イベントでは、楽天モバイルの災害対策における楽天モバイル独自の取り組みも紹介された。1つ目が、基地局のMIMOを遠隔制御で変更する「緊急省エネモード」だ。同社の基地局は通常、4×4 MIMOの仕様になっているものが多いが、これを2×4 MIMOや2×2 MIMOに変更することで、予備電源で駆動できる時間を延長できるという。通常であれば3時間程度しか持たないバッテリーを、2×4 MIMOで4〜5時間に延命させることが可能になる。
「最高速度や通信容量が若干減ってしまう副作用はあるが、それによって基地局が長持ちして、より長い時間つながることの方が重要。多くの事例で、電力は3〜4時間で復旧する」(竹下氏)
また、他社と同様、災害対策にはStarlinkも活用している。KDDIが導入したStarlink回線を基地局のバックホールとして使うソリューションも導入しており、「伝送路が切れてどうしてもすぐに復旧ができないときに、衛星を使って基地局とデータセンターをつなぐことができる」(竹下氏)。Starlinkの活用は始まったばかりで、現在、「移動、可搬型の基地局に配備を進めている」という。
衛星通信に関しては、2026年に開始を予定するAST SpaceMobileのダイレクト通信にも竹下氏は期待を寄せる。スマホと衛星が直接通信できるようになることで、「今現在、地上のネットワークがない山間部や海でも利用が可能になる」。日本のキャリアは、国土カバー率で70%程度となっており、残る30%は電波が届かない。このような場所もエリア化できるのが、ダイレクト通信のメリットだ。竹下氏も「これができることで、本当の面積カバー率100%が見えてくる」と語る。
AST SpaceMobileは9月に商用衛星「Block 1 BlueBird」を5機打ち上げており、10月には全てのアンテナ展開に成功した。衛星とスマホのダイレクト通信は、KDDIが年内にStarlinkを使い、商用化する予定。総務省でも現在、その制度化が急ピッチで進められている。ドコモも、衛星やHAPSを活用した面積カバー率拡大を目指しており、今後は空の上での競争も激化しそうだ。
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