世界のスマートフォンのトレンドとして、もはや珍しいものではなくなったフォルダブル。日本ではまだ普及しているとはいえないが、2023年は複数のメーカーが新モデルをリリースしたこともあり、関心を持っている人は少なくないだろう。
フォルダブルには「縦開き」と「横開き」の2タイプあるが、幅広いユーザー層に支持されているのが“縦開き”だ。そこで、8月25日に発売されたモトローラ製の「motorola razr 40 ultra」と、9月1日に発売されたサムスン電子製の「Galaxy Z Flip5」を使い比べてみた。
まず、両モデルの主要スペックを比較しておこう。
パッと見の大きさは同等に見えるが、ディスプレイはmotorola razr 40 ultraの方が大きく、本体サイズもわずかに大きい。プロセッサはGalaxy Z Flip5が1世代新しいものを搭載している。メインで使うアウトカメラのスペックは互角。防水性能はGalaxy Z Flip5が高く、FeliCa(おサイフケータイ)に搭載していることもアドバンテージと言えよう。
見た目のサイズ感はほぼ同じだが、手にすると印象はかなり異なる。motorola razr 40 ultraは全体的に丸みを帯びて、手のひらで包むように握れる。一方、Galaxy Z Flip5は角張っていて、ソリッドな印象。手のひらで包み込む感じではなく、指の腹でしっかり握るという印象だ。
カラバリはmotorola razr 40 ultraはブラックのみ。正面は光沢があり、ツルツルとした手触り。背面はマットでサラサラとした質感だ。Galaxy Z Flip5はミント、グラファイト、クリーム、ラベンダーの4色から選べることが利点。正面はブラックで、背面のみカラーが異なる。背面パネルにもガラスを用いているが、光沢は控えめ。アルミを用いたメタリックはフレームも特徴となっている。
どちらのモデルも縦に長いディスプレイを搭載し、コンパクトに折りたたんで携帯できることが特徴。40代以上の人には折りたたみのガラケーのように、懐かしく思えるかもしれない。なお、Galaxy Z Flip5は「フレックスヒンジ」という新しいヒンジ構造を採用し、ほぼ隙間なく折りたためることも特徴としている。ただし、motorola razr 40 ultraも同じように折りたたみ時の隙間は気にならない。
閉じた状態で、さまざまな操作ができることも両モデルの特徴。外側ディスプレイはmotorola razr 40 ultraが約3.6型、Galaxy Z Flip5が約3.4型。motorola razr 40 ultraの方が大きいが、デフォルトでのコンテンツの表示領域はGalaxy Z Flip5の方が広く感じられた。
どちらも右側面に電源ボタンと音量ボタンを搭載。音量ボタンには指紋センサーが搭載されている。指紋認証の反応は互角と思えた。
外側ディスプレイの用途には結構差がある。motorola razr 40 ultraは、ほとんどのアプリを外側ディスプレイで起動可能。閉じたままでSNSをチェックしたり、メッセージを書いたり、動画を見たりもできる。さすがにゲームを楽しむには無理が生じるが、外側ディスプレイに最適化されたゲームアプリもプリインストールされている。
Galaxy Z Flip5の外側ディスプレイでは、カレンダー、天気予報、スピードダイヤル、アラームなど、閉じた状態での利用に適したウィジェットが使える仕組み。アプリは全てが使えるわけではなく、一部のアプリの起動を有効化できる。筆者が試した範囲では、プリインストールされているアプリでは「マップ」と「YouTube」が使えて、ダウンロードしたアプリでは「LINE」と「Netflix」が使えた。
閉じた状態でアウトカメラを起動して、自撮りができるのは両モデル共通。側面ボタン、画面のアイコンのどちらからでの起動でき、撮影サイズやモードなどの設定変更も可能。使い勝手は互角だ。
【訂正:2023年10月19日9時35分 初出時、motorola razr 40 ultraの閉じた状態での表示について誤った記述がありました。□(履歴ボタン)を長押しして、「全画面表示」を選択できる点を追記いたしました。おわびして訂正いたします。】
開いた状態で使う内側ディスプレイは、motorola razr 40 ultraが約6.9型で、Galaxy Z Flip5が約6.7型。motorola razr 40 ultraの方が若干広いが、視認性に大差はない。標準的なスマホよりも画面が広く、両モデルともに狭額縁なので、動画を楽しむ際に没入感を得られる。
どちらも途中まで開いた状態で、卓上に置いて使うことも可能。アプリによっては、そのスタイルに適した画面表示になる。Galaxy Z Flip5では、それを「フレックスモードパネル」と呼び、「カメラ」や「カレンダー」など、プリインアプリの一部が対応。初期設定では対応していないアプリも「設定」→「便利な機能」→「ラボ」で有効にすると、上半分が通常の表示で、下半分が操作パネルに切り替わる。
ただし、Galaxy Z Flip5の「ラボ」で設定できる機能は、あくまでも実証実験的なお試し機能。必ずしも使いやすくなるわけではなく、逆に不便になることもあった。
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