国産LLMの開発については「Sarashina mini」(700億パラメーター)の開発を完了したと発表。基となる「Sarashina」(4600億パラメーター)から蒸留(知識の凝縮)によって作成された軽量モデルで、秋までに商用開始を予定している。デモでは日本語特化モデルとして日本の道路交通法や文化を理解した応答や高速な処理を実演し、「地域性や文化を理解したモデル」としての強みをアピールした。
宮川氏は「OpenAIのGPT-4o(2000億パラメーター)やGPT-4o mini(80億パラメーター)と比較しても、Sarashina miniはより高速に動作し、日本文化や法規に対する理解度が高い」とアピールした。
提供方法については「コンシューマー・法人にこだわりなく提供していく」とし、「チャット型サービスから始め、動画生成や絵画生成なども順次提供していく」と述べた。「業界ごとの専用モデルを作っていきたい。フィジカルな世界、IoTやロボットで活躍するAIに育てていきたい」と将来像を語った。
「ファイナンス事業」では、PayPayのGMV(決済取扱高)が15.4兆円(前年比23%増)と大幅成長を継続。営業利益も332億円を記録し、前年の50億円の赤字から黒字転換を果たした。PayPayの単体の営業利益は年間で300億円を超える黒字となり、「EBITDA(利息/税金支払いと各種償却前の利益)は353億円で2年連続の黒字」を達成した。
金融ビジネスの再編も進み、PayPay銀行とPayPay証券の2社を2025年4月にPayPayの直接子会社化する再編は完了。グループの金融サービスをPayPay傘下に集約する形となった。また、PayPayは上場準備を開始しており、宮川氏は「PayPayも上場を機に成長できるチャンスになる」との見方を示した。
ソフトバンクは2025年度の業績について「売上高6兆7000億円、営業利益1兆円超え」を目指すとしている。中期経営計画の目標「9700億円」を大きく上回る営業利益を実現しつつ、将来の成長に向けた積極投資も行う方針だ。
宮川氏は特に技術開発について「社長就任時から目標としていた年間1000億円レベルの研究開発費を捻出できる体制になってきた」と説明。「これまでサービスを自社で作らない会社だったが、これを作り変えていきたい。サービスを自ら開発できるテック企業になっていきたい」という構想を示した。
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