「私のデータ、AIの学習に使われる?」LINEの新機能「Agent i」の疑問をLINEヤフーに聞いた

» 2026年05月25日 11時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 LINEアプリを開くと、見慣れないアイコンに気づいた方も多いのではないだろうか。4月20日、LINEヤフーが満を持して公開した新AIブランド「Agent i(エージェント アイ)」への入り口だ。

LINE Yahoo! LINEアプリに突如出現した謎のアイコン。実はこれが「Agent i(エージェント アイ)」を使い始める際にタップするアイコンだ

 Agent iは、私たちが日々使っているLINEやYahoo! JAPANからワンタップで呼び出せる身近なAIエージェントだ。最大の特徴は、指示文(プロンプト)を入力しなくても、直感的に操作できること。例えばレシピの機能では、自宅の冷蔵庫の中身をスマートフォンで撮影して送信するだけで、AIが食材を認識し、今あるもので15分以内に作れる献立を提案する。

LINE Yahoo! LINEアプリからワンタップで呼び出せる新AIブランドAgent iの画面のイメージ

 面倒な毎日の献立作りから解放される便利な機能だ。しかし、この画期的な便利さを前に、ふと立ち止まってしまう人もいるかもしれない。「自分の生活空間の写真や、個人的な悩みをAIに送信しても、本当に大丈夫なのだろうか」と。

記憶に新しい過去の個人情報漏えい問題

 ユーザーがプライバシーへの不安を抱くのは無理もない。LINEヤフーは2023年秋、大規模な個人情報漏えい問題を起こしているからだ。

 当時、同社の関係会社である韓国NAVER Cloudの委託先企業がマルウェアに感染。そこからネットワークを伝って不正アクセスを受け、ユーザーのサービス利用履歴などを含む約52万人分の個人データが漏えいする事態となった。

 この事態を重く見た総務省や個人情報保護委員会からは、厳しい行政指導や勧告が行われた。現在LINEヤフーは、当時のシステム構造の弱点であったNAVER側とのネットワークの分離や、システム運営の委託終了など、根本的な再発防止策を段階的に進めている段階だ。

LINE Yahoo! 総務省が2024年3月にLINEヤフーの出澤剛社長に宛てた行政指導文書

 こうした背景がある中で、冷蔵庫の中身といった極めてプライベートな情報をやりとりするAgent iが新登場した。警戒する声が上がるのも当然といえる。

新AIで送信したデータはどこで管理されるのか

 では、私たちがAgent iにアップロードした写真や、やりとりした相談履歴といったデータは、一体どこでどのように管理されるのだろうか。この疑問をLINEヤフー広報に直接ぶつけてみた。

 まず、最も気になるデータの保管場所について。LINEヤフー広報によると、Agent i上での利用履歴や生成された回答などのデータは、「主に日本国内のサーバで保管している」という。

 ただし、全てが国内で完結しているわけではない。「一部のデータについては、弊社のプライバシーポリシーに基づき、厳格な安全管理措置を講じた上で、米国子会社でも保管している」とのことだ。海外のサーバを利用している部分は残るものの、少なくとも過去の流出問題の舞台となった韓国のサーバではなく、厳格な管理下における米国拠点での運用を明言した形だ。

「AIの学習データにはならない」と広報回答

 そしてもう1つ、生成AIを使うにあたって多くの人が懸念するのが、自分のデータがAIの学習に使われ、どこかで他人の回答として出力されるのではないかという疑問だ。

 これについても、LINEヤフー広報は明確に否定した。Agent iの裏側では、OpenAIやGoogleなど、世界トップクラスの複数の大規模言語モデル(LLM)の技術を機能に応じて使っている。しかし、「ユーザーが入力したデータがLLMベンダー側の学習用途に使用されることはない」と断言している。

 つまり、私たちが今夜の献立のために送信した冷蔵庫の写真や、個人的な悩みのチャット履歴が、知らない間にAIを賢くするための学習データに使われる心配はない。

LINE Yahoo! LINEヤフー広報によると、同社のAIサービスではOpenAIやGoogleなどのLLM技術が使われているが、ユーザーが入力した画像やチャット履歴などのデータがベンダー側の学習用途に利用されることはないという

利便性とプライバシーのバランスは重要

 今後、Agent iは複雑なタスクを代行したり、LINEのトークルームの空気を読んだりといった新機能が続々と追加される予定だ。

 一方、利用時のプライバシーはどう確保されるのか……という不安に対して、データの国内保管(一部米国)や学習データへの非利用といった明確な線引きを示した今回のLINEヤフーの姿勢は、ユーザーにとって大きな安心材料となるはずだ。

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