AcerはワールドワイドでAcer(Aspireシリーズなど)、Gateway、Packard Bell、eMachinesの4つを軸に、地域やユーザーセグメント、ユーザーニーズごとにマルチブランド・マルチシリーズ展開を行う。Aspire Timelineがここまで戦略的な価格帯となる理由も、このマルチブランド戦略による効果が大きい。
「日本(のノートPC)市場は、特別なデザインや仕様が必要。ただ同一仕様で安価にワールドワイド展開したAspire oneと同じように、Aspire Timelineも世界規模で販売するので製造コストの削減が期待できる。仕様も20万円台以上で展開する競合機種と比べて妥協点はなく、メリットを存分に感じていただけるであろう自信がある」(AcerグループのJ.T.ワンCEO兼Acer会長)
「市場に革命を起こせる、“Netbookの次のステージ”はないのか──我々は“ある”と導き出した。Aspire oneはおかげさまで多くのユーザーに支持されているが、モバイルノートPCユーザーのニーズを1台でまかなうほどの性能は残念ながらない。画像や映像の編集を含むハードユースや、長期間の出張といった用途には向かないと思う。Aspire Timelineはそのようなユーザーが望む、1インチ以下の厚さ、1キロ台の重量、8時間以上駆動するバッテリー性能、そして安価を実現するノートPCに仕上げた。これは日本のモバイルノートPCユーザーのニーズも満たせると思う」(日本エイサー代表取締役のボブ・セン社長)
モバイル利用におけるニーズには、重量やバッテリー駆動時間以外に「快適さ」も挙げられる。Aspire TimelineはNetbookやミニノートPCに採用例が多いAtomではなく、超低電圧版のCore 2 Duoを採用したことで実現する実質速度以外に「熱くならない」工夫も取り入れた。CPUなどが発する熱源と底面の間にエアフローを発生させて冷却する、インテルの「Laminar Wall Jets Technology」を採用によりボディ表面が熱くならず、長時間のモバイル利用も快適に行えるとしている。
Aspire Timelineは基本モデルのAS3810TとAS5810T以外に、単体GPU(ディスクリートGPU)モデルや、SSDオプション、Centrino 2 プロセッサー・テクノロジー(Centrino 2)準拠モデル、3GワイヤレスWAN(HSPA)/モバイルWiMAXモジュール内蔵モデルなどの追加も予定する。
単体GPU搭載モデルは、ATI Mobiloty Radeon HD 4330などの選択肢を2009年7月以降を目標に用意する予定だという。負荷の高い処理時は単体GPUを使用し、通常利用時はチップセット内蔵のグラフィックス機能でバッテリー消費を抑えたいといった使い分け用途のニーズを満たすものとなる。外付けGPU使用時はチップセット内蔵グラフィックスの競合機種と比較し、3倍以上の3DMark06スコアを実現するとしている。
SSDオプションは、当初はインテル製の80Gバイトモデルから。追って160Gバイトモデルなども追加する予定だ。SSDとCentrino 2プラットフォームにより、バッテリー駆動時間は標準モデルの8時間から最大10時間まで延長される。
3GのワイヤレスWANやモバイルWiMAX(日本ではUQ WiMAX)の内蔵も、今後意欲的に行っていく考えだ。日本におけるワイヤレスWANの実装は通信事業者との兼ね合いもあり、どの通信事業者と連携するかももちろん未定だが、できるだけ早く実現したいという。
発表会場では、エイサー製品のWindows 7への対応についても言及された。
基本的には、NetbookのAspire oneシリーズはWindows 7 Starterを採用し、Windows Vista Home Premium(SP1)を採用するAspire TimelineシリーズもWindows 7Home Premiumへのリプレースを予定する。ただ、法人需要も担うTravelMateシリーズも含めて、当分はWindows Vistaの選択肢も残すようだ。
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