楽天市場や楽天モバイルを抱え持つ楽天グループの強みは何か。三木谷氏は次の3つを挙げる。
まず1つ目は楽天グループが持つ取引データだ。「楽天グループは、世界中を見ても類を見ないほど、膨大なデータを持つ企業である。楽天会員数が国内で既に1億を超え、2023年に6600億円相当のポイントを発行した楽天グループは、膨大な取引データを持つ」とアピールする三木谷氏は、「Googleには検索データがあるが、楽天グループのような取引データはない」と自社の優位性を語る。
ショッピング、トラベル、金融、モバイルなどあらゆる分野のサービスを1つの会員IDで使えることが楽天グループの強みであり、さまざまなデータが1つの会員IDでひも付いているという点においても、「世界的にまれな会社である」(三木谷氏)ことの表れだという。
2つ目は「Rakuten AI for Business」だ。これは楽天グループが米OpenAIと協業することで、提供できる新たなAIプラットフォーム。AIでオペレーションの効率化を図ったり、戦略の立案を行ったりするなど、人為的な作業の負担を減らすことがメリットといえる。
そして、3つ目は楽天グループが多国籍の従業員や、約6000人のエンジニアなどを持ち、世界7カ国9都市に開発拠点を設けていることだ。「世界中から専門知識を持ったエンジニアが6000人ほど集まっており、さまざまな開発を行っている」(三木谷氏)
そんな楽天グループがAIをどのように活用するのか。三木谷氏はいくつかの例を挙げ、具体的なユースケースを示した。
例えば、楽天トラベルではユーザーがチャット欄に「どこかいい旅先はあるか」と入力すると、AIコンシェルジュが「いつ旅行するのか」「ユーザーさんの予算ならこのお店がおすすめです」などと自動で回答。おすすめの宿泊施設の提示からカスタマーサポートの業務に至るまでを自動化できるという。AIコンシェルジュは今後、導入される予定だ。
楽天生命では代理店向けAIアシスタント「ARIA(アリア)」と生成AIが連携することで、自然な言葉で営業活動時の留意点や話題を提供できるという。例えば、「高額医療費制度について教えて」というユーザーの質問に対し、ARIAは主な特徴を箇条書きにして示す。「ARIAがユーザーの秘書代わりとなり、実際に話しているような体験を得られる」(三木谷氏)
楽天モバイルでもAIを活用している。ネットワークを利用可能な状態にするなどの作業を自動化することで、ネットワークの構築工数を大幅に削減している他、ネットワークの運用にAIを活用し、通信障害を未然に防いだり、障害発生後も迅速な復旧を目指したりできるという。
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