ここまで、Galaxy AIにおける日本語対応の難しさや、Bixbyの処理のバックグラウンドについて紹介したが、赤迫氏は「日本にわざわざ研究開発拠点を持っている意義」を繰り返しアピールした。特に多言語対応のスピードについては、「正確に他社と比較できない」と前置きしつつも、日本国内に研究開発拠点を設置し、多くのエンジニアが関わっていることを強調した。
「以前は中国で日本語の音声認識技術が開発されていたが、日本語を母語とする開発者が少ないため、日本国内の他の部署の日本人スタッフに協力を仰ぎながら、問題の特定やデータ収集を行っていたが、問題の特定や改善に時間がかかるという課題があった」(赤迫氏)
特に通訳機能は仮に英語や韓国語だけが先行して開発が進んでも、当然ながら実際の利用シーンでは十分に活用できず、日本や他国で使えない状態では、サービスとしての意義が薄れてしまう。そのため、「基本的には、グローバル共通のスケジュールに合わせて、全ての言語で同じ品質を維持しながら開発を進める」(赤迫氏)ことで、日本でも韓国でも、はたまた英語圏にいても、通訳機能を体験できるようにしているという。
他社のAI機能との比較をした上での直接的な言及はなかったが、「内部では一定の評価基準を設けている」と赤迫氏は明かす。特に通訳機能の場合、主に旅行などでの利用を想定し、実際に使われるフレーズに最適化することを重視しているようだ。
Galaxy S25 Ultraの通話画面。相手が英語で話しても、翻訳結果が通話画面に表示される。画面は日本語の自動音声案内を英語に訳したもの。逆も可能だ。この通訳の機能は、海外のホテルなどのオペレーターとのやりとりで活用できそうだ赤迫氏は、「2024年のパリオリンピックのようなケースを想定し、現地での観戦シナリオに対応できるようなフレーズを強化するなど、タイムリーな対応を行っている。その時々のニーズに応じたシナリオを想定している」と、あらゆる場面に対応できるように開発している点も強調した。
さらに、「AIのモデルの形は常に進化しており、われわれも最新の研究や開発動向を注視しながら、より優れたアーキテクチャやアルゴリズムの導入を模索している」ことも明らかにした上で、「どのような手法を採用すれば、より高品質な結果が得られるのかを検討しながら開発を進めており、今後数年でさらに精度が向上していく」とした。
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