいえ、メーカーがこのような仕様で端末を投入するには、何らかの思惑があるはずだ。その理由を、オウガ・ジャパンで専務取締役を務める河野謙三氏と、プロダクト企画担当の齋藤裕明氏に聞いた。

SNSで言われていることと真反対に売れている

―― Reno9 Aを6月に発売しましたが、反響はいかがでしたか。

河野氏 ありがたいことに、予想通り、ご好評をいただいています。Reno7 Aとは販路が違うので具体的な数字を挙げるのが難しい部分はありますが、言葉を選ばずに言うと、SNSで言われていることと真反対に売れているのが実態です。

 Reno7 Aは前年の同じ時期に発表、発売していますが、それと比べると売れ行きが130%になっているというデータもあります。われわれの読みが当たったところもありますし、6年間ビジネスをやってきて、OPPOのスマホに対しての安心感なり、気軽にご購入いただける風土のようなものが育ってきたのではないでしょうか。お客さまに認めていただけたのだと思います。

OPPO Reno9 A オウガ・ジャパンの専務取締役、河野謙三氏

―― SNSで積極的に発信するのとは違う層に響いているということなのでしょうか。

河野氏 毎回同じ話しかしていないと思われるかもしれませんが、私もガジェット好き、スマートフォン好きなので、どうしてもスペックに注目しがちです。特にAndroidスマホはスペックのありきのところがあり、数字勝負になっている部分があります。ただ、われわれは開発の際に、あまり数字は言わないようにしています。どういう方にお買い求めいただき、どういうシーンでお使いになるかを最初に想定し、そこからスペックを決めていくことに注力しています。

―― スペック的な変化が少なかったのは、そのターゲット層が変わっていなかったということですか。どのような人を想定しているのでしょうか。

河野氏 とにかくいい写真が撮れて、ゲームの時に熱ダレすることなく、なおかつリフレッシュレートも高いものを求めている方――ではありません。日々撮る写真もPCで大きく写すのではなく、スマホの中で完結する。そういった日常的な使い方をするような人に寄り添って製品を開発しました。

Snapdragon 7シリーズにすると価格が上がる ただしメモリは増量

―― 個人的には、チップセットが同じだった点が、変わっていない印象を強くしてしまったような気がしています。このスペックを上げるのは難しかったのでしょうか。

河野氏 7シリーズだと、そこで値段が上がってしまいます。Snapdragon 695と7シリーズでどれだけ体験価値が向上するのか。スマホ全体が成熟期に入っているのだと思いますが、Reno Aシリーズをお買い求めになる方は、デザインや触り心地を気にされます。あとは、やはり価格です。ミドルレンジの価格で出すことを考え、今回はSnapdragon 695という選択になりました。

齋藤氏 企画にあたって考えたのは、やはり価格です。これまでReno Aシリーズをお求めになった方や、これからReno Aシリーズをご検討される方を裏切らない価格をまず設定し、実際にどういうことに使われているのかのインタビューを繰り返しました。どの程度のサクサク感が求められるのか、どの程度のカメラの使い方なのか、どういうゲームをされているのかといったことを考慮し、そのニーズを満たせて、かつ価格を満たせるものとして今回のチップを選定しています。

 その上で、デザインはOPPO Glowが好評だったので、そこを進化させようということで素材をガラスにし、RAM(メモリ)も8GBに上げています。メモリを上げたのは、いろいろなアプリが使われているからです。(Reno Aのユーザーも)ゲームはしますし、写真や動画も撮る。普通にスマホを使う人が、どういう使い方をするのかを確認した上でのスペックです。

OPPO Reno9 A オウガ・ジャパンのプロダクト企画担当、齋藤裕明氏

―― メモリを増量したことで、そこまで体験が変わるのでしょうか。

齋藤氏 サクサク度が何十%上がります、ということはありませんが、日々使うカメラを起動する際や、ブラウザを起動する際のもたつきを気にされる方は多い。価格にミートする中で何かこれを改善できないかということで、8GBにしています。確かにチップセットをSnapdragon 7シリーズに上げれば性能は向上しますが、その分、価格も大きく上がってしまいます。

―― Reno Aシリーズには仮想メモリの機能もあり、今回は16GBまで拡大できるようになりました。これを使うと、サクサク感は向上するのでしょうか。

齋藤氏 仮想メモリはあくまで仮想なので、RAMそのものを16GBにするのとは(挙動が)異なりますが、何も割り当てていない状態と比べると、起動速度などが上がります。立ち上がりまでの時間を見比べても速くなっているので、日常のサクサク感は実感できると思いますね。

OPPO Reno9 A 仮想メモリを活用することで、16GBまでメモリを拡張できる
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