世界を変える5G

ソフトバンクの5Gネットワークがさらに進化 AIと5Gを同一インフラで運用する「AITRAS(アイトラス)」発表(2/2 ページ)

» 2024年11月13日 12時18分 公開
[村元正剛ITmedia]
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AITRASが生きる場面は? 自動運転やロボットに活用したデモを披露

 説明会の後に、AITRASを用いたデモンストレーションを披露した。

 まず、合計100台の端末でリアルタイムに動画を視聴するデモを披露した。5台×20カ所で一斉に受信した動画を再生する様子がZoomで中継され、スループットなども表示された。やや分かりづらいデモだったが、安定して動画を視聴できることは確認できた。また、他社のvRANに比べて、消費電力量が低く抑えられることもアピールした。

AITRAS 解像度は1080pで、約7GBの動画を100台で同時に再生するデモを披露した
AITRAS AITRASのvRANの最大スループットは、1セルあたり下り1.3Gbps、上り180Mbps
AITRAS 消費電力が抑えられることも利点だ

 自動運転のデモでは、横断歩道の手前に停車中の車があり、横断歩道を渡っている人を確認できないといった状況での動きを見せてもらった。ドライブレコーダーの映像に加えて、交通状況を問うプロンプトによって、走行中のリスクを瞬時に分析する「交通理解マルチモーダルAI」を開発。デモでは、リスクが検出されて自動運転のバスが一時停止し、その後、安全が確認されてから発車する様子を確認できた。

AITRAS ソフトバンクが開発した「交通理解マルチモーダルAI」の特徴
AITRAS 自動運転の遠隔サポート ソリューションの内容
AITRAS 今回のデモの概要
AITRAS SFCのキャンパス内の道路で、実際に自動運転バスを走らせてデモを実施。リスクが検出されるとバスが停まった
AITRAS 横断歩道に通行人がいないことを確認すると、すぐに発車した

 LLMロボットを用いたデモも披露した。LLMは「大規模言語モデル」で、LLMロボットは、あらかじめプログラムされた動作だけでなく、初めての状況でも会話の文脈などから推察して、適切な動きをするロボットを指す。ロボットが不審者を追跡するシナリオでデモが行われたが、0.1秒ほどの低遅延で、ロボットが制御される様子を確認できた。

AITRAS ロボットが状況を判断して動くには、低遅延が必須となる
AITRAS 約0.1秒でいう速さでロボットが制御され、不審者を追いかけるデモを披露した。サーバを介しているとは思えないほど速い反応だった

 RAG(検索拡張生成)のデモも行った。一般的なLLMが事前に学習した情報のみに基づいて回答するのに対して、RAGはクローズドネットワークも参照し、社内の機密情報など、LLMでは呼び出せない情報も回答できる。データはインターネット上のクラウドではなく、Edge AIに保存されるので、機密性も保持されるので安心だ。

AITRAS LLMとRAGの違い
AITRAS 画像や音声も認識する「マルチモーダルRAG」を実装
AITRAS 一般的なLLMの場合と「RAG」をオンにした場合の違いを実演した

 ソフトバンクは、これまでもトラフィックの大容量化に先駆けて、TD-LTE、C-RAN、Massive MIMOなどを導入してきた。ソフトバンクの湧川氏は、“次の一手” としてAITRASを発表した。湧川氏は「これからはAIだらけになる。数年後には、AIのために作ったサーバ上でRANを動かすというように、AIとRANが逆転するのでは」とも話していた。今後の展開に注目したい。

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