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パケ詰まりはなぜ起こるのか(前編):都内で4キャリアの通信速度を測定した結果(1/2 ページ)

» 2023年09月17日 06時00分 公開
[島徹ITmedia]

 2022年あたりから、スマホのパケ詰まりと呼ばれる通信速度の低下や通信エラーに関に遭遇する機会や、その不満を口コミで耳にする機会が増えている。傾向としてはドコモに関するものが多い。そこで、都内で4社のスピードテストを行い、なぜパケ詰まりが起こるのかを考えた。

パケ詰まり コロナ禍後に外出や旅行が復活してから「パケ詰まり」と呼ばれる、通信速度の低下やエラーが話題になっている

 「パケ詰まり」と呼ばれる現象にもいくつかの種類がある。現在問題となっている現象は、都市部のエリア内だが通信が極端に遅い、または通信エラーが発生してしまうというものだ。

 主な原因は、人が多く集まるエリアでの通信の混雑によるものだ。イベント会場や都市部の朝夕のラッシュアワーなど、同じエリアに多くの人が集まって同時にスマホの通信を利用すると、そのエリアをカバーしている基地局と電波で処理できる通信容量に混雑が発生するというものだ。

パケ詰まり 東京ビッグサイトに1日13万人が来場した夏のコミケ(コミックマーケット102)では、4社とも移動基地局を設置したが、SNSではドコモを中心としてパケ詰まりに関する投稿が見られた

 ただ、このパケ詰まりについて詳しい情報はあまり発信されていない。ドコモは7月28日に公式サイトに新宿、渋谷、池袋、新橋の品質改善状況について掲載した他は、決算発表で1ページ触れる程度にとどまっている。いずれも基地局の設備容量の増強により品質を改善するというメッセージを発信しているが、発生している箇所はこの他にも聞かれるだけに、もう少し現状や今後の情報も欲しいところだ。

パケ詰まり NTTドコモ「2023年8月9日2023年度 第1四半期決算について」より

 そこで前半となるこの記事では、実際の都市部の有名スポットの速度テストと、そこから各社の通信ネットワークやトラフィックにどのような傾向が見られるかを確認する。また、今後掲載する後半では、各社の5G展開方針や、移動中のパケ詰まりのテスト、コロナ禍を挟んだ日本のトラフィックや生活の変化などからパケ詰まりについて考察していく。

東京都心の有名エリアについて、4社の通信速度を計測する

 まずは、4キャリアの都市部の通信状況について、簡単ながら都内の人が集まる有名スポットにてスピードテストを実施した。テスト端末はiPhone 14 Proを使い、Speedtest.netにて同一のサーバで計測している。

 表では下り100Mbps以上を青の背景色、下り20Mbps未満の箇所に赤の背景色を挿入した。通常は10Mbps台の速度が出ていれば問題なく使える。だが、テスト地点は人通りの多い場所であり、やや混雑のレベルで下り10Mbps台だと混雑のピーク時に「パケ詰まり」と呼ばれる速度低下や通信エラーが起こる可能性が高くなるといっていい。

パケ詰まり 都内で実施したスピードテストの結果
パケ詰まり 新宿駅東口付近のアルタ前など都心でも知名度が高く人通りの多いスポットで、ある程度人通りの多い時間帯にテストを実施した

 この表と、さらに各社のエリアマップを一緒に見ると、広帯域かつ高速な5GのSub-6帯エリアが展開されているスポットでは、パケ詰まりの原因となる通信の混雑があまり見られない。これは4社とも共通している。

 中でもKDDIとソフトバンクは、5Gのエリア展開に4G転用の5Gも積極的に用いているものの、都心の混雑エリアは実際の接続周波数やエリアマップを確認する限り、高速な5Gエリアを整備していることが多く、ほとんどのテスト地点で5Gに接続できた。また、ソフトバンクは上りが平均的に高速だ。

 ドコモは後からエリアマップも確認したところ、混雑が予想される有名スポットでも高速な5G、同社で言う「瞬速5G」を展開していないエリアが多かった。このテストでは、銀座、新宿の歌舞伎町が該当する他、新宿のアルタ前も5Gのエリア端で速度も遅めだった。これらの地点でも建物内は個別に5G整備済みというケースはあるのだが、インフラのドコモというイメージからすると期待外れの感がある。

 楽天モバイルは、現在4Gエリアに重ねる形で高速な5Gエリアを拡大中だ。決算でも通信量の多い利用者が多いと発表しているが、テストでは4Gの下りだけが混雑しているエリアが多い。この混雑する通信を、今後短い期間で高速な5G基地局を整備して流せるかが現在の課題といえる。

「パケ詰まりは混雑が原因?」満員電車の出入りするホームでテスト

 冒頭の説明や先ほどのスピードテストでは、パケ詰まりは混雑による速度の低下が原因という前提で説明した。だが、本当に混雑で通信速度が低下するのか、実際に比較したことのある人は少ないだろう。

 そこで、日本の鉄道インフラでも混雑率の高い品川〜川崎間の東海道線の出入りを含む品川駅ホームで電車がやや混雑している20時台に、「ホームの人がまばらな状態」と「満員電車がホームに入った状態」の速度を比較した。

パケ詰まり 都内ターミナル駅ホームでのスピードテストの結果

 表の結果からは、前者の「ホームの人がまばらな状態」の方が明らかに高速という結果になった。後者の「満員電車がホームに入った状態」は、ドコモが下り4Mbps台、楽天モバイルが下り1Mbps未満と苦戦した。テストは20時台だが、本当のラッシュ時間帯の朝夕には、4社ともパケ詰まりが起きてもおかしくない数値だ。

 品川駅の東海道線の場合、混雑した15両の電車には2000人前後が乗って動画などを視聴しており、これがホームに停車すると人口と通信量が急激に増加する。他の路線の電車が止まるとさらに増える。都心のターミナル駅のホームは、数分ごとに数千人規模の大規模イベントやライブが行われたり、ガラガラになったりという状況が繰り返されている場所といっていい。

パケ詰まり 品川駅ホームは上部の多くをコンコースや工事現場の構造物がふさいでおり、ホーム内の設備の充実度を含めた通信の混雑の差が出やすい環境といえる。なお、品川駅ホームは5G時代に限らず、4Gやそれ以前から混雑で速度が遅くなりがちだ。通勤で利用している人の中には、つながらないスポットという認識の人もいるだろう
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