グッドラック北京の最初のイベントとなる「2007世界ジュニアボート選手権」が、北京市郊外の順義区にあるオリンピック水上公園で実施された。その舞台裏をのぞいてみた。
競技のスコアやタイム情報はコントロールセンターで計測される。ボート競技では、時計メーカーであるオメガ製のセンサーが水中に設置され、各選手のタイムとスコアを計測する。コントロールセンター内のノートPCにデータが送信され、データフォーマットを加工したうえで会場内のサーバに送られる。サーバ内で競技結果と出身国などの選手データのすりあわせが行われ、ランキングが算出されるという流れになっている。
計測されたスコアやタイム情報だけでなく、会場内のシステムをすべて集中統制する中央コントロールセンターは驚くほど質素な造りだった。それほど広くない室内に折りたたみ式デスクが2つ置かれ、数台のデスクトップPCとノートPC、プリンタなどが設置されているだけというシンプルなものだ。また、その背後にはLenovoのロゴが入ったサーバラックが1つ鎮座していた。コントロールセンターを訪れたときはまだ競技が進行中だったため、Lenovoのロゴ入りポロシャツを着たエンジニアが忙しく立ち回っていた。
Lenovoオリンピック・テクノロジー&スポンサーシップ・ディレクターのレオン・シー(Leon Xie)氏は、「このようにテストを重ねていって本番に向けてシステムを強固にすることで、2006年トリノオリンピック本番時は何もかもがうまく行きすぎてエンジニアが暇をもてあましていたほどです。最もエキサイティングな出来事は、競技結果がプリントアウトされるプリンタが用紙切れを起こしたことぐらいでしょうか。今回の北京オリンピックではトリノオリンピックの4倍の物量が投入されていますが、国際オリンピック委員会からはトリノオリンピックを上回る、オリンピック史上最も堅牢かつ安定したシステムだと評されています」と冗談交じりにシステムの安定性をアピールし、その自信のほどをのぞかせた。


入場券の管理にはRFIDタグが使われている(写真=左)。中央の写真はコントロールセンターが置かれている建物。1階はカヌーやボートなどのガレージとして使われ、2階が控え室や救護室になる。北京オリンピックのITインフラ構造図(写真=右)。会場内のシステムだけでなく、中国内外に広がるバックアップシステムやデータセンターとのつながりが分かる

スコアリングを行う中央コントロールセンター(写真=左)と、システム全体を管理するコントロールセンター(写真=中央)。デスクトップPCとノートPC、サーバなどが数台設置されただけの小部屋だったが、このシステムがオリンピックをしっかりと支えている。コントロールセンター内に置かれたサーバ(写真=右)。隣に立っているのはLenovoオリンピック・テクノロジー&スポンサーシップ・ディレクターのレオン・シー氏だ以上、4回にわたってLenovoの現状を見てきた。IBMのPC部門買収発表から3年近い年月が経過し、“ThinkPadは変わらない”という段階を経て、Lenovoブランドの普及を世界規模で加速させている。長年のThinkPadファンにとっては、ThinkPadがLenovoのサブブランドになる、ThinkPadからIBMロゴがなくなる(2010年に終了するIBMロゴ使用権も更新しない)という事実は衝撃的だが、これらはすでに想定されていた路線とも言える。
現時点で世界シェア第4位のAcerがGatewayを買収するなど、第3位に位置するLenovoの地位も盤石ではないが、オリンピックを筆頭にスポーツのスポンサーを行うことで社名とブランドの浸透を図る一方、社内のグローバル化も急ピッチで進めている。新たなステップに踏み出した同社の行方は(ThinkPadも含めて)大いに気になるところだ。
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