経済産業省が8月12日、モバイルバッテリー、携帯電話、加熱式たばこデバイスに対して、自主回収を義務付ける方針を示した。
合わせて、8月12日に開催した「第12回 産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会」にて、業界団体のヒアリング結果を公表した。
モバイルバッテリーは、2017年4月からメーカーが自主回収を行っており、一般社団法人JRBCの会員企業の60社が回収している。スマートフォンについては、キャリアショップや販売店など全国約8500店舗で回収しており、2023年度は363万台を回収した。
こうしたメーカーやキャリアの自主回収には限界があり、ワーキンググループの委員は、「EUの欧州電池規則のような包括的かつ義務的な回収・リサイクル制度の検討が必要」との所感を示している。実際、スマートフォンやモバイルバッテリーに含まれるリチウムイオン電池を過って分別して捨てたことで、ごみ収集車や廃棄処理場で発火事故が起こることも問題となっている。
2026年4月1日に改正される資源有効利用促進法では、鉄やアルミの他、リチウムイオン電池に含まれるレアメタルなどの資源の効率的な回収や再資源化を促すことを目的としている。
8月12日の分科会では回収製品の具体案が定まった形だが、4月1日まで既に8カ月を切っていることから、経済産業省によると、全てのメーカーに対し、4月1日から回収を義務付けるわけではないという。使い終えたモバイルバッテリーや携帯電話を回収するためのスキームを作るための猶予期間が必要なため、2026年4月以降、順次メーカーが回収についての案内を行う見込み。また、メーカーが自ら回収するのではなく、外部企業に委託することも想定される。
なお、現在は自治体が独自にモバイルバッテリーを回収しているところもあるが、法改正後も、そうした自治体による回収は継続される見通し。
資源有効利用促進法の主目的は、あくまで資源の有効活用だが、モバイルバッテリーやスマートフォンの自主回収が義務付けられれば、誤ったごみの分別による発火事故を減らせるメリットも生まれるだろう。
ハンディファンなど、その他のリチウム蓄電池使用製品については、リサイクル現場などにおける火災事故の原因調査の結果を踏まえつつ、指定について検討していくとのこと。
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