米Appleは6月21日、iPhoneとiPod touch向けの最新OS「iOS 4」の配信を開始した。日本では6月22日午前2時ごろから配信された。
アップデートは、最新の「iTunes 9」をインストールし、iPhoneをPCに接続して実施する。iTunesを起動したら「デバイス」からiPhoneを選び、「概要」タブの「アップデートを確認」を選択後、「インストール」をクリックするとアップデートが開始する。なお、以下に紹介するiOS 4の動作確認は、すべて「iPhone 3GS」で行った。
iOS 4の新機能の中でも大きなトピックといえるのが、複数のアプリケーションを切り替えて利用できる「マルチタスク」に対応したことだろう。これまでは、例えばカレンダーを見ながら特定の日の天気予報をWebサイトで調べたいといった場合、いったんカレンダーアプリを終了してホーム画面に戻ってからブラウザを起動する必要があったが、マルチタスクを利用すれば、ホーム画面に戻らずにほかのアプリに切り替えられる。また、iPod以外のアプリの音声をバックグラウンドで再生したり、SkypeなどのVoIP機能を備えたアプリを常駐させ、ほかのアプリの利用中に着信を受ける、といったことも可能になる。なお、マルチタスクはiOS 4に対応したアプリでのみ利用できる。
ホーム画面の表示中またはアプリの起動中に、ホームボタンをダブルタップすると、起動中のアプリ一覧が画面下部に表示される。この中から任意のアプリを選ぶと切り替わる。この一覧からアプリを消去(終了)するには、アイコンをロングタッチしよう。アプリに付いた「−」アイコンをタップすると、アプリが終了する。多数のアプリを起動したままにしておくと動作速度への影響が懸念されるので、頻繁に使わないアプリはこまめに消しておこう。
マルチタスク一覧の左端にはミュージックプレーヤーが用意されており、iPhoneに保存した音楽の再生、一時停止、早送り、巻き戻し、曲送りなどが可能。さらに、プレーヤーの左端にあるロックアイコンをタップすると、モーションセンサーがオフになり、iPhoneの画面の向きが縦表示に固定される。これまでは、例えば寝転がりながらiPhoneのブラウザを起動すると、画面が勝手に横向きに回転するといったことが多かった。この設定を利用することで、気づいたら横画面に……という事態を防げるので、嬉しい改善といえる。
なお、iPhone OS 3.xでは、ホームボタンをダブルタップすると、あらかじめ設定した機能を起動できたが、iOS 4ではマルチタスクの対応により、このショートカットは利用できなくなった。
マルチタスクを利用できる機種はiPhone 4、iPhone 3GS、第3世代iPod touch(2009年秋に発売された32Gバイトと64Gバイトモデル)で、iPhone 3Gと第2世代iPod touch(2008年秋発売)では利用できない。また、このほかの機能についても、iPhone 3Gと第2世代iPod touchでは利用できない場合があるので注意したい。
これまではロック中の画面のみ設定できた壁紙が、iOS 4ではホーム画面の背景にも設定可能になった。ロック中の画面とホーム画面どちらも同じ壁紙にできるほか、それぞれで異なる壁紙を設定することもでき、壁紙を設定する楽しさが増した。なお、iOS 4では内蔵壁紙も変更されており、iPhone OS 3.xで利用できた一部の壁紙がなくなっている代わりに、新しい壁紙が追加されている。
ホーム画面のもう1つの大きな変更点として、アプリを格納できるフォルダの作成が可能になった。これまで、ホーム画面に設置できるアプリは基本的に176個(16個×11ページ)だったが、フォルダを利用することで、最大2160個のアプリを管理できるようになる。
フォルダを作成するには、任意のアプリをロングタッチしてドラッグし、同じフォルダに入れたいアプリへドロップすればよい。例えば、Twitterクライアントをまとめたフォルダを作りたい場合、任意のTwitterアプリを、別のTwitterアプリへドラッグ&ドロップすればよい。フォルダ名は各アプリのカテゴリーが自動で表示されるが、編集することもできる。
カメラ機能も拡張し、静止画撮影時に最大5倍のデジタルズームが可能になったほか、動画撮影時には、タップしたポイントにピントを合わせられるようになった。
アルバムには「撮影地機能」が追加され、撮影した場所ごとに写真を表示できる。筆者の場合、2009年11月に中国と香港、2010年2月にバルセロナ、5月に韓国を訪れたので、地図上で、これらの場所にフラグが立っている。ピンチインで地図を拡大すると、さらに細かい地域ごとにフラグが分かれ、日本なら「東京で撮った写真」「千葉で撮った写真」といった具合に写真を表示できる。さらに、位置情報サービスのオンとオフはアプリごとに切り替えられるようになった。
このほか、Macの「iPhoto」で管理した写真を人物ごとに表示する機能も追加された。
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