docomo Certifiedとは、ドコモ自身が取り扱う状態のいい中古品。独自の基準や30日間保証を設け、ケータイ補償サービスにも加入できるのが特徴だ。もともとiPhoneから販売をスタートしたが、2023年3月から、Androidにもラインアップを拡大した。ただ、「われわれが扱っているものは需要が大きく、供給が追い付いていない」(営業本部 営業戦略部 営業戦略担当課長 和泉浩明氏)。Androidも好評で、「入荷するとすぐに売り切れてしまう」(同)状況だ。確かに、ドコモオンラインショップをのぞくと「在庫なし」の表示が目立つ。iPhoneはさておき、Androidはラインアップもまだまだ少ない。
こうした中、いつでもカエドキプログラム+を始めることで早期の端末返却を促し、docomo Certifiedを充実させていく。キャリアは、下取りした端末を中古業者などに売却していたが、那須氏によると、docomo Certifiedを使って、ドコモ内で流通が完結する端末の「割合を増やしていきたい」という。いつでもカエドキプログラム+はまだ始まったばかりで、すぐにラインアップが増えるわけではないが、1年後、2年後を見据えた取り組みといえる。
ただ、これまでのいつでもカエドキプログラムとは異なり、いつでもカエドキプログラム+の利用には、補償サービスの「smartあんしん補償」が必須になる。発表時には、「ここで帳尻を合わせているのでは」との声も聞こえてきた。ドコモの営業本部 アフターマーケットビジネス部 戦略・企画担当課長の田中和宏氏は、こうした見方を否定し、次のように語る。
「今日に至るまで、スマホの高額化が進んでいる。持ち運びする分、スマホは他のものよりも破損のリスクも高く、smartあんしん補償は相当に高い割合でご契約、ご利用いただけている。そこ(加入率)を引き上げるというより、ユーザーのニーズに対応できているかどうか、提供価値を再検討した結果、セットにすることにしたい」
もともと利用率が高いサービスだったこともあり、必須にしただけではARPUの引き上げにはならないというのが田中氏の考えだ。また、端末の「故障時に買い替えたいというご要望がある」(那須氏)ことも踏まえての結果だという。smartあんしん補償のような補償サービスに加入していないと、下取り前に修理が発生してしまい、負担感が大きく増してしまう。1年での買い替えに加え、2年を迎える前に故障した際の買い替えも考慮し、このような建て付けになったという。
買い替えサイクルの短期化や、ハイエンド端末への需要拡大につながりそうないつでもカエドキプログラム+だが、この仕組みが一般化すれば、ドコモの端末ラインアップが変化する可能性もある。これまでは、「本当はハイエンドを使いたいが、価格を考え、ミドルレンジや廉価モデルを使っている方もいた」(同)からだ。冒頭で挙げた電気通信事業法の改正で、ミドルレンジの割合が急増。ハイエンドモデルは、ラインアップ自体も縮小している。
また、1年で買い替えられるとうい安心感があれば、ユーザーも新しいコンセプトの端末を気軽に試すことができる。市場が広がれば、ドコモやメーカーも商品企画でチャレンジがしやすくなるはずだ。Galaxy Zシリーズのようなフォルダブルスマホは、その一例。那須氏も、端末の「バリエーションは広がっていく方向になるのではないか」と期待を寄せる。開発コストに制約のあるミッドレンジモデルが増えた結果、メーカーは差別化がしづらくなった。結果として、店頭には似たり寄ったりの端末がズラリと並んでいる。いつでもカエドキプログラム+の提供で、その状況を変えられるのかに注目していきたい。
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