―― 今回搭載された「即撮りボタン」の狙いについて教えてください。
市野氏 シャッターボタン自体は1シリーズなどでも搭載していますが、今回の10シリーズでは「撮りたい瞬間を逃さない」ことを特に重視しています。
例えば、お子様が遊んでいるときのふとした表情などを撮りたいとき、カバンやポケットから取り出して、ロックを解除して、カメラアプリを立ち上げて……とやっている間に表情が変わってしまったり、違うことを始めてしまったりします。
ハードウェアボタンがあることで、取り出しながら直感的にボタンを押して起動できます。1シリーズとは違い、こちらは「縦撮り」を意識しています。1シリーズは横持ちで半押ししてAFロックして構えて撮るスタイルですが、こちらは縦持ちでそのまま端末を取り上げ、ボタンで立ち上げたら持ち変えることなく、一度押すことで瞬間を撮れる、そういった体験を意識して即撮りボタンと銘打ちました。
―― 片手ですぐに構えて撮っても手ブレは補正されるのでしょうか。
市野氏 手ブレ補正はシャッタースピードや露光時間とも関わってきます。明るい場面ではもちろんのこと、暗いシーンでも手ブレしにくくなるよう強化しています。Xperia 10 VIIでは、手ブレが起きないような速いシャッター速度で撮った写真を複数枚撮影し、それを重ね合わせることで、1枚の写真としてノイズを消しつつ解像度を犠牲にしない処理(重ね合わせ処理)と大型センサーを組み合わせることで、低照度でのシャッター速度を抑える工夫をしています。
―― 即撮りボタンでの半押しフォーカスはできないのでしょうか。
市野氏 そこが1シリーズとの違いになります。1シリーズは横向きにして持って半押しでAFロックしつつ撮るという「構えて撮る」スタイルのお客さまが強いですが、Xperia 10 VIIは同じボタンでも狙いが1シリーズとは異なり、半押しによるAFロックの機能はありません。
―― この即撮りボタンには、スクリーンショットの割り当てもできます。
市野氏 カメラを撮影していないとき(ホーム画面など)に長押しすると従来のカメラアプリが立ち上がりますが、短い「短押し」をするとスクリーンショットができる機能を展開しました。
―― この即撮りボタンは一般ユーザーに浸透しそうでしょうか。
湯原氏 そこはまさに現在、挑戦しているところです。ただ、キャリアショップのスタッフに向けたトレーニングの場では、その利便性がすぐに伝わっています。 研修を受けたスタッフは、来店客に対して「今回のXperia 10 VIIにはこのボタンがある」と、しっかりと訴求してくれています。営業担当とも連携し、このトレーニングの効果をさらに広げようと日々尽力している段階です。
―― 「アクションキー」のような片仮名だと、機能概要を想起しづらいですが、即撮りボタンなら、写真もスクリーンショットもすぐに撮れることが直感的に伝わりますね。
湯原氏 おっしゃる通りですね。
―― 最近は「光学ズーム」や「デジタルズーム」という言葉自体が、スマートフォンの発表会や製品サイトでもよく聞かれます。光学とデジタルの区別をソニーとしてはどう定義されていますか。
市野氏 「光学」というのは文字通り、画素としての劣化や切り出しによる劣化がないものとしています。弊社の商品の場合は2つあり、1つは16mm、24mmのようにハードウェアスペックとして持っているものは光学です。もう1つは「光学相当」と呼んでいるもので、例えば24mmのセンサーに対して48mm相当で撮影する場合、4800万画素ある有効画素数の中で、1200万画素を切り出して使う処理です。これはセンサーの一部を使っていますが、画素としてはハードウェアスペックとして1200万画素を持っているので、「画素劣化がない」という意味です。
「デジタルズーム」に関しては、画素がいったん少ない状態になったものを引き伸ばす処理などを指しています。
―― Xperia 10 VIIは光学2倍相当のズームに対応していると理解してもいいですか。
市野氏 はい。対応しています。
アウトカメラは広角と超広角の2眼構成。メインの広角カメラには先代比で約1.6倍大きい新型イメージセンサーを採用した。2つのカメラで3つの倍率(0.7倍、1.0倍、2.0倍)に対応する。望遠撮影時も光学2倍相当のズーム、画質劣化がない撮影が可能だという
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