プロセッサの処理能力は他のPixel 9シリーズに近いPixel 9aだが、オンデバイスAIに関しては、仕様の差があるようだ。海外では、複数メディアが「通話メモ(Call Notes)」や「Pixel Screenshots」といった機能に非対応なことを報じている。
前者は通話内容をAIで要約するというもの。後者は、スクリーンショットの中身をAIで解析し、あとから検索しやすくするという機能だ。実際、Googleのプレスリリースを丁寧に読み込んでみると、AIを使った通話機能には言及がある一方で、通話メモには触れられていないことが分かる。同様に、Pixel Screenshotsについての記載もない。
3月にスペイン・バルセロナで開催されたMWC Barcelona 2025でインタビューしたGoogleのシーン・チャウ氏(Android Platform & Pixel Softwareでバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー)は「Pixel 9ではメモリを4GB増量して、パラメーター数が4B(ビリオン)になる『Gemini Nano 2』を搭載できた」と語っていたが、裏を返すと、8GBのPixel 9aでは、その採用が難しかったことがうかがえる。
その意味では、従来よりも上位モデルとの差が大きくなっているとも捉えることができる。処理能力やスペックの違いが、具体的な機能の違いになっているというわけだ。ハイエンドやミッドレンジといった端末のグレードを決める要素は、プロセッサの処理能力やカメラ、ディスプレイなどのハードウェアが中心だったが、“AIスマホ”時代には、その上でどのような機能を実現できるかも重要になることを示唆している。
Pixelシリーズは、コンピュテーショナルフォトグラフィーによって、カメラの仕上がりがある程度均一になっていた。その結果、Pixel aシリーズのコストパフォーマンスが高まっていた一方で、1つ上のモデルとの差別化が十分図れていなかった側面もある。Proモデルは望遠カメラなどで違いがあったものの、無印のPixel 8やPixel 9を選ぶ理由が薄くなっていた。AIによる差別化が進んでいけば、ラインアップの中での差別化を、これまで以上に図れる可能性がある。
ただし、通話メモやPixel Screenshotsといった機能は、現在、日本で提供されていない。そのため、Pixel 9aをそのままの形で導入した場合、日本では、上記のような図式が当てはまらないことになる。ユーザーにとってはお得感がある半面、より単価の高い上位モデルの訴求がしづらくなる。Googleに限らず、AI関連の機能は英語が優先され、日本語が後回しになるケースは多いが、そのタイムラグを縮めていく必要はありそうだ。
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