ここまでがKDDIと楽天モバイルの主な動きだ。では、楽天モバイルとASTの強みは何か。
アヴェラン氏いわく、衛星アンテナの大きさだ。ASTのBlueWalker 3には巨大なアンテナアレイがあり、大きさにして8メートル四方もあるという。「他システムでは5000機から4万機が必要になるところ、ASTの衛星なら衛星1基ごとのアンテナが巨大なため、わずか96機の衛星であっても、グローバルをカバーできる」とアヴェラン氏は胸を張る。
今後の打ち上げ計画について、アヴェラン氏は「2024年の第2四半期に衛星を5機打ち上げ、その後は四半期ごとの打ち上げ数を増やす」とした。
また、ASTが10億ドル以上の資金を開発に投じ、3100超の特許を保持していること、楽天モバイルのみならずAT&T、Vodafoneなどをはじめとする40の携帯電話事業者(MNO)と協力関係にあること、それにASTがGoogleとパートナーシップを締結したことをアピールした。
日本で衛星とスマートフォンの直接通信サービスが開始される2026年に、どの周波数が活用されるのかについては、「現段階(2024年2月)で決まっていることはない」(楽天グループ広報)というが、アヴェラン氏は「エリアに応じてどの周波数を出すか制御している」ことを明かした。
ASTは2022年11月14日にBlueWalker 3が、過去最大規模の693平方フィートに及ぶ商用通信アレイを地球軌道に展開することに成功したと発表しており、その強みは今後もアピールされる見込みだ。通信の遅延については、楽天シンフォニーの「Open RAN」を活用し、ソフトウェアで柔軟に修正するという。
楽天モバイルは、2026年のサービスインに向けて、福島県内に設置したゲートウェイ実験試験局の運用を開始し、北海道内山間部でBlueWalker 3とスマートフォンの直接通信について検証していく。ゲートウェイから衛星へ電波を発射し、そこから反射した電波を地上のスマートフォンがキャッチするイメージだ。
三木谷氏は「衛星か既存基地局のどちらを経由して通信しているのかを意識させないようにする」ことを明かしたが、サービスの詳細や料金体系が現行のプランと異なるのかまでは明言しなかった。
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