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第2回 エプソン「カラリオ」の売れ筋プリンタ3台を見極めるプリンタ09-10年モデル徹底検証(3/5 ページ)

» 2009年12月21日 18時15分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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各モデルの省スペース性とインタフェース

 EP-902A、EP-802Aともに先代のボディサイズを踏襲しており、高い設置性を備えている。単純に底面積だけを比べるならば、EP-802Aの466×385ミリが最も小さい。しかし、EP-902AとEP-802Aは、使用時に排紙トレイが手前に最大で200ミリ程度飛び出すため、全体の奥行きはかなり長くなる。一方、後部トレイはないため、背後に必要なスペースは未使用時と変わらない(電源などのケーブルが出っ張るが)。

 新デザインのEP-702Aも底面積は450×386ミリと小さく、前面の排紙トレイを最大に引き出しても奥行きが160ミリ程度しか延びないが、給紙機構に後部トレイを採用している関係上、後部トレイを引き出すぶんのスペースとして、背後に60ミリ程度を余分に確保しておく必要がある。また、スムーズに給紙をするために周辺の空間にも配慮しなくてはならない。異なる種類やサイズの用紙を使用する場合、後部トレイの1系統給紙では用紙交換の頻度も上がるため、なおさら設置場所は限られてくる。

 こうして考えると、やはり給紙、排紙の機構をフロントに集約したEP-902AとEP-802Aのデザインは優れている。さらに無線LAN機能を備えているので、電源さえ確保できれば設置場所を選ばないのもポイントだ。

 なお、EP-902AとEP-802Aに自動両面印刷ユニット(EPADU1)を装着すると、奥行きが70ミリ程度増すので、増設を考えている人は設置場所に注意が必要だ。自動両面印刷ユニットは、A4や普通紙だけでなく、郵便ハガキや写真用紙<絹目調>、スーパーファイン専用ハガキもサポートしている。

 インタフェースはEP-902AとEP-802Aが標準で有線/無線LAN機能を装備。Bluetoothはオプション扱いになるが、PictBridge対応USBポート、赤外線ポート、マルチカードリーダーを備えており、接続性は満足できる。メモリカードリーダーは、アダプタなしでコンパクトフラッシュ/マイクロドライブ、メモリースティックPRO、SDメモリーカードスロット(SDHC対応)、xDピクチャーカードを装着可能だ。

本体サイズと重量
製品名 EP-902A EP-802A EP-702A
未使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 466×385×198ミリ 446×385×150ミリ 450×386×195ミリ
使用時の本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 466×585×198ミリ 466×585×150ミリ 450×606×275ミリ
重量 約10.5キロ 約9キロ 約8.4キロ

インタフェース
製品名 EP-902A EP-802A EP-702A
USB 2.0
有線LAN 100BASE-TX 100BASE-TX △(オプション)
無線LAN IEEE802.11b/g IEEE802.11b/g △(オプション)
Bluetooth △(オプション) △(オプション) △(オプション)
PictBridge
赤外線
メモリカードリーダー CF、SD、MS、xD CF、SD、MS、xD CF、SD、MS、xD

EP-902A:本体サイズは466(幅)×385(奥行き)×198(高さ)ミリで、重量は約10.5キロだ。前面の排紙トレイを引き出すと、奥行きは200ミリ程度延びる。天面にADFを搭載していても、高さは200ミリを切る薄型に仕上がっている。後部トレイはないが、背面に電源やUSBなどのコネクタがあるため、壁面にギリギリまで寄せて設置することはできない

EP-802A:本体サイズは446(幅)×385(奥行き)×150(高さ)ミリで、重量は約9キロだ。前面の排紙トレイを引き出すと、奥行きが200ミリ程度延びる。高さは150ミリと非常に薄い。横幅も446ミリと短く、省スペース性は高い。EP-902Aと同様、背面に3ピンの電源やUSBのコネクタが出っ張るのは惜しい

