PCメーカーの中には、中国の一部の地域でのみ展開しているメーカーもある。日本の感覚でいえば「四国にだけ出荷しているメーカー」といったところか。そのようなPCメーカーの1つ「金利電脳」は中国最果ての雲南省と貴州省、三国志でいえば、まさに「南蛮」の地域に展開している。少数民族が多いことで知られる貴州省と雲南省は、省別GNPで下から5本の指に入る低所得地域でもある。
しかし、そういう地域にも立派な電脳街がある。そこには金利電脳の販売店が軒を並べる。その数はレノボなどの「全国級」に負けていない。金利電脳はデスクトップPC、ノートブックPCともに複数のモデルがラインアップされている。そのカテゴリーは先ほども紹介したように、「ビジネスPC」「ホームPC」「サーバ用ホームPC」「ネットカフェPC」「ノートPC」に大分される(同社は松下のLet's noteと、サムスンのノートPCの代理店もしている)。なにかの縁、ということでもないのだが、先日、筆者は金利電脳製PCを購入した。
同社のデスクトップPCはいくつかモデルが用意されているが、実はBTOにも対応している。それなのに、同社のWebページではBTOの価格を調べることができない。販売店でデスクトップPCを探していると、PCを使う目的をを聞かれ、その使い方にあったお勧めのスペックを店員から提示される。客は提示されたスペックを微調整して決定した構成で代金を支払うと、数時間後に完成したPCを持ち帰れる。
筆者はお任せで「お買い得なビジネス向けPC」をオーダーしてみた。金利電脳の販売店で提示してきた構成は、CPUがPentium 4 506(動作クロック2.66GHz)、メモリがキングストン製のDDR 400/512Mバイト、HDDがサムスン「HD160JJ」、マザーボードがインテルのATI Radeon Xpress 200搭載マザー「D101GGC」、ケースが金利電脳オリジナルケース、電源が航嘉というメーカーの250ワットとなった。ちなみに、OSと光学ドライブは「含まれていない」。以上の構成にViewSonic製の17インチ液晶ディスプレイ「VA721」を加えると、価格は4556元(約6万8000円)であった。
ところで、購入時には「違法ソフトを入れません」という紙にサインさせられる。中国政府がPCに正規版Windowsをプリインストールすることを決定したその影響からだろうか。OSをBTO時に入れなかったのだが、OSがない場合ハードウェアだけではPCはただの箱だ。「組み合わせたハードウェアだけじゃ動かないよね」とさりげなく質問してみたところ「いや、動作確認でWindows XP入っているから」との回答が返ってきた。帰宅していざ起動してみると、Windowsはおろか、さまざまな「動作確認用」ソフトがインストールされていた。
中国政府が出した「今後Windowsをプリインストールすべき」令だが、ここで紹介したような全国区の中小PCメーカーや地方限定PCメーカーの現状、そして、中国に存在する全メーカー、全モデル、そして全土に展開する販売店の数をチェックする必要があることを考えるに、その施行が物理的に難しいことは容易に想像できるのである。
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