これまで、どちらかといえば得意とするミッドレンジモデルを選択し、カスタマイズするなどして日本市場に投入してきたOPPOだが、オウガ・ジャパンは2024年から方針を転換。ハイエンドモデルの「OPPO Find X8」を発売した。2025年には、この取り組みをさらに進め、「OPPO Find X9」を投入。同社のハイエンドモデルとして初めておサイフケータイに対応。KDDIの取り扱いも始まり、販路を広げている。
最上位モデルの「OPPO Find X9 Pro」や、フォルダブルスマホは未投入なものの、Findシリーズの販売を始めたことで、OPPOのラインアップがエントリーモデルからハイエンドまで一通りそろった格好だ。実験的な色合いが濃く、グローバルモデルに仕様が近かったFind X8とは違い、Find X9はより日本市場に根付くハイエンドモデルとして導入した印象が強い。
一方で、日本向けのカスタマイズを加えることは、コストの上昇に直結する。特に出荷台数が限られるハイエンドモデルの場合、価格に与える影響も大きくなるはずだ。また、OPPOはこの他にも魅力的なハイエンドモデルを擁している。Find X9導入で弾みをつけ、よりバリエーションを広げることができるのか。オウガ・ジャパンで専務取締役を務める河野謙三氏と、プロダクトマネージャーを務める中川裕也氏に、Find X9投入の経緯や今後の方針を聞いた。
―― Find X9発売直後に初回出荷分が完売し、プレスリリースも出ました(笑)。
河野氏 発売当時に売り切れたのは、初代「OPPO Reno A」以来でした。そうした気持ちが先走ってしまいましたが、(リリースまで出すのは)ちょっとダサかったですね(笑)。
―― 2年連続のハイエンド投入、しかも今回は日本仕様も入っています。これはFind X8の実績があったことが大きかったのでしょうか。
河野氏 砂漠に水をまくようなことは、企業としてできないのが大前提です。実際の数量までは申し上げられませんが、Find X8は社内で想定していた数の2倍売れました。OPPOはミドルレンジからミドルハイまでが強いブランドと申し上げていましたが、日本市場に進出してから7年がたったこともあり、買い替え需要もあります。初代Reno Aを購入した方が「Reno7 A」を買い、そろそろミドルはいいという人もいます。一歩上を目指したい方にご好評だったのだと思います。
―― 機能面ではおサイフケータイが加わり、auでの販売も始まっています。
河野氏 まずKDDIでの取り扱いに関していえば、Reno Aシリーズの「OPPO Reno13 A」をUQ mobileで販売していただけました。auで取り扱っていたReno7 Aから、約3年ぶりです。これがKDDIの中で好評だったことが、Find X9につながっているのではなかろうかと推測しています。実際、よかったという声もいただいています。
FeliCaについては、私どもが最初に日本市場で搭載したときまで話を戻すと、本社はFeliCaには非常に消極的で、かつ懐疑的でした。公のデータを見ると、実際の使用率は2割から3割ぐらい。なおかつ、当時は他社の一番売れている端末(2015年に発売したiPhone 6sまでのiPhone)もFeliCaは搭載していなかったので、そんなものはいらないという声が大多数でした。
その中で、本社と協議を重ね、われわれが日本市場のことを一番よく知っていると再三伝えてきました。言葉を選ばずに申し上げると、「そんなにわれわれのことが信用できないなら、もうやらない」とたんかを切ったこともあります。そこまでやり、「分かった」ということで搭載に至りました。
ただ、日本専用モデルとなるReno Aについては、開発費が10億円ほどかかっています。当時は色も違ったし、中身もグローバルモデルとは違っていた。エンジニアも増やし、そういったところにはかなりの投資を行いました。Find X9にFeliCaを載せたのも、昨日今日の話ではなく、日本のお客さまとどう向き合うかの姿勢だと考えています。FeliCaが載ってこの値段ということなら、安いと思っていただける方も多いのではないでしょうか。そういったところで、開発コストを吸収していきます。
―― FeliCaがあったからauでの発売が決まったのか、auでの発売が決まったからFeliCaを載せたのか、どちらでしょうか。
河野氏 「選んでいただいた」というのが、一番的確な表現ですが、ことFeliCaに関しては選んでいただいてから入れるのはリスクが大きい。企業姿勢を提案段階からご理解いただけたということだと思っています。
―― 利用率と搭載を希望する声の間に、大きな差があるような気もしますが、これはなぜだとお考えですか。
河野氏 日本市場のお客さまは、不安要素をいかに取り除くかがキーポイントになっているからだと思います。これは実績からもそうですし、アンケート調査からも明らかになっています。例えば、「長持ち」「頑丈」「丈夫」というキーワードや、ソフトウェア面ではセキュリティやOSアップデートなどがあります。そういった意味で、安心をどう訴求するかは大事な要素だと思っています。安心という点では、フラグシップだからといってFeliCaがないというのは避けたい。今後発表するであろう機種の中には載らないものもあるかもしれませんが、基本的は搭載していきたいと考えています。
―― グローバルではFind X9にもProモデルがありましたが、今回もスタンダードのみです。これはなぜでしょうか。
河野氏 日本市場とグローバル全体での違いとして、1年間に何機種世の中に出ているのかということがあります。グローバル全体では年間1200から1500ぐらいの端末が出ています。これはSKUの数字なので、体感ではもっと少なくなりますが、そのぐらいの種類があるということです。これに対し、日本市場は60から80ぐらいだと思います。日本市場はそもそもの数が少ないので、私どもメーカーも選定する必要があります。
―― とはいえ、スタンダードなFind X9でも十分という判断があったのでしょうか。
河野氏 今回は、カメラのセンサーもFind X8から刷新して、サイズも変わっています。バッテリー容量も1000mAh以上違う。本社での取り組みとして、業界標準を超えた品質を確保する「Apex Guard」という厳しい耐久試験も実施しています。そういったものが結実したのが、Find X9だと考えています。
―― ハッセルブラッドと協業していることもあり、写真もかなりキレイに撮れます。
河野氏 発表会でもできるだけ自分の言葉で話したかったので、開発機のときから使っていました。最初はあまりにひどくて心配でしたが、開発チームが頑張り、製品版ではすごくよくなったと思います。
―― マルチスペクトルカメラの影響が大きいのでしょうか。
河野氏 そこで新しいものを積んでいるだけでなく、画像処理システムも「LUMOイメージングエンジン」という新しいものになっています。そこのチューニングに時間がかかっていました。開発機のときにホワイトバランスが暴れたり、露出が狂ったりしていたのはそのためです。
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