「ソフトバンクの株価なぜ低迷」「料金値上げの影響」「PayPayに次ぐ新事業は?」 株主総会での質疑応答(2/2 ページ)

» 2026年06月24日 10時08分 公開
[房野麻子ITmedia]
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Anthropicが台頭も、OpenAIもこれから10倍〜100倍伸びる

―― 中期経営計画で、クラウド、AI領域を倍増させるとのことだが、具体策は?

宮川氏 大阪・堺の大型データセンターの計算基盤は、実は既に売り切れている。加えて、北海道・苫小牧でのデータセンターも、まだ建設している最中だが、既に多くの引き合いをいただいており商談が進んでいる。

 このような旺盛な需要を見据えて、全国でのネオクラウド事業への進出も準備している。通信事業からの潤沢なキャッシュフローをベースに、急成長しているネオクラウド事業へと業務の拡大を行っていく。それに加え、OpenAIと取り組んでいる「クリスタル・インテリジェンス」や「Patching as a Service」などの最先端AIサービスは、次元を超えた成長のチャンスと捉えている。AI需要が世界中にある。この需要を法人事業の収益に取り込んでいきたい。

ソフトバンク OpenAIの技術を活用したサイバーセキュリティ対策ソリューション「Patching as a Service」

―― AIや革新型バッテリー、データセンターなど新規成長領域への期待はあるが、業績への貢献の時期が見えにくい。いつ頃から利益貢献が本格化するか。

宮川氏 AI計算基盤、AIデータセンターは今年から利益貢献する。来年は、かなり大きな数字になる計画になっている。革新型バッテリーは、少し長い目で育てている段階の取り組み。まずは当社のAIデータセンターや携帯電話の基地局などに活用して、電力の安定供給やコスト競争力の向上につなげていきたい。その後、外部への販売や海外展開も行い、2030年度には売上高1000億円以上を目指す。

 新しいチャレンジとして、ネオクラウドやクリスタル・インテリジェンス、Patching as a Serviceなども紹介した。近々利益貢献するものが他にも登場するので期待してほしい。

―― AI開発においてAnthropic(アンソロピック)がリードしているとの報道がある。ソフトバンクはOpenAIとの関係が強いが大丈夫か。

宮川氏 OpenAIは世界で最も優れたAI技術を持つ企業の1つで、当社にとって大変重要なパートナー。AIの世界は想像を超えたスピードで技術が進化しており、毎日のように新しいサービスが登場している。そのような環境下で重視しているのは、お客さまの目的に合わせて最適なAIを選んで実装していくこと。当社はOpenAIとのパートナーシップを大切にしながら、技術の進化やお客さまのニーズを見極め、必要なものを柔軟に取り入れていく。

孫氏 毎月のように切磋琢磨(せっさたくま)し、抜いたり抜かされたりしている。AIの本格的な進展が始まったばかりだが、今はAnthropic、OpenAI、Googleの3社が競い合っている状況。3社それぞれ強みを持って、OpenAIもこれから10倍、100倍伸びる。その過程にあると思っていただければと思う。

ソフトバンク ソフトバンクグループに関連する質問には孫正義氏も回答した

―― 高性能AIによるサイバー攻撃のリスクに、どう対応していくか。

宮川氏 サイバー攻撃も最近さらに高度になってきた。守る側であるわれわれも、AIを使って防御する力を高めている。当社ではOpenAIと一緒に「GPT-5.5-Cyber」を活用して、システムの弱点を見つけて修復するPatching as a Serviceを提供していく。ソフトバンクはOpenAIのファーストカスタマーというポジションで、いち早く脆弱(ぜいじゃく)性診断を行った。

 その結果、高性能AIから見るとシステムに1万件の攻撃の糸口があると診断された。重要なものは当然対策済みだが、この経験を通じてAIによる防御が有効であることを実証した。この知見を生かし、お客さまへも展開することで、日本の事業インフラを守るとともに、当社の成長にもつなげたい。

―― NTTやKDDIもAI戦略を打ち出している。ソフトバンクの優位性はどこにあるか。

宮川氏 当社の優位性を一言で言うと、AIのインフラからサービスまで、まとめて提供できること。AIとの共存社会を見据えて、この5年間、他社より積極的に取り組んできた。正直言って、かなり先行していると自負している。

―― 今後のAI推進とデータセンター運用において、各ノードを光回線で接続する際の遅延が課題となる。NTTの「IOWN/AIOWN」に対抗する高速・低遅延な光伝送技術の開発は行われているか。

宮川氏 IOWNという言葉が独り歩きしている。チップセットまで光だけでやるような技術のことをIOWNというのであれば、本当に非常に有効だと思うので、その分野でNTTさんには頑張っていただきたい。われわれがやれる作業としては、当社は既に導入済み。昨年(2025年)、工事は全て完了している。

