―― povoは、サブ回線で生きる道を狙っているのか、それともメイン回線になりたいのでしょうか。
秋山氏 究極的にはメインになりたいですが、サブ回線として使っていただけるように、基本料を0円にしています。
auにMNPしてもらうときには、いろいろな道筋がある。auっていいなと思ってもらうとか、お店に来てもらうとか、Webサイトを訪問してもらうとか。そしてどこかでコンバージョンする(成果が出る)。そういう道筋があってユーザーを獲得しているわけですが、サブ回線という風にするとデータがちゃんと取れるわけです。ユーザーの行動が可視化される。お試しから入っていただくことでデータが可視化され、エンゲージメントが取れているということになる。そういう捉え方をしています。
そのため、最終的にはメインですが、お客さんに入っていただく道筋は間違っていないと信じています。見えないより見えた方がいい。
では、メインになったときに、本当にずっとpovoでいいのか? というのは、さまざまな議論があります。KDDIは、多様なプロダクトを保有していますので、どう使っていただくかということもある。最終的にはauやUQ mobileにスムーズに行っていただけるようにしないといけないと思います。今はそこまで作り上げていませんが、考え方としては最初から変わっていないところです。
―― povo Data Oasisで、毎回ログインするのが面倒です。あれは意図した仕様ですか。
秋山氏 いいえ、違います。1カ月に1回くらいでいいはずですが、人によりけりです。わざとではないです。ご非難があるのも重々承知していますが、povoのアプリ内でできるようにしていないのは、私なりの思いがあるからです。
ローソンさんは大事なパートナーで、パートナーさん向けのサービスでpovoを宣伝するような形は、広告のように見えてあまり上品ではない。むしろ、われわれは自我を消して、povoではなく、「これはローソンさんのためのコネクティビティです」「これはABEMAさんのためのコネクティビティです」という風に見せるべきなのではないか? 思っています。
だからこそ、組み込み型のテクノロジーを使っていますが、あえて別のSDKベースでやっています。ただ、毎回ログインするのが面倒という批判があるのはよく分かっています。ちょっとどこかで考え直してもいいかなとは正直思っています。まだ始まったばかりなので、ガンガン直していきます。
―― 入店するとデータ容量が自動で付与されるようなものは、この取り組みの中ではあまりよろしくないという考えでしょうか。
秋山氏 いや、よろしくないわけではないと思います。ここで目指すべきものは、お客さんにローソンに行っていただくこと。ローソンさんのフットプリント(影響が及ぶ範囲)が増えて、トラフィックがどれだけ増えるか。そのためには自動付与にした方がいいというデータが出てくれば、そうした方がいい。そこにあまりこだわりはないです。
―― DMMモバイル Plusのような形が理想ですか。
秋山氏 そう思っています。ただ、パートナーさんによっては「ちゃんとpovoと言った方が、お客さんに分かりやすい」というケースもあります。
povoはサブ回線として入る前提になっていて、キャリアフリーのコネクティビティを目指しているので、どのキャリアでも使えるコネクティビティというポジショニングにしたいと思っている。こういう戦略の中で、povoの名前を出していくのは避けたいと思っています。
―― 先日、KDDIが法人向けに、製品やサービスと通信を一体化する「ConnectIN(コネクティン)」を提供されました。コンシューマー向けはpovoの仕組みを入れるようなものを考えていきたいという話だったと思いますが。
秋山氏 具体的な話ができる段階ではありませんが、何ができるか議論をしているところです。
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