―― 2024年は「再発見」のアップデートが続いています。
石塚氏 2016年のリリース当初から、スマートフォン自体もパワーアップしていますし、私たちがやりたくてもできなかったことができています。
その1つがマップ、キャッチスクリーンの刷新です。実際に訪れて、そこの環境により近いもの、よりたくさんのパターンがある場所で出会い、楽しんでほしいと思って作ってきました。GOスナップショットもそう。いろいろな場所に行って皆さんと思い出に残してもらいたい。実はGOスナップショットが出てから5年がたちますが、5年前ではできなかったことができるようになってきました。皆さんの意見も聞きつつ、より素晴らしい体験ができるようになりました。
私たちはどうしても、最先端のスマートフォンを考えてしまいますが、いろいろな方がプレイするので、その方も含めて同じ体験をできるかを常に考えています。
―― これまでで特に成果や反響の大きかったイベントはありますか?
石塚氏 どのイベントも全力で準備してきていますし、仙台市さんも含めて、どの自治体の方々からも、多大なサポートをいただいています。その中で振り返ってみると、2019年の横浜のGO Festがあったから乗り越えられたという気持ちが強いですね。“フォーマット”が決まったというところもあります。
―― 2016年から、ポケモンGOのユーザー属性が変わった、あるいは広がってきた面はありますか?
石塚氏 ありがたいことに、ずっと続けてくださっている方と、新しく入ってくださっている方が、非常にバランスよく存在してくださっていることによって、さまざまなプレイスタイルが生まれています。
初心者がポケモンを育成しにくいという指摘もありますが、ずっと続けている方からすると、やり応えがあるものを求められるので、ワンパターンではなくて、頑張ったことが成し遂げられて、「やったんだよ」と紹介できるような深み作っています。
それと同時に、カジュアルにプレイできることも常にこだわっています。特に2016年に一気に世界中で広がったことは、「シンプルであること」がすごく大きかった。これは、2016年も今も、全くブレずに同じ思いで作っています。もちろん、いろいろな機能を追加することによって、難しくなってしまうところはありますが、これ(シンプルさ)は意識しいています。
ポケモンGOの強みは、世界中でさまざまな方がプレイしていて、たくさんのスタイルが存在します。2019年に「好きなようにGOしよう」というキャンペーンを行いました。ずっとそれから心掛けている言葉です。どんなスタイルでプレイしてくださってもいいんですよと。
ポケモンをたくさん捕まえることが好きな人、捕まえたポケモンたちとバトルするのが好きな人、隙間時間で楽しむ人、仲間たちと集まってわいわいプレイする人、ポケモンGOを通して写真を撮る人。このさまざまなスタイルをサポートできるよう、各機能を作ってきています。もしかすると、新しい機能を出したときに、「この機能ってそんなに重要なの?」と思う人もいるかもしれないですが、さまざまなスタイルの人に届けられるよう、意図を持って作り上げています。
―― 新機能を導入するにあたり、ユーザーやコミュニティーの声を拾うといった取り組みもしているのでしょうか。
石塚氏 UXのチームにはリサーチャーがいます。SNSに挙がっている声は、どうしてもハードコアな人の声が大きくなってしまいます。実際のところ、カジュアルに楽しんでいる人がすごく多いんです。いろいろ方がそれぞれのスタイルで楽しんでいる。その部分のご意見をおうかがいするためにも、UXリサーチャーが、さまざまなトレーナーにインタビューをして情報を吸い上げています。それらをもとに、アイデアを練っています。実際に作ったものをテストしてもらうこともあります。
Pokemon GO Fest 2024:仙台は、過去に開催したPokemon GO Festの知見を生かして、最適なタイミングや場所に配慮してきたことがうかがえる。スマホゲームの命綱ともいえるネットワークも、万全の準備を整えていたことが分かった。
今回、特に興味深いと感じたのは、開催地である仙台のテーマを設定し、そのテーマに沿ったポケモンたちが出現すること。そうすることで、その土地で開催する意味が生まれるし、トレーナーたちにとっては、より思い出に残るイベントになるだろう。
単にレアなポケモンをゲットするだけでなく、GO Festを通じて、その土地のことをもっと知ってほしい――そんなNianticの思いを感じ取れた。
Nianticがあらためて「リアルイベント」を大切にしていることをもよく理解できた。ポケモンGOにはさまざまなプレイスタイルがあるが、やはり基本は外に出掛けて遊ぶこと。その意味で、GO FestはポケモンGOの原点回帰ともいえるイベントだ。今後も、トレーナーたちの絆を深め、思い出に残るイベントを開催してくれることに期待したい。
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