―― データセンターの排熱が問題視されている。どういう対策を考えているのか。

宮川氏 データセンターは熱を非常に出す構造ではあるが、いろいろな技術が最近出てきている。建設中の苫小牧のデータセンターは、日本でも排熱効率の非常に高いデータセンターになる。北海道を選んだ理由は寒い場所であること。冬はさらに効率が上がる。進化はこれから数十年続くと考えており、これを本気でやろうということでバッテリーの製造まで踏み込んできた。磨きをかけたデータセンターにしていきたい。

宇宙でのデータセンター事業には参画せず

―― SpaceXが上場して、宇宙にデータセンター作るという話もあった。ソフトバンクとして、将来的にAIデータセンターを宇宙に作る必要性があるのか、あるいはその関連事業に参入する考えはあるか。

宮川氏 宇宙でのデータセンターは、発電の能力を向上させるという意味で、考え方としてはあり得ると思うが、HAPSや衛星に取り組んでいる立場から、宇宙空間での放熱はいろいろな意味で非常に難しいと考えている。ただ、技術を否定するものではない。イーロン・マスク氏はなかなかな人物なので、最後までやり遂げるとは思うが、今はまだ課題がある。直近でわれわれが宇宙にデータセンターを作るところに参加することはない。

 世界のデータセンター建設の勢いからすると、日本はまだまだ貧弱。日本のAI環境を整備する役割がわれわれにはあると思っているので、まずは日本のデータセンターの拡大を急いでやっていきたい。

孫氏 イーロン・マスク氏は、大変な改革者。技術的な面でも突破力が非常にある。 宇宙にデータセンターを作る一番のメリットは、電気代が安くなる、あるいは(空間が)豊富にあるということだと思うが、AIデータセンターを運営する電気代は、実は全体コストの7%ぐらい。残り93%はチップ代などその他のもの。

 データセンターを宇宙に持っていって、7%のコストが仮に半分に減ったとしても、宇宙に持っていくためのコストやメンテナンス(の難しさ)、通信の遅延、そういったデメリットとのせめぎ合いだと思う。

 どちらにしろ、(宇宙のデータセンターの)大きな成果が出るには10年以上はかかる。AIの戦いの中では、10数年後の話より、今、目の前の方が圧倒的に重要。インターネットの戦いのときも同じで、最初の10数年の間に勝利者が決まった。われわれは将来どうなるか分からない宇宙よりも、まずは今すぐ地球で圧倒的なデータセンターを構築したいと思っている。先手必勝だと思っている。

―― AIを使った技術の普及率、それを使う人の意識に、都市部と地方部でかなりの差があると感じる。ギャップをどのように埋めていくのか。

宮川氏 講演などで話をさせていただくと、少しギャップがあることは感じている。都会と地方で、社会課題は違うと思う。例えばロボタクシーは、都内では人手不足解消のために導入され始めている。一方、地方では、免許返納後の人の足として望まれている。

 インフラは平等に作ろうということで取り組んでいるが、スマートフォンが地方でも使われるようになったように、AIもスマートフォンの中に入り始めているので、デバイスの中で使われる、イコール都会であろうが地方であろうが、同じようにAIが使われていくと考えている。

PayPayに次ぐ新規事業も育てていく

―― PayPayを一から育て、上場したことは大きな成果。PayPayに続く新たな事業をどのように育てていくか。

宮川氏 われわれのグループには300社を超える企業がある。その中には、次世代メモリの研究開発を行う「サイメモリ(SAIMEMORY)」、OpenAIとのジョイントベンチャー「SB OAI Japan」など、大きな成長が期待できる事業がたくさんある。グループシナジーを最大限に活用しながら、第2、第3のPayPayとなるように、これらも全てしっかり育てていきたい。

―― PayPayのスーパーアプリ化が進んでいる印象だが、今後、消費者向けでワクワクするような施策はあるか。

宮川氏 PayPayは、決済というところで入口に入った。その下に、グループでは銀行を寄せたり、証券を寄せたり、直近では保険会社のM&Aを発表したりして、あらゆる金融サービスをPayPayに統合していこうとグループ戦略を立てている。

 いろいろな金融商品がPayPayの中で当たり前のように買える時代、当たり前のように預金、PayPayと決済が連動するような世界を日本から始めている。米国やアジア、世界にこのサービスを広げていきたいと考えている。これも本当に期待していただきたい。

―― 基地局の電力量削減について。

宮川氏 基地局は、当社全体の約半分の電力を使用している。当然、よく議論している。カーボンニュートラルも必ずやり遂げたい。基地局にソーラーパネルを貼って自家発電をしたり、最近は風車で発電しながら動かしている基地局もある。

 一番効率的だと自分たちで考えているのはバッテリー。トラフィックの少ない時間帯にバッテリーに充電し、トラフィックの多い時間帯にバッテリーから電力を放出しながら節電する。これが一番効果的だという実験を行った。バッテリーは非常に高額だが、バッテリーを自ら作る力ができたので、自ら作ったバッテリーを基地局に導入し、さらに効率を高めていく。今後2、3年で基地局に(バッテリーを)入れ替えていくので、期待していただければ。

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