「株主優待になぜPayPayポイント?」「LINEヤフーとのシナジーは?」 ソフトバンク株主総会の質疑応答まとめ(3/3 ページ)

» 2024年06月21日 17時51分 公開
[房野麻子ITmedia]
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孫取締役への質問も 生成AIのアイデアが半年で16万件集まった

 ソフトバンクの株主総会では、創業者で取締役の孫正義氏を回答者に指名した質問が出てくることもある。ここでは孫氏の回答を中心に紹介しよう。

ソフトバンク ソフトバンク 創業者 取締役の孫正義氏

―― ソフトバンクグループ株価が上がりうれしく思っている。なかなか上昇しないソフトバンクの株価も上がるように、何か一手を打っていただけないか。

孫取締役 ソフトバンクも結構上がっている。1500円ぐらいで公募して、その後に下がって、今は2000円弱ぐらい。結構、頑張っていると思う。

 宮川社長も言っているように、業績そのものを上げることが一番大事。中期経営計画も着実にこなしていて、自信があるということなので、僕は皆さんと同じ株主の立場で、ソフトバンクが着実に増益を続けながら、その結果、株価が上がっていくことを確信している。

―― 新規分野への投資についての考え方を知りたい。ソフトバンクグループと投資に関する分担をしているのか。また、ソフトバンクグループの投資先で実績が伴ってきた企業に、ソフトバンクとして投資することはあるか。

宮川氏 積極的に何でもやろうと思っている。今ようやく、悩んでいた携帯電話料金の値下げの影響がひと山超えたので、今度は攻めに出ようと考えている。これからの投資先は、やはりどうしてもAI関連の会社になっていく。AIのサービスも含めて投資していきたい。孫社長のソフトバンクグループの投資のサイズ感ではないが。

 社内で開発することも、株式として投資して連携することも、同じく試験研究費の一環だと考えているので、投資の機会があれば積極的に投資していきたいと考えている。

孫取締役 ソフトバンクは、宮川君を中心に、日本のユーザー、未来のために、収益をより確実に積み上げていくという観点から、効率のいい投資をこれからも続けていくべきだと思う。

 一方、ソフトバンクグループとしては、僕の性格もあるが、次の大技を狙って、当たるか外れるか……この間もWeWorkで1兆円ぐらい損したが、当たるか外れるかをいとわないぐらいの仕掛けを、特に海外を中心にダイナミックにやっていく。新しい進化の種を見つけに行くのが、ソフトバンクグループの1つのダイナミズム。その代わり、当たるも外れるも大きいかもしれない。

 ソフトバンクは、日本国内に何千万人のユーザーがいるという強み。そして日本のユーザーや投資家に、直接的に成果をお届けする役割という分担。

 ただPayPayのように、海外で培ったスタートアップ、あるいはアリババ、それらのノウハウと、国内の営業力、ユーザー数、そのミックスによってより強い相乗効果が見込めるものは、ソフトバンクグループとソフトバンク、LINEヤフーが三位一体となって、それぞれが資本を出し合ってリスクを取りに行った。

 結果、今、PayPayが非常に伸びている。これは大きな投資のリターンも得られると思う。柔軟に連携しながら、それぞれの強みを生かす。こういうことは、これからも度々出てくるんじゃないか。特に生成AIについては、グループとしても、海外で仕掛け始めている。国内も、ここが次の大きな勝負所になると思う。いい意味での連携を深めていきたい。

―― ソフトバンクグループ全体として、事業を開発していく目利きの人材はどうやって育てていくのか。せっかくの機会なので、ぜひ孫さんの言葉を拝聴したい。

孫取締役 事業の人材は、2つの方向から出ると思う。1つは、実際に今やっている事業で、苦労しながら問題を解決していくことで磨かれていくもの。もう1つは全然違う発想のところで、今までと全く関係ない、自由に解き放ったアイデアを出して、そのアイデアから新しい事業の種が見つかるもの。これはあまり経験値とは関係ない飛躍がある。

 今、社内で生成AIの活用についてのアイデアコンテストを、6カ月間やっている。6回で16万件の応募が社員からあった。世界中で見て、半年で生成AIについての新しい事業化のアイデアを16万件、社内から出した会社はわれわれしかないんじゃないかと思う。その中から1万件の特許を出している。生成AI関連に絞っての件数なので、恐らく世界一だと思う。これは誇ってもいい数。

 数だけじゃなくて、毎月、僕もびっくりするぐらいのいい内容が出ている。最近、2回連続で1位を取った若い社員は、東北地方の営業マンで、入社数年目。技術系でもない。彼は2回連続で報奨金の1000万円を獲得した。彼のアイデアはすごいから、それすぐ事業化しろと言ったところ。

 社内からも、そういう画期的なアイデアが、生成AIがらみでどんどん出てきているので、僕は非常に楽しみにしている。これもソフトバンクグループとソフトバンクと一緒に、僕と宮川君の連携プレーでやっている。

退任する宮内謙氏について

―― (前社長で取締役を務めた)宮内謙氏は大変貢献された方だと思うが、功労金などを渡すのか。

宮川氏 私も宮内さんの功績は非常に素晴らしいと考えている。この功績は国にも認められ、昨年度には旭日重光章を受賞された。ソフトバンクといえば孫さんだが、実は孫さんと宮内さんの絶妙なコンビで作り上げた会社でもある。孫さんのスケールの大きなアイデアを、宮内さんが現場を指揮して確実に実行してくれたおかげで、本日のソフトバンクの姿があると考えている。

 しかしながら、功労金はお渡ししない。すみません、宮さん、ごめんなさい。これまでの貢献については、株式報酬として過去にお支払いしている。これから他の株主さんと同様に、配当や株価の上昇で報いていきたいと考えている。

ソフトバンク 取締役を退任する宮内謙氏。退任のあいさつで「AIゴールドラッシュが爆発しているとき、その近いところにいるのがソフトバンクだと思っている。ますますソフトバンは発展していけると確信している」と語った
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