しかし、中村氏は「日本のみならず世界的に割り当てがあっても実際に使い切れていないことが最大のデメリットであり、結果として5Gの良さが知れ渡らないことにもつながっている」との持論を述べる。
5Gの商用サービス開始当初の2020年、5Gを活用したイベントは主にメディアや技術系の関係者が対象となっていたが、「これでは一般に広く浸透しづらい」と踏んだのだろう。ただ、体験イベントではミリ波というワードや技術説明を極力行わないという。あくまで「ドコモの5Gを自然に体験できる場」としたいようだ。
中村氏は「ドコモがこのようなイベントを大阪など他の地域でも行う必要がある」とした上で、「もっといえば国際的にも日本の5Gをアピールしなければならない。ドコモの取り組みによる影響を受けるステークスホルダーとも協力して、日本から世界に向けてもユースケースの具体的な内容を伝えていかなければならない」と普及に向けた意向を示す。
さらに、「ドコモ1社だけがミリ波を強く推しても、早期普及につながらないことから、われわれとして費用対効果を考えながら、今回のようなイベントをさまざまな場所で開催し、5Gミリ波の認知訴求につなげたい」と補足的に説明した。ミリ波のユースケースが認知され、ミリ波エリアの拡大が進めば、ミリ波対応の端末が増え、ミリ波の特性をより実感できる機会が増えるというのが、ドコモの考えのようだ。
ただ、会場で配られるスマートフォンの画面や、会場に掲示されているポスターには一般ユーザーが分かりやすい形で、「ドコモの5Gがどのように役立っているのか」が記載されていないため、筆者はこのイベントが「エンタメコンテンツの体験イベント」と認識されて終わるのではなかろうか……と危惧する。ドコモとして「5Gミリ波が必要になる場面をもう少し分かりやすく示す」工夫がもう少しあってもいいのでは? と感じた。それゆえに5Gのミリ波の特性を広く認知させることの難しさも見えた。
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