楽天グループは1月25日、都内で「新春カンファレンス2024」を開催した。対象は主に楽天市場に出店する店舗だが、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏の基調講演が報道陣にも公開された。
三木谷氏は、楽天グループが昨今、何に力を入れているのかや、楽天市場への出店者が何に目を向けるべきか、そして、楽天グループの成長に欠かせないものが何かをテーマに楽天グループの強みを熱弁した。
基調講演の冒頭、三木谷氏は「今年(2024年)の元旦、大きな災害が発生した。能登半島地震で被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げたい」とした上で、楽天グループが復興に向けてどのように取り組んでいるのかを示した。
「楽天ふるさと納税では13億1142万円もの寄付をいただき、楽天クラッチ募金では2億9650万円の寄付をいただいた」
楽天モバイルでは移動基地局の設置や、スマートフォンなどを無料で充電できるサービスの提供、Wi-Fiルーターによるネットワークの無償提供、料金プラン(2024年1月〜3月分)などを無料にするなど、さまざまな取り組みを行ってきた。
イベントで三木谷氏が強調したのはAIだった。三木谷氏は「今日のテーマはなんと言ってもAI。2024年、楽天グループはAIエンパワーメントカンパニーへ進化する最初の年になる」と宣言した。
インターネットの誕生からこれまでの30年間で、スマートフォンやインターネットが世の中に浸透し、「店舗運営側の立場で言えば、実店舗だけで販売していた商品が、ECサイトなどで販売できるようになった」(三木谷氏)わけだが、AIは販売だけでなく、会社の在り方や人のマネジメントにも関わっていくという。
三木谷氏はこれを「インターネット以上の大きな革命になるのではないか」と話す。その革命には当然ながらコアとなるスマートフォンが必需品となり、そのためにも携帯事業、つまり楽天モバイルは欠かせない、との考えを前置きする。
どんなにテクノロジーが進化して、時代が変わったとしても、「自分の持ち物として、車かスマホのどちらを選ぶか、と皆さんに問うと、およそ9割以上がスマホと答えるはず。なぜならスマホは市場にも旅行代理店にも銀行にも学校にもなれるから」。三木谷氏は大げさながらスマートフォンの重要性を語る。
踏み込んで言えば、楽天グループはAIエンパワーメントカンパニーである前に携帯電話事業、楽天モバイルも手掛ける存在だとアピールする。
「携帯市場の民主化」を掲げる楽天モバイルは、低廉な料金で、高品質なネットワーク、しかも無制限に使える、これを大々的に訴求し、高止まりする携帯料金に歯止めをかけるべく、3社寡占状態だった日本の携帯電話市場に参入した。
そんな楽天モバイルと楽天市場の関係性は大きいようだ。三木谷氏は「楽天モバイル(MNOのみ)の契約数が2023年12月26日付で600万件を突破し、参入当初の2020年と比べて多くの人が利用している」とした上で、「楽天モバイルユーザーの全体の58.7%が楽天市場で買い物をしている」ことを明らかにした。「楽天モバイルのユーザーが増えるほど楽天市場での売り上げが増えていくし、流通総額が年間で1人当たり4万3521円となる」と三木谷氏は続ける。
決算会見や記者発表会でも繰り返し語られていることだが、それだけ楽天モバイルと楽天市場は楽天グループの相乗効果に欠かせない存在であり、コアとなる体感品質を上げるためにも楽天モバイルのネットワーク品質が今後さらに注目されるはずだ。
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