NTTドコモ、KDDIが「官製値下げ」からついに脱却――自由競争がもたらす「MVNOへの追い風」石川温のスマホ業界新聞

» 2025年05月18日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモに続いて新料金プランを発表したKDDI。NTTドコモが「ドコモMAX」を発表した際には、料金プランの発表会であったことを前日にアナウンスしたせいか、一般メディアの取材も少なく反響もまばらだったようだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年5月10日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 しかし、KDDIが連休明けに発表会を開催した際には、案内状に料金プランであることが明示されていなかったにもかかわらず、テレビカメラの数も多かったように思える。

NTTドコモに続いてKDDIが「値上げ」の料金プランを発表したことで、メディアはこぞって「値下げ競争の終焉か」と取り上げるようになった。

 今回、KDDIは既存プランも値上げする。つまり、ユーザーが何もしなくても勝手に請求額は上がっていくわけで、何らかの対策をした方が望ましいということだ。

 テレビ番組などでコメントを求められる際、自分が言っているのは「この先、ユーザーがとるべき行動は2つ。契約しているキャリアの経済圏にどっぷりつかってポイントを稼ぐか、自分にあったシンプルなプランに切り替えていく。キャリアのブランドに自分の欲しいプランがなければ、MVNOを選ぶべし」というものだ。

 実際のところ、NTTドコモとKDDIがこうしたプランを発表したことは、MVNOにとっては「追い風」なのではないだろうか。我が家でも、毎月10GB程度しか使わない家族の回線を「JALモバイル」に切り替えようかと真剣に悩み始めた。

 改めて思うが、スマホ業界は特に競争が激しいのだから、事業者の好きなように料金プランを決めさせるべきなのだ。

 既存キャリアが付加価値をつけ、値上げの方向に行き、ユーザーを囲い込もうとしていく。一方で、MVNOはできるだけシンプルな料金プラン設計でわかりやすく、納得感のある使い勝手を提供していく。NTTドコモとKDDIが値上げ方向のプランを発表したことで、市場は2極化が進み、MVNOにとっても存在価値が増した。

 今振り返っても、2020年ごろからの菅義偉政権による「官製値下げ圧力」は本当にひどい政策だった。自由競争をねじ曲げ、MNO、さらにはMVNOが疲弊する失策でしかなかった。宮川潤一ソフトバンク社長の「開発力が落ち、ただ安い国になってしまった」という一言がすべてを物語っている。

 政府が政策によって、市場を制圧しようとすると、ろくな事が起きない。

NTTドコモとKDDIが値上げ方向に舵を切ったことで、航空業界のように「フルサービスを提供するメガキャリアと、必要最小限のサービスを提供するLCC」という棲み分けが進むような気がしている。

 NTTドコモとKDDIによる値上げにより、国民がMVNOに関心を持つようになれば、それこそ総務省が求めていた「顧客の流動化」が起きるはずだ。

これまでの総務省の政策がいかに間違っていたかを確認できるいい機会になりそうだ。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年07月26日 更新
  1. 「0.2秒で冷却」をうたうペルチェ素子搭載の腰掛けファン Amazonで53%オフ (2026年07月24日)
  2. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  3. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  4. 330円で手に入る「足元灯」「非常灯」 充電式になって利便性向上 (2026年07月25日)
  5. 従来の健康保険証は7月31日で利用不可に 8月1日以降は「マイナ保険証」の利用を (2026年07月24日)
  6. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  7. サムスンが「Galaxy Z Fold8」で横長折りたたみを投入する理由 AIの進化にもマッチ、“iPhone包囲網”も万全か (2026年07月25日)
  8. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  9. モトローラから新しいミドルレンジスマホ「moto g37」シリーズ登場 ソフトバンク、楽天モバイル、ドコモも取り扱い (2026年07月24日)
  10. ドコモ販売ランキング:新発売の「Xperia 1 VIII」が上位にランクイン【2026年6月】 (2026年07月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー