コミュニケーション関連の機能も、iPhone 4で強化された。
まず携帯電話の基本である電話機能だが、ここでは2マイク化の恩恵が思ったよりも大きかった。
WWDCでの発表のとおり、iPhone 4にはセカンドマイクが用意されており、このセカンドマイクは電話機としてiPhone 4を使う際にはノイズキャンセル機能で利用する。例えば、駅のホームや雑踏などで電話を使うと、相手側に伝わるノイズが軽減されるため聞き取りやすくなる。これは仕事でiPhoneを使うユーザーにとって、地味だが効果の大きい機能だ。さらに、この2番目のマイクはスピーカーフォンでiPhone 4を使う際には、メインマイクになり、従来よりもクリアーなハンズフリー通話の実現に貢献する。iPhoneを使うと、電話中にメールやカレンダーを確認するために、ケータイよりもスピーカーフォンを多用する機会が増えるが、ここでも音質向上がされているのは高く評価したいポイントだ。これらの機能向上もあり、iPhone 4は電話機として使ってもかなり使いやすい。
一方、今回のiPhone 4で注目の新機能「Face Time」だが、こちらはビデオ通話の可能性を感じた。音声電話からビデオ通話への切り替えはスムーズで、Wi-Fi環境で動いていることもあり、画質はかなりよい。UIは直感的でわかりやすく、アウトカメラで見せたいものを撮影したり、横向きでのワイド表示で家族・友だち同士でビデオ通話できるなど、「テレビ電話」としてのクオリティや完成度はかなり高い。しかも、これまでキャリアが提供していたテレビ電話と違い、Face TimeはSkypeのビデオチャットのように無料で使える。これは大きなメリットだ。
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しかし、Face TimeがiPhone 4のキラーサービスになるかというと、それは難しい。Face Timeは今のところiPhone 4同士でしか使えず、しかもお互いがWi-Fi環境にいることが必須なので、利用シーンが限られるからだ。Face Timeが普及するにはパソコン向けのクライアントソフトや、次期iPadやその他のデジタル家電でも広く同機能に対応する必要がある。Face Timeのソフトウェアやサービスの出来映えは悪くないだけに、この楽しさを広げて定着させるには、いち早い利用環境の整備が必要だろう。
WWDCで初めて触ったときに感じ、実際に使ってみて確信したのは、iPhone 4が“普通のケータイユーザー”を魅了するに十分なものに仕上がっているということだ。iPhoneのコンセプトやエコシステムの魅力などを十分に理解していなくても、店頭でパッと見て手にしただけで普通の人が欲しくなる。iPhone 4はユーザーの裾野を拡大し、日本のケータイ市場を竜巻となって席巻するだろう。
iPhone 4が店頭に並んだら、いちどは触って体験することをお勧めする。その魅力と、ケータイやモバイルインターネットの世界を革新させる力を実感できるはずだ。
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