Phenom II X6シリーズとして登場するのは「Phenom II X6 1090T Black Edition」と「Phenom II X6 1055T」の2モデル。開発コード名「Thuban」と呼ばれてきた6コア内蔵のモデルだが、45ナノプロセスルールを採用するなど基本的な構造は従来の「Deneb」とほぼ共通だ。2次キャッシュメモリはコアごとに512Kバイト、3次キャッシュメモリはコア共有で6Mバイト実装する。CPUに統合されたメモリコントローラは、DDR3-1066、またはDDR2-1066をサポートする。TDPは120ワット。
Phenom II X6シリーズでは、システムの状態に合わせて動作しているコアのクロックを自動でアップする「Turbo CORE Technology」が導入された。インテルのTurbo Boost Technologyに近い技術だが、Turbo CORE Technologyでは、3コア単位で動作クロックが制御され、6コアが有効になっている状態ではオーバークロックにはならない。有効なスレッドが3つ以下になると、動作しているコアの倍率設定が上がって動作クロックが上がる仕組みになっている。なお、モデルナンバーの末尾に「T」を付けることで対応を示すとしている。
Phenom II X6 1090Tは定格動作で動作クロックが3.2GHzだが、Turbo CORE Technology有効時では最高で3.6GHzまで上昇する。また、Phenom II X6 1055Tも、低格では2.8GHzだが、Turbo CORE Technologyによって最高3.2GHzまで上昇する。
Phenom II X6 1090Tの実売予想価格は3万円台半ばとされており、すでに予約が始まっているパーツショップなどでは3万5000円を下回る実売価格を設定しているケースもある。同様に、Phenom II X6 1055Tは実売予想価格が2万円台前半といわれている。
AMD 890FXは、すでに登場しているAMD 890GXの上位モデルとなるチップセットで、グラフィックスコアを統合しないタイプだ。グラフィックスカードを組み込むPCI Express x16スロットの2基搭載に対応するほか、42レーンのPCI Expressをサポートする。また、サウスブリッジとして組み合わせるSB850にはUSB 3.0とSerial ATA 6Gbpsのコントローラが内蔵される。
AMD 880Gは、グラフィックスコアとしてDirectX 10.1に対応するRadeon HD 4250を統合したチップセット。AMD 870はAMD 880Gからグラフィックスコアを省いた構成になる。ただし、プロセルルールはAMD 880Gが55ナノメートルであるのに対し、AMD 870は65ナノメートルを採用する。そのため、AMD 880GはAMD 890GXの下位モデル、AMD 870はAMD 890FXの下位モデルという位置づけになる。ともに、サウスブリッジにはSB710を組み合わせるので、USB 3.0とSerial ATA 6bpsを利用するには専用コントローラをオンボードで搭載する必要がある(一部のマザーボードではSB850を組み合わせるケースも確認されている)。
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