フィンテックセグメントでは、売上収益が同14.8%増の2327億円、Non-GAAP営業利益が同12.2%増の434億円まで拡大した。楽天カードの取扱高拡大、楽天銀行の金利収益増加が奏功。楽天銀行と楽天ペイメントが特にセグメント収益をけん引した。
主要KPIでは、楽天カードのショッピング取扱高は同10.2%増の6.5兆円、楽天銀行の口座数は同7.5%増の1707万口座、預金残高は同7.1%増の11.7兆円、楽天証券口座数は同10.9%増の1256万口座、NISA口座数は同18.2%増の653万口座など、順調に拡大した。預かり資産も39.6兆円に達して40兆円も目前となっている。
懸案の楽天証券のセキュリティでは、5月末までに2段階認証などの設定を追加して対策が完了。「その後被害は出ていない」(同)という。
楽天カード、楽天銀行、楽天ペイメントのいずれも順調に拡大。特に楽天ペイはユーザー数、取扱高ともに拡大し、Non-GAAP営業利益は18億円となり、黒字幅を拡大させた。
ソフトバンクの宮川潤一社長が楽天モバイルの動きを気にしている通り、料金値上げに動くNTTドコモ、KDDIに対し、楽天モバイルは値上げを否定。三木谷社長は「値段は総合的な判断をしながら考えていく。今のところは、(値上げは)考えていない」と話す。
もともと楽天グループ内のエコシステム利益を重視する方針を占めている三木谷社長は、トータルでの収益性を重視している。楽天市場を含めて、グループ全体の利益で判断する考えだ。
他社の値上げの動きに対して移行するユーザーもいて、「言い方は悪いが、ポイント狙いみたいなユーザーも現状としてある」(同)という状況ながら、“敵失”という状況になっている様子。「漁夫の利」と宮川社長が気にしていた状況だが、楽天モバイルとしては移行したユーザーをいかに定着させるかが課題となるだろう。
その点でネットワークの改善は急務で、さらにU-NEXTとのセットプランへの期待度の高さも伺える。単純な契約数拡大ではコストも増大するため、三木谷社長も「先行費用として増大するマーケティング費用がなければ大幅に黒字化できるが、もう少し(契約数を)伸ばしたい」と三木谷社長は話し、まずは1000万契約を実現させる。その上で「EBITDAの通期の黒字化は確実にできる」と強調し、AIを活用するなど効率化も促進していく考えだ。
楽天モバイルを値上げしない背景に「経済圏」あり 2025年内に1000万回線目指す
【決算総括】上位プランシフトのドコモとKDDI、値上げをしない楽天モバイル 板挟みのソフトバンクはどう出る?
楽天モバイル「ナンバーワンキャリア」への戦略 2026年に5G SA開始へ、衛星通信は「前倒しで開始」検討も
「AI時代に携帯料金が高かったらダメ」「楽天のデータが金脈」 三木谷氏が目指す“最強のAI”とは
楽天モバイルがU-NEXTの“特例プラン”で見据える黒字化 楽天カードのデータ増量でエコシステムも強化Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.