値上げだが、PayPayでお得になるソフトバンク新料金「ペイトク」 ただし“無制限”プランには疑問も石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2023年09月30日 10時30分 公開
[石野純也ITmedia]

経済圏とのシナジーをより強固にしながら、データ容量の選択肢を拡大

 ただし、メリハリ無制限も廃止にするのではなく、「メリハリ無制限+」に衣替えをした上で継続する。「それでもPayPayを使わないという方もいる。お父さんは使うが、お子さんは使わないという方もいるので、メリハリ無制限+は残した」(同)というのが、その理由だ。PayPayカード割が加わった分、素の料金は187円高くなっているが、後述する容量制限を除けば、ほぼ同様のスペックで利用できる。

ペイトク メリハリ無制限はメリハリ無制限+になって継続する。シンプルに大容量通信を使いたいときには、こちらの方が料金は安い

 こうしたサービスの仕様から、単純に値上げで通信料収入を上げるためというより、PayPayを含めた経済圏の拡大を強く意図していることが読み取れる。「5000数百万というところまでPayPayの利用が進んできたが、そこをしっかり生かしていったところに大きな市場がある」(同)というのが、ソフトバンクグループ全体での狙いだ。

ペイトク PayPayの経済圏を生かしていきたいと語るソフトバンクの寺尾氏

 このシナジー効果を加速させるため、10月3日にキャンペーンも開始し、ポイント還元率を各プラン3倍に増加させる。ペイトク無制限であれば、還元率が15%になるため、2万7000円の決済で上限額の4000ポイントを受け取ることが可能だ。寺尾氏によると、PayPayユーザーの平均月間決済額は約3万5000円。「ほぼほぼみんなが最大のポイントを得ることができる」(同)。

ペイトク 2024年2月まで、ポイント還元率を3倍にアップさせるキャンペーンを実施する。上限の金額は変わらないため、より少ない金額で上限に達しやすくなる

 ソフトバンクは、メリハリ無制限などの料金プランでも、「ソフトバンクプレミアム」として還元率が大きく向上するPayPayクーポンを配布している。PayPayカードやPayPayゴールドカードで通信料を支払うと、ポイント還元される仕組みも導入済み。さらに、「エンタメ特典」を利用すると、NetflixやHulu、DAZNといったサービスをソフトバンク経由で契約するとPayPayポイントが還元される。既にシナジー効果を出すための取り組みは、導入されていたといえる。

ペイトク
ペイトク スーパーPayPayクーポンやエンタメ特典といった既存のサービスも継続。ペイトクの登場に合わせ、還元を強化する

 一方で、寺尾氏には、「取り組んでいる内容がうまく伝わっていない」危機感があった。確かに、PayPayクーポンはお得さがある半面、ユーザーが自ら取得する必要があり、見逃してしまえば還元を受けられない。その他のポイント還元も、サービスが分散しているため、トータルでどの程度お得になっているのかが分かりづらい。「料金に(ポイント還元を)組み込むことで、より分かりやすいサービスができるのではないか」(同)と考えたのが、ペイトクの導入に至った経緯だ。

 料金自体は上がっているが、寺尾氏は「今までの無制限(メリハリ無制限+)は残しているため、(新規獲得に)マイナスの影響はほとんどないと思う」(同)と語る。無制限プラン一本だった大容量プランに30GB、50GBの選択肢を設けたのは、Y!mobileなどの低・中容量とソフトバンクの無制限が「極端に離れすぎていた」(同)からだ。PayPayとの連携と合わせて「中容量から大容量までをしっかり取れるようにしたい」(同)といい、Y!mobileとの差別化を図る狙いも透けて見える。

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