「株主優待になぜPayPayポイント?」「LINEヤフーとのシナジーは?」 ソフトバンク株主総会の質疑応答まとめ(1/3 ページ)

» 2024年06月21日 17時51分 公開
[房野麻子ITmedia]

 ソフトバンクは6月20日、都内で第38回 定時株主総会を開催した。2023年度の事業が報告された後、今後の成長戦略を社長の宮川潤一氏が説明。また、定款の一部変更や役員選任など3つの議案について決議された。

 ここでは、主な質疑応答について紹介する。質問は、事前に専用サイトに入力されたもの、インターネット出席の株主から、来場した株主からの順で行われ、一部の質問には役員や創業者の孫正義氏が回答する場面もあったが、基本的に宮川氏が回答した。

ソフトバンク
ソフトバンク ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一。基本的に質問には宮川氏が回答した

ソフトバンクの強み、通信事業に関する質問

 まずは、本業の通信事業に関連する質問を紹介しよう。

―― 通信各社との競争において、ソフトバンクの強みを教えてほしい。

宮川氏 グループの中に、LINEで9700万人、Yahoo!で8500万人、PayPayで6400万人という、国民の大半が使っている国内最大規模のサービス群がある。それらとの連携が大きな差別化になると考えている。また、以前は一番の弱点ともいわれたネットワークも、品質向上に向けて、本当に地道な努力を続けてきた結果、第三者機関から「一貫した品質」のナンバーワンといわれるようになってきた。本当にありがたい話。MNPでもずっと純増を続けており、高い競争力を維持していると思っている。

―― 10年後、20年後のスマホ契約者数をどのくらいになると想定しているか。

宮川氏 今、ようやく3000万を超えたところで、もちろん、4000万、5000万と狙っていきたい。今、携帯電話の事業としては国内3位だが、いつまでも3位に甘んじるつもりはない。2位、1位と上を目指していきたい。AIを使う道具として、スマートフォンは非常に有利なポジションになると考えており、純増に向けて精いっぱいやっていきたい。

―― 首都圏震災時のBCP対策について聞きたい。

宮川氏 これは私の得意分野なので細かく説明したい。BCP対策として、強固なネットワークを作るため、投資を惜しまずやった時期がある。今、関東圏内と関西圏内に大きく2つの監視センターがあり、ネットワークの運用部隊が2分割されている。さらに、1カ所をシステム的に3分割している。その意味で、6か所のリダンダンシー(冗長性)が構成されている状況なので、首都圏に、もし本当に大きな地震が来ても、まずは関西に切り替わり、関西の中でも3分割しており、首都圏のデータを取り扱えるキャパシティーを持っている。対策は割としっかりやっているつもり。

―― 社会貢献として、官公庁などから出資してもらって、スマホ教室やパソコン教室を地域で開催できないか。

宮川氏 弊社はスマホ教室を年間100万回やっている。昨年、一昨年も100万回やり、今年も同じだけやろうと思っている。ソフトバンクショップの他、学校に訪問したりして、無償で行っている。

 われわれの目指す世界観は、年齢によって情報格差が生じてはいけないとこういうこと。情報機器に触れる機会がなかった高齢の方々を中心に、スマホ教室を開催させてもらっている。ショップで言っていただければ、すぐ教室にご案内するので、ぜひショップへ行っていただきたい。

生成AI、国内の競合他社よりは大きなモデルが出来上がっている

―― AIデータセンターをシャープの堺工場に作るというニュースを見た。どれくらい投資するのか。収益化できるのか。

宮川氏 交渉中のため、具体的な金額は現時点では決まっていない。確定次第、お知らせしたい。

 堺工場はわれわれが進めている次世代社会インフラの中核の拠点として最適だと考えている。堺工場の土地や建物だけではなく、電源や冷却設備といったデータセンターの稼働に必要な設備も合わせて譲り受ける方向で交渉している。データセンターの新設を新しくやろうとすると、土地の購入から建物の建設、電源設備の構築まで、早くても3、4年、最近は5、6年かかる状況。堺は早期に稼働させることが可能で、急増しているAIデータセンターのニーズに応えられると考えている。

 AIデータセンターの収益化については、次期の中期経営計画の中でお話ししたい。期待していただきたい。

―― AI計算基盤への投資は、将来に向けて大変重要だと思う。投資はいつ、どのような形で収益へとつなげられるか。

宮川氏 AI計算基盤はさまざまな収益化の方法がある。まず、GPUの計算能力などを企業、研究機関に貸し出すこと、いわゆるIaaS(Infrastructure as a Service)というビジネスモデルがある。現在、GPUの計算能力は、AIの普及によって世界中で争奪戦になっており、これでも投資回収は十分できると考えている。

 それに加え、AI計算基盤で自社のAIプラットフォームやAIのサービスを開発し、企業やコンシューマーに提供するPaaS(Platform as a Service)やSaaS(Software as a Service)というビジネスモデルもある。IaaSで十分、投資回収は見込めており、PaaSやSaaSが立てついてくると、収益は全て利益の上振れにつながってくる。これらの収益について、次期の中期経営計画でお話したい。期待していただきたい。

―― AIの活用が進むことで、電力消費が大きくなると聞く。それに対してどのように取り組むのか。

宮川氏 AIをいかにうまく活用できるかが、日本の発展において非常に重要だと考えている。一方で、AIの活用には電力の消費が伴う。これに対してソフトバンクは、まずAIを活用して省エネに取り組んでいく。それとともに、将来的にはエネルギーを作る側にも回っていきたいと考えている。

―― ソフトバンクが提供する大規模言語モデル(LLM)の他社との差別化について聞きたい。OpenAIのような海外のLLMと比較して、ソフトバンクのモデルはどのように優れているのか。

宮川氏 当社が開発しているLLMは、日本語をベースとして開発しているので、日本の商習慣、文化、歴史などをきちんと理解し、ビジネスや日常生活の中で自然なやりとりができるLLMとなる見込み。日本語ネイティブから見て、自然な形でやりとりできるということは、海外のLLMに対する差別化のポイント、また強みになると考えている。これからいろいろと肉付けをしていきたい。

―― 海外でのアライアンスは積極的だが、国内の方はどうなのか。AI関係で、国内の会社と提携することはあるのか。

宮川氏 当社の他、NTTさんや学術系のところで、今、生成AIはできつつあるが、世界のOpenAI、世界のGeminiと比べると、日本の生成AIはまだまだ。ただ、やらない選択肢はないということで、われわれはやるという結論を出した。なぜかというと、やれるスタッフがいて、やれる体力があるから。日本独自の生成AIに関わっていくことについて、ソフトバンクとしてチャンスがあるなら、やるべきだということで始めた結果。

 今、(国内の)他社さんよりは、かなり大きなモデルが出来上がっているが、世界と比べればまだまだ小さな位置付け。国内のどこかの生成AIと手を組むとか、そういう段階には、まだない。5年、10年もたって、組めるところがあれば組んでいきたいと思うが、今の段階では、どうせ組むならOpenAI、どうせ組むならGeminiとやりたいというような感じ。

 通信会社同士でいえば、例えば、宿敵のKDDIさんと一緒に5G JAPANというジョイントベンチャーを作っているような時代。これから先、何が起こるか分からない。今までの敵は今日の友、のような感じで、組んでやっていくということもありえるかと思う。貪欲にアンテナを広げながらやっていきたい。

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