明治は2024年3月25日、チョコレート菓子「きのこの山」を模した完全ワイヤレスイヤフォンを報道陣に披露した。2023年7月に明治公式X(旧Twitter)アカウントで話題になった企画を商品化したもので、製品名は「きのこの山ワイヤレスイヤホン」。2024年3月26日12時からクラウドファンディングのMakuakeにて3500台限定販売する。価格は2万9800円(税込み)。
きのこの山を忠実に再現した本製品は、イヤフォンだけでなく充電ケースもお菓子のパッケージに近い見た目となっている。ふたを開けるとペアリングモードに自動で切り替わり、スマートフォンやPCなどとBluetoothで接続できる。
翻訳機能の搭載も特徴の1つで、74カ国語と70の方言・アクセントを翻訳できる。対応する翻訳エンジンはGoogle、Microsoft、Baidu(バイドゥ)、Nuance(ニュアンス)。発話者のイントネーションに最も適した翻訳エンジンが自動で選択されることで、リアルタイムかつ高精度な翻訳を行えるという。
企画は明治、販売はMakuakeが担当するが、開発と製造はイヤフォン型のリアルタイムAI翻訳機「Wooask」を手掛けるウェザリージャパンが行う。そのため、Wooask製品向けのスマートフォンアプリ「WasTrans」が、きのこの山ワイヤレスイヤフォンでも使える。
きのこの山ワイヤレスイヤホンのお披露目イベントには、俳優や歌手として活躍する森崎ウィンさんが駆け付け、本製品の所感を述べた。ショーケースから手に取ったイヤフォンを装着した森崎さんは、「外観だけ見ると、ザ・きのこだが、もし他人に紹介するなら実はイヤフォンだ、と説明したい」と話した。
「俳優としての仕事をする上で、ニュアンスが気になる」と話す森崎さんは、「すごく細かいニュアンスの表現に苦労した。普段の生活で通訳の人を介してコミュニケーションをすることはない。その場ですぐに表現したいけど、伝えられないときに、きのこの山ワイヤレスイヤホンが役立つ」と翻訳機能のメリットを語った。
明治グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部カカオGの杉山詩織氏は「明治のブランドとしてグローバル化を掲げており、ワイヤレスイヤフォンに翻訳機能も付けてグローバル化の象徴となるような商品にしたいと考えた」と商品化の狙いを話した。
本製品の形状は独特だが、装着感にもこだわったという。「本製品には大/中/小の3サイズのイヤーピースが付属する。装着感にもこだわりたく、市販のイヤフォンと同様に複数のサイズを用意した」(杉山氏)
気になる音質については、軽やかな曲調のポップスなら、ボーカルがクリアに聞こえ、バスドラムなどの低音域は少し響くようなイメージ。一方で、フルートやバイオリンなどの高音域はやや粗く、繊細な音の表現は厳しいという印象を抱いた。ほんの数分だけしか視聴できていないので、このあたりの所感は機会があれば別途、詳細にレポートしたいところだ。
きのこの山とたけのこの里は2023年現在も生産されているが、たけのこの里を模したイヤフォンは発表されていない。「既に(商品化の)構想はあるが、現時点で発表できることはない」(杉山氏)そうだ。今回発表の企画商品の「小売店での一般販売は予定していない」(杉山氏)という。
たけのこの里も言わずもがなれっきとした菓子だが、たけのこの里が完全ワイヤレスイヤフォンとして商品化されない理由は不明だ。明確な言及もない。筆者としては釣鐘(つりがね)型のたけのこよりも、傘のような形をしたきのこの方が、耳にフィットしやすいため、きのこの山がイヤフォンとして商品化されたのだろう、と考える。
きのこの山ワイヤレスイヤホンは明治が2023年7月に明治公式X(旧Twitter)アカウントの企画「明治のありそうでなかった雑貨」として公開。その時点では商品化のアナウンスはなかったが、明治に商品化を希望する声が多く寄せられたことから、11月に製品化の発表に至った。
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