今回、フルモデルチェンジしたXperia 1 VIを改めて1カ月利用してみて、多くの変化がありながらも違和感なく利用できていることに気付いた。その理由を考えてみると、使っていくうちの慣れはもちろん、Xperia 1 VIが変化こそあれど「ソニーらしさ」と呼べる要素をしっかり残している点に行き着いた。
例えば、ディスプレイの解像度を近年のハイエンド機では主流のWQHD+や1.5Kと呼ばれるものではなく、あえてフルHD+とした理由は「コンテンツ製作者に合わせるため」というこだわりがある。同社のテレビ「ブラビア」を基準とした画面チューニングも、ブラビアの画質チームと共同で作り上げた。画質調整は“ブラビアの実機と見比べる”といった手法も用いられた。
進化したとアピールするフルレンジステレオスピーカーは、ユニットを一新してさらなる高音質化を果たした。従来よりも低域がしっかり出るようになったので、音に厚みが増している。Xperiaの場合は他社の機種と比較しても端末の共振がかなり少なく「音量が出るだけ」のスマートフォンとは異なる高音質な仕上がりとなっている。
イヤフォンジャックに関しても音をよくするため、細やかながら進化を遂げた。例えば、イヤフォンのジャックと基板の間に使われているフラットケーブルの導体幅を太くし、抵抗値を下げるというアナログ的な手法で音質向上を狙うこだわりも感じられる。
ソフトウェアも「DSEE Ultimate」「360 Upmix」といった独自の音響効果も備えている。「過去最高音質のXperia」といううたい文句も使ってみると納得する。
ゲーミング機能も「ゲームを最高画質で楽しむ」だけでなく、ライブ配信をはじめとした第三者への発信要素、YouTube向けの動画コンテンツ制作者向け要素も多く兼ね備えている。決定的な場面を残せる「RTレコード」をはじめ、スマホ単独での音声ミキサー、スクリーンショットの連写機能、外部キャプチャーボードへの出力機能まで備えるなど、他社のゲームモードには備えない機能が充実している。
この他にもXperiaをカメラの外付けディスプレイとして利用できる「外部モニターモード」、以前より支持される「サイドセンス」というショートカットも引き続き利用できる。ハードウェア的な特徴では、シャッターキーの存在はもちろん、今となっては珍しい、3.5mmイヤフォンジャックとmicroSDスロットの両方が利用できるハイエンドスマホであることも見逃せない。
これらの「ソニーらしさ」というこだわりが詰め込まれたXperia 1 VIは、映像や音楽の視聴、ゲームなども高いレベルで楽しめる。コンテンツの消費だけでなく、制作といったクリエイティブな需要にも応えてくれる。
今のXperiaはスマートフォンだけでなく、カメラやテレビ、ゲーム機といったハードに加えて、さまざまな映像、音楽、ゲームをはじめとしたコンテンツまで作っているソニーだからこそ作ることのできる「究極のエンタメマシン」だ。ここまで行くと唯一無二のスマートフォンという言葉が適切かもしれない。
このエンタメマシンという要素が残されていることが、大きな変化があっても違和感なく利用できている理由だと考える。形は変わっても中身の本質はしっかりと受け継がれている。
まとめになるが、Xperia 1 VIでは画面アスペクト比や画面解像度の変更、プロ仕様のカメラアプリが廃されたことで「唯一無二」な点が失われたことは惜しい部分。以前からのファン目線では気になるところである。
今作の変更はそれらのマイナス要素以上に、今回の変更で得たものがプラスに働いていると考える。そして、ハードウェア、ソフトウェア面でも以前から続く「Xperiaらしさ」をしっかりと継承している。
従来の不安要素だったソフトウェアアップデート期間も4年間に延長することが明言されたため、より長きにわたって安心して利用できるようになった。Android OSのアップデートも3回のメジャーアップデートが行われる予定。
あらゆる部分が進化したXperia 1 VIは、初めてXperiaを検討している方にも、今までXperiaを使ってきた長期ユーザーもきっと満足できる仕上がりだ。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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