漆黒の最強PCをブン回す──デル「XPS 710 H2C Edition」(2/2 ページ)

» 2007年02月02日 11時42分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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 このように、大手PCメーカー公認のスペックとしては最強となるXPS 710 H2C Editionをデルは製品発表会において「“デザイン”“テクノロジー”“ゲーム”の3つに重点を置いた個人/SOHO向けのハイエンドモデル」と紹介している。そのデザインとテクノロジーを知ったところで、「体験した人だけがその驚きを知る」とデルがいうパフォーマンスを「XPS」らしくゲームベンチで確かめてみたい。

 評価に使ったXPS 710 H2Cの構成はCPUにCore2 Extreme QX6700を搭載、グラフィックスカードはGeForce 7950搭載カードを2枚組み込んで「Quad SLI」を構成している。クアッドコアCPUにクアッドGPUということで、図らずも「4×4」システムといえる構成になっていた。メモリはDDR2-667MHzを1Gバイト4モジュール、HDDは500GバイトのSerial ATA(3Gb)ドライブを2台。

 XPS 710 H2CのBTOではグラフィックスカードにGeForce 8800 GTXのNVIDIA SLI構成やHDDにRAID 0(もしくはRAID 1)を選択できる。PCの総合的なベンチマークで“最強”を目指すならばHDDはRAID 0に構築したいところだし、「ゲームPC」という意味で最強を目指すならば「Core2 Extreme X6800とGeForce 8800 GTX2枚差しの組み合わせ」と選びたいところだが、この評価作業ではデルが設定した「4×4」構成で測定した。

評価機に組み込まれていたCPUはクアッドコアのCore2 Extreme QX6700。日本で出荷されるXPS 710 H2Cは定格の2.66GHzに設定されている
メモリはDDR2-667MHzを4Gバイト搭載。マザーボードにはメモリスロットが4基実装されている。デルのBTOでは512Mバイト×4から1Gバイト×2、1Gバイト×4の3パターンが選べる

評価機には500GバイトのHDDが2台搭載されていた。ただし、載っていたのはBarracuda 7200.10のST3500630ASとBarracuda 7200.9のST3500641ASという混成構成。BTOでは最大容量750GバイトまでのHDDを3台まで選択できるが、筐体のベイにはHDDを4台まで搭載可能。また、RAID 0、1の構成を指定できるが、評価機ではRAIDが構築されていなかった
XPS 710 H2C EditionはノーマルのXPS700のBTOで用意されていないGeForce 8800 GTXが選択できる。もちろんNVIDIA SLIも可能。ただし、評価機にはGeForce 7950 GX2を2枚使ったQuad SLI構成が組み込まれていた

XPS710 H2CのマザーボードはチップセットにnForce 590 SLI for Intelを載せている。オンボードで用意されているインタフェースはAC97準拠 サウンドコントローラ(オンボード, 7.1ch対応) にUSB 2.0 High Speed×8、IEEE1394ポート×2など
マザーボードにもサウンドコーデック機能は実装されているが、ゲームPCらしくSoundBlaster Sound Blaster X-Fi Xtreme MusicがBTOで用意されている。ゲームユーザーに意外と軽視されやすいサウンド機能だが、FPSやシミュレータ系ゲームで威力を発揮するのでここはいい音をおごりたい

 日本で出荷されるXPS 710 H2C Editionは「現時点では」定格動作のみ選択可能であるが、BIOSにはオーバークロック設定の項目が用意されていてCore2 Extreme QX6700を搭載した場合にCPUの動作クロックを「2.66GHz」「2.93GHz」「3.20GHz」の3段階で選択できる。そこで、将来出荷される可能性のある、もしくは米国の標準設定である3.20GHzに設定して、動作の安定性も含めたXPS 710 H2C Edition本来のパフォーマンスと注目されるH2Cユニットの実力も確かめてみた。

 測定に使ったベンチマークソフトは、PC USERのグラフィックスカードレビューで定番の「3DMark06」「3DMark05」「DOOM 3」「Quake 4」「FarCry」「F.E.A.R.」に、PC全体のベンチマークとしてPCMark05とCinebench 2003を用いた。なお、GPUのドライバは評価機に導入されていた「ForceWare 93.12」をそのまま利用している。