EP-702A:本体サイズは450(幅)×386(奥行き)×195(高さ)ミリ、重量は約8.4キロだ。高さはADF搭載のEP-902Aに近い約195ミリとなっている。後部給紙トレイと前面排紙トレイを採用するため、使用時には前後に専有面積が広がる。USBコネクタは本体内部にあってケーブルだけを後方に引き出す仕様で、電源コネクタは背面のくぼんだ位置に横向きで配置されているため、未使用時は壁面にかなり寄せて置ける

EP-902A:オプションの自動両面印刷ユニットを装着すると、使用時の奥行きは約655ミリまで延びる
EP-802A:EP-902Aと同様、自動両面印刷ユニット装着時は、使用時の奥行きが約655ミリに延びる

PCレス/ダイレクトプリント機能の使い勝手

 操作パネルのインタフェースは3モデルで異なっている。最も操作感が優れているのは、やはり7.8型タッチパネル(液晶モニタは3.5型)を採用しているEP-902Aだ。通常ならば、項目選択の操作と決定の操作で、最低2回のアクションが必要になるところ、タッチパネルならば1回のアクションで済むことが多い。

 このため、階層をどんどん潜っていくようなメニュー設計でも、さして煩雑さは感じない。3.5型と大きな液晶モニタに対してアイコンのサイズが大きいが、これは誤操作を防ぐためだろう。そして、タッチパネルの利点を生かし、次の操作に用いるボタンアイコンだけが点灯するライトナビゲーションを採用することで、使い勝手をさらに高めているのが好印象だ。強いていえば、アイコンの大きさゆえに1画面内の表示項目が少なくなっているのが気になるが、この辺りは視認性とのトレードオフなので、やむを得ないところだろう。

 EP-802Aは2.5型液晶モニタとプッシュ式ボタンを組み合わせたスタンダードな構成だ。従来機のEP-801Aからメニュー構造を改善し、トップメニューに8つのアイコンを同時表示することで、各機能にアクセスしやすくしているのが目を引く。起動時間は速いのだが、メニューは操作するたびに特殊効果が付きまとうため、全体に動きが少しもっさりしていると感じることもある。データの処理自体はEP-902Aと同じく高速なので、この点が実にもったいない。

 EP-702Aは2.5型液晶モニタと多数のプッシュ式ボタンなど、EP-802Aと似た操作パネルを採用している。もっとも、本体の横幅いっぱいに操作パネルのスペースを確保しているため、EP-802Aよりもレイアウトに余裕が感じられる。ボタン間に適度な余白があるため、マルチフォトカラリオおなじみの「左から右に流れるようにボタンを押していく操作」が把握しやすい。起動に時間がかかるのと印刷中にほかの操作ができないのは難点だが、操作に対するメニューのレスポンスはよく、これまでカラリオを使ってきたユーザーにとっては扱いやすい仕上がりといえる。

操作パネル
製品名 EP-902A EP-802A EP-702A
ボタン数 2個+タッチパネル 16個 17個
液晶モニタ 3.5型(タッチパネル7.8型、チルト対応) 2.5型(チルト可) 2.5型(チルト可)
電源投入から操作可能までの時間 6秒8 7秒1 35秒1
メモリカード装着時の自動表示
印刷中にほかの操作ができるか

EP-902A:3.5型液晶モニタを内蔵した7.8型タッチパネルを採用。操作パネルはチルト角度を調整できる。写真のサムネイルは同時に9コマまで表示可能だ

EP-902A:タッチパネルは状況に応じて操作可能なボタンのみが点灯するため、扱いやすい

EP-802A:フラットなボタンを敷き詰めた操作パネルは、中央に2.5型液晶モニタを内蔵。操作パネルはチルト調整に対応する。写真のサムネイルは同時に9コマまで表示できるが、EP-902Aより画面サイズが小さいため、視認性は少々下がる

EP-702A:EP-802Aと似た操作パネルを採用するが、本体の横幅いっぱいにスペースを確保している。操作パネルはチルト調整が可能。EP-802Aと同様、写真のサムネイルは同時に9コマまで表示できる

 次のページでは、そのほかの付加機能や画質にフォーカスする。

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