同社の製品は、極力フロントオペレーションが可能なように設計されている。MFC-6490CNもその例に漏れず、紙詰まり時を除いて基本的なメンテナンスはフロントオペレーションで行えるようになっている。
4色あるインクは、本体正面の右側にBk/Y/C/Mの順でセットする。標準インクに加えて大容量インクも用意されており、大容量インクではA4用紙で最大700枚程度の印刷が可能だ(モノクロ印刷のコストはA4で約6.8円)。インクカートリッジはワンタッチで取り外しが可能なので交換も容易に行える。
また、上部のスキャナ部分が大きく開くようになっているが、この中にPC接続用のUSB端子と有線LANのポートが用意されている。ここを開くとしたらPC接続時かLAN接続時以外には紙詰まり除去程度だろう。また本体背面は紙詰まりを除去しやすいように大きく開く構造になっている。これ以外、背面にインタフェース類などはなく、電源コードは、背面から見ると右側面の上部に直付けされおり、コードの不具合発生を考えれば取り外し可能であればよかったと思う。
給紙トレイ(給紙カセット)は上段と下段で2つ用意されており、上段トレイ(トレイ1)が最大150枚、下段トレイ(トレイ2)には最大250枚、合計すると最大で400枚の給紙が可能になっている。2つの給紙トレイは「伸縮型用紙トレイ」と呼ばれる機構を搭載しておりA3用紙をセットする場合は、A3サイズにまでトレイの全長を延ばしA4用紙の場合はA4用紙の長さに縮められる。ちなみにA3用紙をセットするとトレイが本体手前側にせり出してくる。また上段トレイのフタがそのまま排紙トレイになっており、印刷後フェイスアップで排紙される。なお手差しトレイは装備されていない。
例えば両方のトレイにA3用紙をセットする使い方や、上部トレイにA4用紙をセットし下部トレイにA3用紙をセットするような使い方の場合はそれほど違和感はないのだが、下部トレイにA4用紙、上部トレイにA3用紙といった用紙の組み合わせが必要になることがある。その場合は上部トレイだけが手前側にせり出した形になってしまう。この状態でも利用に不便はないとは思うが、見た目を考えると用紙トレイで使える用紙に関しては改善が必要だと感じた。
また、セット可能な用紙のサイズが上段と下段トレイで異なる点に注意したい。上段トレイにはA3、B4、A4、レジャー、レター、リーガル、エグゼクティブ、ポストカード、インデックスカード、はがき、往復はがき、B5、A5、A6、L判、2L判、DL封筒、C5封筒、洋形4号封筒などや、88.9〜287.0×127.0〜431.8ミリまでの任意サイズと幅広いサイズがセットできるのだが、下段トレイには、A3、B4、A4、レター、リーガル、エグゼクティブ、レジャー、B5までとなっている。利用可能な用紙の種類は上段トレイでは普通紙、インクジェット紙、光沢紙、OHPフィルム、封筒、ポストカード、インデックスカード、はがきだが、下段には普通紙のみしか使えない。
付属するドライバ類とソフトウェアは従来モデルと同じだ。常駐ソフトの「ControlCenter3」を使えばスキャン/カスタム/フォトメディアキャプチャー/コピー/PC-FAX/デバイス設定といった操作が行える。レーザー系JUSTIO複合機との違いが「フォトメディアキャプチャー」の項目で、これは内蔵のカードリーダ(コンパクトフラッシュ、各種SD系メモリーカード&xDピクチャーカード、各種メモリースティック)へのアクセスを行うために新たに用意された。
スキャンデータの管理や各種連携機能(OCRやPDFデータ化)などはNewSoft Technology Corpの「Presto! PageManager」を利用する。またControlCenter3から「リモートセットアップ」を呼び出し各種設定を行うことができるようになっている。
なお、本体内部に設定用のHTMLが用意されていないので、Webブラウザ経由で情報確認や各種設定を行うことはできない。ただし、「フォトメディアキャプチャー」で内蔵カードリーダにアクセスするためのftpサービスが動いているので、httpサービスとメニュー用HTMLを用意すればWebブラウザ経由での設定も可能であろうと思われる。これはJUSTIO共通の機能なので用意してもらいたかったところだ。ネットワーク関連機能では、スキャンしたデータを指定したFTPサーバにアップする「スキャンto FTP」や、メールを使ったFAX送受信「インターネットFAX」なども使えるようになっている。
ドライバ類やソフトウェアなどは、付属のCD-ROMから一括して導入することが可能だ。無線LAN接続で利用する場合だが、バッファローのAOSSやWPAを使った接続が可能だ。ただ、USB接続か有線LAN経由でドライバ類を導入してから無線LAN設定を行うか、本体の設定機能を利用してあらかじめ無線LANに接続しておいたほうが接続時のトラブルが少ないだろう。
プリンタドライバの画面構成や設定項目などはレーザー系とは異なっている。ドライバ画面の左側に設定状況が表示され、右側のウィンドウ上部にあるタブをクリックすることで設定項目が切り替わる。どういう設定になっているのかを確認しながら設定できるので、こうした点はレーザー系にも採り入れてもらいたい。カラー設定などの詳細画面ではスライダーを使って調整でき、リアルタイムで変化が見られるようになっている。インクを乾かす時間の手動調整など細かな指定はできないものの、ビジネス向けとしては必要十分な項目が用意されている。
スキャナ用のドライバは、TWAINとWIAが用意される。両ドライバは従来通りのスキャナドライバでいずれもネットワーク経由でのスキャンをサポートする。スキャナの撮像素子はCISで光学解像度は1200dpi×2400dpiだが、TWAINドライバ経由ならソフトウェア補間により最大19200dpi×19200dpiでのスキャンが可能で、WIA経由では最大1200dpi×1200dpiに限定されてしまう点に注意して欲しい。
当然ながらコピー機能は、本体のスキャナを利用する(読み取りは最大1200dpi×1200dpi)。最大50枚までセット可能なADFを搭載しており、A4サイズでの最大コピー速度はカラーが20cpmでモノクロが23cpmとなる。コピー機能としては2 in 1、4 in 1、A3からA4の2枚に分割、B4からB5の2枚に分割、2枚×2や3枚×3のポスター機能に加え、25〜400%までの1%刻みでの拡大・縮小コピーが可能だ。
FAX機能に関しては、SuperG3対応、A3サイズの送受信は当然として、カラーFAX(A4のみ)の送受信や先述したインターネットFAXの利用、インターネット経由で受信したFAXを電話回線を使って別のFAXへリレーする機能などが利用できる。メモリ代行受信は最大で400件までとかなり余裕がある。
ほかにもFAX送信用にスキャンした原稿を液晶モニター上で確認してから送信する「見てから送信」や受信した原稿を液晶モニター上で確認する「見るだけ受信」、PC経由でのFAXの送受信や受信したFAXをリモート経由で見る「リモート取り出し」など十分な機能を持っている。ただ、先述したようにワンタッチダイヤルに登録できるのは6件まで、短縮ダイヤルは1件2番号で100件までだ。
以上、MFC-6490CNの機能をざっと見てきたが、後編ではベンチマークテストによる性能評価や、印刷サンプルの品質評価を行っていく。
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