PCMark05 PCMark
PCMark05 CPU
PCMark05 Audio Compression

PCMark05 Video Encoding
PCMark05 Image Decompression
Cinebench2003

 先にPCの総合能力を定格状態と3.20GHzにオーバークロックした状態で比較してみる。PCMark05の総合スコア「PCMark」の値は定格で6881、3.20GHzで7552と向上。CPUテストの結果は定格8459に対して3.20GHz状態では10120と、定格時を1とした場合の相対性能(以後、この記事で相対性能というときは、この条件における値を示す)で1.196とほぼ2割増しの結果を示している。2.66GHzから3.20GHzへと動作クロックが2割増しになっていることを思えばオーバークロックの発熱に屈することなく順当な性能を発揮している。CineBench 2003も同様にSingle、Multiともに、3.20GHz動作時の相対性能は1.8とクロックの増分とほぼ一致する。

3DMark06 3DMark
3DMark06 CPU
3DMark05 3DMark

DOOM3
QUAKE4
FarCry

F.E.A.R.
システムの消費電力

 一方、3Dグラフィックス性能を測定するゲームベンチの結果で、定格動作時と3.20GHz動作時の相対性能はクロックがアップしたほど顕著に示されない。3DMark06のCPU Testでこそ2割増しの結果が出ているが、そのほかの項目についてはほぼ同じ値となっている。これは市販ゲームを用いたベンチマークでも同じ傾向で、FarcryとF.E.A.R.で負荷の比較的軽い条件でこそ相対性能1.2を示すが、ほかの条件では定格動作時もオーバークロック動作時もほぼ同じ結果なる。

 PCMark05やCineBench 2003とゲームベンチで評価に影響するパーツのウエイトが異なるためにこのような傾向を示すわけだが、もし、XPS 710 H2C Editionが「最強のゲームPC」というコンセプトを持っていて、仮に将来日本でも登場するだろうオーバークロックバージョンが定格動作の製品より価格が高くなるとした場合、「最強のゲームPC」として購入するユーザーは「費用対効果」を考える限り、3.20GHz動作のCPUよりも組み込むグラフィックスカードのグレードを上げるほうがメリットがあると思われる(GeForce 8800 GTXとGeForce 7950 GX2の性能比較についてはこちらを参照のこと)。

 ただし、一般的な利用においてはオーバークロックのメリットを十分享受できる。定格から動作クロックを20%上げるとなると、通常はかなり無理なオーバークロック設定となるが、H2Cクーラーユニットの威力は凄まじく、3.20GHzの状態で上記ベンチマーク作業を行っているときでもハングアップすることはなかった。

 なお、定格動作時と3.20GHz動作時のそれぞれでワットチェッカーを用いて3DMark03のGT4とPixelShderテストにおけるXPS710 H2C Editionの消費電力を測定した値を掲げておく。以前掲載したレビュー記事でもCore2 Extreme QX6700とハイエンドGPUを組み合わせたベンチマーク用システム全体の消費電力を調べている(グラフはこちらを参照のこと)が、このとき、GeForce 7950GX2のSLI構成で440ワット前後を示していた。XPS710 H2C Editionは定格動作時でほぼ同程度であるものの、3.20GHz動作時では500ワットを超える状況にある。GeForce 8800 GTXを2枚差ししたときにどういう値を示すのか実に興味深い。

 何はともあれ、XPS 710 H2C Editionの意義は搭載するクーラーユニットにある。この強力なユニットのおかげでCore2 Extreme X6800やCore2 Extreme QX6700と組み込めるだけでなく、2割増しという通常ではなかなか実現しがたいオーバークロック設定で安定した動作を可能にしてくれる。ただ、CPUの冷却に特化しているH2CユニットはGPUの冷却に寄与してくれない。「最強のゲームPC」という観点から見た場合、ユーザーとしてはGPUこそオーバークロックして動作させたい(ForceWareで簡単に設定できるだけに)。「GPUでもH2Cユニットの強力な冷却性能を利用したい」という声にも対応できたとき、このPCのコンセプトはターゲットユーザーにより強く訴求できるのではないだろか。

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