Android 4.0で最高のパフォーマンスを――シャープが「AQUOS PHONE 104SH」で目指したもの
Android 4.0を搭載する「AQUOS PHONE 104SH」が間もなく発売される。シャープのスマートフォンにはこれまで日本のサービスを盛り込んできたが、104SHではそのスタンスを変え、パフォーマンスや使い勝手を特に重視した。
Androidの最新OSである「4.0」を搭載したソフトバンクのシャープ製スマートフォン「AQUOS PHONE 104SH」が2月下旬以降に発売される。104SHにはAndroid 4.0をベースにした新しいインタフェースに加え、1.5GHzのデュアルコアCPUや下り最大21MbpsのULTRA SPEED、4.5インチHD液晶、IPX5/IPX7の防水性能、有効約1210万画素CMOSカメラを搭載するなど、最新のハードウェア性能、UI、スピードを体感できる1台に仕上がっている。シャープは2月9日に104SHに関する説明会を開催し、ソフトバンク向け端末の商品企画を担当する、通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業本部 商品企画部の林孝之氏と澤近京一郎氏が、開発の経緯や注力した点について話した。
スペック競争に陥りたくない
シャープはソフトバンク向けスマートフォンとしては、Android 2.2を搭載した「GALAPAGOS 003SH」、二眼カメラを搭載した「AQUOS PHONE 006SH」、HD液晶やデュアルコアCPUを備えた「AQUOS PHONE 102SH」を投入してきた。いずれもおサイフケータイやワンセグなど日本でなじみの深い機能やサービスを積極的に取り入れ、従来のケータイ(フィーチャーフォン)から乗り替えても快適に使えることを重視して開発してきた。「日本独自のキャリアメールや電話帳などをメーカーで徹底的に作り込み、全部入りスマホの流れを構築できた」と林氏は振り返る。
一方、104SHはおサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信はサポートしておらず、これまでのシャープ製スマートフォンとは性質が少し異なる。「グローバルメーカーも市場に入ってきている中で、お客さんが求めるニーズも変化してきたと思っている。原点に立ち返り、お客さんの求めるスマートフォンがどういうものかを考え、スペック競争に陥らないように魅力的なスマートフォンの開発にチャレンジできないか」と考えた結果、104SHでは“全部入り”にはこだわらず、「最新のAndroidプラットフォーム」「最高のパフォーマンス」「最新の使い勝手/デザイン」を軸に開発を進めてきた。いち早くAndroid 4.0を搭載するため、おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信の搭載は見送った。
チップセットだけでない“作り込み”を徹底
シャープはスマートフォンの開発体制の見直しを図り、米国に開発/マーケティング拠点を設立し、日本には「グローバル」を冠した組織を新設。グローバルを意識した商品作りを進める。Android 2.1のリードデバイス「Nexus One」が発売されてからは約11カ月でAndroid 2.1の初号機「IS03」を、Android 2.3のリードデバイス「Nexus S」の発売からは約6カ月でAndroid 2.3搭載の初号機 006SHを発売した。そして104SHは、Android 4.0のリードデバイス「GALAXY Nexus」の発売から約3カ月での発売となり、リードデバイスとの発売時期の差は縮まりつつある。
ユーザーの満足度を左右する使い勝手でこだわったのが“スピード”だ。Texas Instruments製のチップセット OMAP4460は「現在発表されている端末の中では最速」(林氏)の1.5GHzのデュアルコアCPUを搭載する。また単にCPUの性能を上げただけではなく、タッチパネルにはシャープ独自のチューニング技術「ダイレクトトラッキング」を採用した。画面に指が触れてから実際に動くまでのタイミングを調整し、速すぎず・遅すぎない心地よい操作感にこだわった。シャープの従来モデルでは、画面に触れてから動作するまでのタイムラグが比較的長く、指と画面の移動量も完全に一致していなかったが、104SHではタイムラグを約0.1秒に短縮するとともに、画面に触れて0.3〜0.4秒経ってからは指と画面の動きが一致している(下記のグラフを参照)。約0.1秒のタイムラグを設けたのは、タッチパネルが過敏に反応するのを防ぐため。「ダイレクトトラッキングはチップセットではなくドライバの作り込みによって実現したもの。単純にカタログスペックを狙っただけでなく、指の追従性やサクサク感、通信スピード、感性に訴える部分も重要。先行するメーカーと競えるナンバーワンのパフォーマンスを実現できた」と林氏は胸を張る。さらに、ホーム画面などの移動速度を示すフレームレートも、従来機より向上しているという。
カメラにはシャープがAQUOS SHOTで培ってきた技術を盛り込んだほか、Android 4.0で新たに採用された、シャッタータイムラグのない連続撮影も可能になった。「高速起動もでき、ピンチイン/アウトでズームインとアウトもできる」(林氏)。CMOSセンサーは今回も裏面照射型だが、102SHで搭載した光学式手ブレ補正には対応していない。
シャープらしいUIも進化
UI(ユーザーインタフェース)も刷新し、ロック画面からカメラ・電話・メールの起動が可能になり、ホーム画面のアプリトレイには従来のケータイのメニュー画面に近い、カテゴリー別のメニューが表示される。着信画面でも名前・電話番号・応答ボタンを中央に配置して見やすくした。細かいところでは、「設定」内の階層はWi-Fi、アプリなどカテゴリーごとに表示するようにした。これらの新しいUIやダイレクトトラッキング技術などは、「OSごとに対応状況が変わる場合もあるが、他の端末にも反映していきたい」(澤近氏)とのことで、シャープ共通のUIとして昇華させていく考えだ。
バッテリー容量は1520mAhで、最近のシャープ端末ではおなじみの省電力機能「エコ技」も継承している。なお、Android 4.0になったことによるバッテリー持ちへの影響は「ほとんどない」(澤近氏)とのこと。
「グローバル基準で商品開発をしている」(林氏)とのことから、104SHの海外展開も期待されるが、この点については明言を避けた。ともあれ、同社は中国へも端末を投入しており、世界市場も見据えてスマートフォンを開発していることは確かだろう。
Android 4.0への対応がクローズアップされる104SHだが、独自UIをうまく融合させ、シャープのスマートフォンとしても着実に進化している。短時間で触れた限りでは、同じくAndroid 4.0を搭載する「GALAXY NEXUS SC-04D」とも使い勝手が大きく違う印象を受けた。2月10日から東名阪の量販店で104SHのデモ機が展示される予定なので、気になる人は、手にとって体験してみてはいかがだろうか。実機が展示される量販店は、ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba、ヨドバシカメラ マルチメディア横浜、ヨドバシカメラ マルチメディア梅田、ヤマダ電機 LABI1 日本総本店 池袋、ヤマダ電機 LABI1池袋モバイルドリーム館、ヤマダ電機 LABI名古屋、ヤマダ電機 LABI1なんば、ビックカメラ 有楽町店、ビックカメラ 池袋本店、ビックカメラ 名古屋駅西店、ビックカメラ なんば店。
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