IIJmio「長期利用者向け特典」「中容量プラン」を検討 勝社長がコメント

» 2024年02月07日 17時41分 公開
[田中聡ITmedia]

 IIJ(インターネットイニシアティブ)が2月7日、2023年度第3四半期の決算について発表した。第1四半期〜第3四半期の累計総売り上げは2011億円で前期比85%増、累計営業利益は202.8億円で前期比7.9%増となった。ネットワークサービス、モバイル、SI(システムインテグレーション)ともに売り上げは堅調に推移しており、「中長期での業績拡大加速に向けた事業基盤の強化が着実に進展中」としている。

IIJ 第3四半期累計の決算概況

 モバイルサービスについて、第3四半期までの累計売り上げは341.4億円で前期比8.4%増となった。総回線数は463.5万に達し、前年からの純増数は66.7万。特に法人回線の伸びが好調で、累計売り上げは前期比19億円増の100.5億円、回線数は第2四半期から21.1万増の224.9万に達した。

 渡井昭久CFOは、「既存の取引をしているお客さまはドライブレコーダー、監視カメラ、タクシー搭載端末などの台数が増えている。新規の案件も獲得しており、双方で回線数が伸びていっている」と好調の要因を話す。

 個人向けのIIJmioについて、第3四半期までの累計売り上げは162.2億円で前年比2.8億円増。回線数は、第2四半期から1.6万増の123.9万に達した。「コンスタントに回線数は純増で動いているが、昨年(2022年度)よりもマーケットの流動性は落ち着いている」と渡井氏は見る。総務省調べによる、国内SIM型のMVNOマーケットシェアではIIJが1位をキープしている。ギガプランの契約数は99.5万回線に増え、旧プラン契約数は23.2万に減った。「訪日外国人向けのSIM、eSIMも展開しており、増加に寄与している」(渡井氏)

IIJ モバイル事業は個人と法人ともに堅調に推移している

 法人向けは、個人向けよりも回線数が多いながらも売り上げ規模は小さいが、「IoT案件は、トラフィックがあまり出ない。単価が低いものが集まる」(渡井氏)ため。「売り上げはコンスタントに積み上がっていく」とした。

 なお、2022年度の接続料が、2023年12月に「1万9979円」に確定した。2022年3月に将来原価方式で提示されていた「2万327円」よりも実際は減少したため、第3四半期に約1億円利益が戻った。なお、1年前の2022年度第3四半期は約5億円の戻りだったので、誤差は縮まっている。

 2023年12月末に「電気通信事業法第27条の3」のガイドラインが改正されたことを受け、IIJは規制の対象外となった。これにより、IIJでは端末値引きの上限がなくなり、長期利用者向けの特典提供も可能になる。勝栄二郎社長は、規制対象外の受け止めについて「中小のMVNOにとっては、いろいろな手続きが煩雑だったので、歓迎すべき話」とコメント。今後の施策については、端末値引きはこれまで通りだが、長期利用特典の提供を視野に入れていることを示した。

 「従来も、ガイドライン通りに端末を売っていたので、その点はこれから大きなことにはならないと思っている。長期利用者向けの還元は、規制対象外だが、そんな極端なことをするつもりはない」

 なお、キャリア各社は、端末返却を条件に、1〜2年間の実質負担額を抑える施策を走らせているが、「大きな影響は見受けられない」(勝氏)とのこと。「(端末の)残債を帳消しにするやり方は、法の穴を抜けたようなやり方だと感じているが、われわれはそういうことではなく、長期利用者に対してどういう還元ができるかを検討して参りたい」(勝氏)

 ここ最近、MVNOでも30〜40GBの中容量帯のプランを提供するサービスが増えているが、IIJmioのギガプランは最大20GB。これを超えるプランについて勝氏は「大量の利用者が増えているので、そういうニーズに沿った新しいプランは検討している」とコメントした。

IIJ 左から渡井昭久CFO、勝栄二郎社長、鈴木幸一会長

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