マイクロソフトのMac BU(Macintosh Business Unit)は8月13日午前8時 (太平洋標準時/日本時間8月14日0時)、Live Meetingを使った国際プレスカンファレンスを開催し、Mac版Officeについて3つの発表を行った。
1つ目は「Entourage 2008 Web Services Edition」の即時リリースについて。2つ目は「Microsoft Office 2008 for mac」を9月15日以降、新しいパッケージ構成で発売するという発表。そして、3つ目はOffice for macの次期バージョンを2010年末に発売し、その目玉として新アプリケーション「Outlook for mac」を追加するという内容だ。
「Entourage 2008 Web Services Edition」は、「Microsoft Office SharePoint Server」の一部として、同製品のユーザーは本日から無償のダウンロード提供が始まる。同製品はこれまでの「Entourage 2008 for mac」が使っていたWebDAVプロトコルに代わり、よりモダンでパフォーマンスのよいExchange Web Servicesプロトコルを使うことでパフォーマンス向上を図ったアプリケーションで、ユーザー設定のオートディスカバリー機能やEntourage 2008のメモ、仕事、カテゴリなどの情報をExchange Serverと同期することも可能になっている。またExchangeカレンダーイベントに添付ファイルが利用にできるといった改善も行われている。
「Entourage 2008 Web Services Edition」は、9月15日発売の「Office 2008 for mac Business Edition」にも同梱される(「Entourage 2008 for mac」と「Entourage 2008 Web Services Edition」のどちらをインストールするかは、インストール時に自動選択される)。
Mac BUからの2つ目のニュースは「Office 2008 for mac」のパッケージ構成についてだ。従来は「Microsoft Office 2008 for Mac ファミリー&アカデミック」、「Microsoft Office 2008 for Mac」(スタンダード版)、Microsoft Expression Mediaをバンドルした「Microsoft Office 2008 for Mac Special Media Edition with Microsoft Expression Media」の3パッケージ構成だった。
MacBUゼネラルマネージャーのEric Wilfrid(エリック・ウィルフリッド)氏は、カンファレンスの冒頭で現行の「Office 2008 for mac」は好調で「購入者の90%が、友人や家族に勧める」といった調査結果がでていることを紹介。その一方で「どのパッケージを買ったらいいかで迷う」という顧客の声があったことにも触れ、今回のパッケージ構成変更はその声に応えたものだと語っている。
新構成では「Microsoft Office 2008 for Mac ファミリー&アカデミック」は従来通り発売されるが、「Microsoft Office 2008 for Mac Special Media Edition with Microsoft Expression Media」はラインアップから消え、新たに「Microsoft Office 2008 for Mac」(スタンダード版)が「Microsoft Office 2008 for Mac Business Edition」として生まれ変わる。
いずれのパッケージもPowerPointのパスアニメーション機能などの新機能が加わった「Office 2008 for mac SP2」(7月21日発表)がベースになっている(関連記事:「動画とインタビューで見る「Office 2008 for mac SP2」)。また、これらの構成変更に伴いパッケージデザインも刷新される。
今回の発表では最後に「One more thing...」(最後にもう1つ)のサプライズ発表として、次期Office for macについての紹介があった。バージョン名や細かな機能については一切明かされていないが、Office for mac次期バージョンは、これまでの製品開発サイクル通り順調に開発が進んでおり2010年のクリスマスシーズンまでには発売が開始されるという。
今回、その次期Office for macについて唯一明かされたのが、メールや連絡先、カレンダーなどの情報を扱うアプリケーションとして、新たにOutlookのMac版を同梱するという内容だ。OutlookのMac版は、「Entourage 2008 Web Services Edition」のすべての機能を継承しつつも、まったく別のアプリケーションになっているとEric Wilfrid(エリック・ウィルフリッド)氏は言う。同氏はすでに同製品を1年間にわたってテストしているが、Windowsを使う同僚との協調作業も極めて快適に行えているという。
Outlook for macには、いくつか大きな特徴がある。まず1つは、旧Mac OS時代からあるEntourage旧バージョンからの流れを断ち切り、新たにCocoaフレームワークで1から開発したこと。フレームワーク技術の変更で、OutlookのMac版はよりインタフェースが洗練され、パフォーマンスも向上し、OSとの親和性もさらに高くなると説明している。
2つめは、メールなどの情報を蓄積するデータベースの構造を刷新したことだ。この変更によりデータ管理の信頼性が高まり、パフォーマンスの向上も実現、さらにMac OS Xのバックアップ機能である「Time Machine」や「Spotlight」検索機能との親和性も増す。
また3つ目の特徴として「Information Rights Management(IRM)」の機能が盛り込まれる。これは企業などで日々取り扱う社外秘や部外秘といった極秘情報を効率的に管理するための技術だ。
OutlookのMac版は、Windows版のOutlookとは明らかに異なる新しい特徴を備えたうえで、完全な互換性も実現するとしている。Eric Wilfrid(エリック・ウィルフリッド)氏は、「この相反する2つの目標を両立することがMac BUの原則だ」と語った。
今回のプレスカンファレンスで次期Office for macについて明らかにされた情報はここまでだったが、Mac BUではすでにもう1つ「次期Office for macではVisual Basic機能を復活させる」ことを明かしている。なお、ほかにもノキア製携帯電話版のOffice開発にあわせてiPhone版の開発予定もあるのかといった質問も出たが、返答は「それについて今日発表できることは何もない」というものだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.