MediaTek、最上位プロセッサ「Dimensity 9300」発表 AIプロセッサ統合で性能アップ

» 2023年11月08日 13時12分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 台湾MediaTekは11月6日(現地時間)、フラッグシップのプロセッサ「Dimensity 9300」を発表した。同社史上最も強力な性能をうたう。同プロセッサ搭載スマートフォンは2023年末までに発売される見込みだ。

 TSMCの第3世代4nmプロセスで製造され、最大3.25GHzの動作速度のArm Cortex-X4コアを4基と、最大2.0GHzで動作するCortex-A720コアを4基搭載する。

Dimensity 9300 MediaTek 「Dimensity 9300」

 次世代のAIプロセッサ「APU 790」がDimensity 9300に結合され、整数と浮動小数点演算の性能を倍増し、消費電力を45%削減できるという。

 また、演算子の高速化を目的にTransformerモデルを採用。処理速度が前世代比で8倍高速になり、画像生成は「Stable Diffusion」を活用することで1秒以内に完了するという。Meta Llama 2、Baichuan 2、Baidu AI LLMなど、最先端の主要な大規模言語モデルにも対応する。

 Armの最新のフラッグシップGPU「Immortalis-G720」を搭載したDimensity 9300は、GPU性能が約46%向上し、消費電力を40%削減できる。

 写真については画像処理プロセッサ(ISP=Image Signal Processor)により、即時にぼかし具合いを調整可能な30fpsの4Kシネマティックモードや、4K AIノイズリダクション(AI NR)、RAW画像および動画のAI処理を可能にする。

 ディスプレイ性能に関しては180Hz駆動のWQHD解像度と最大120H駆動の4K解像度での表示が可能に。折りたたみスマートフォンでの動作をサポートする点も特徴としている。

 ネットワークについては最大6.5GbpsのWi-Fi 7をサポート。MediaTekのマルチリンク・ホットスポット技術により、テザリング使用時の通信速度が競合製品比で最大で3倍向上したという。5G R16モデムは4CC-CAサブ6GHzと8CC-CA mmWaveに対応し、MediaTekのUltraSave 3.0+技術で電力効率を向上させたという。

Dimensity 9300 MediaTek ニュースリリース

 MediaTekのジョー・チェン(Joe Chen)社長は「Dimensity 9300は、当社の『オールビッグコア』設計でフラッグシップスマートフォンのコンピューティング能力を大幅に向上できる。アーキテクチャとオンチップAIプロセッシングユニット(APU)の組み合わせにより、開発者はエッジAIや、ハイブリッドAIコンピューティング能力の限界に挑戦でき、生成AIの新時代を切り開ける」とコメントした。

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