「とにかく広い」「建物が新しい」「緑が多い」――Huawei(ファーウェイ)本社へ最初に足を踏み入れたときの感想だ。Huaweiは11月19日〜21日、中国の広東省・深セン市の本社でプレス向けのツアーを実施。同社のショールームやデータセンター、ロジスティクスセンターなどを見学してきたので、その内容をリポートしよう。
Huaweiは1988年に中国の深セン市に設立され、次世代通信ネットワークソリューションのプロバイダーとして事業を展開してきた。同社は中国のほかにマレーシア、ロシア、イギリス、ブラジル、エジプト、アメリカ、南アフリカなどでも事業を拡大。日本では2005年11月にファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)を設立し、HSDPAやLTE基地局、高速データ通信端末などを供給している。同社はGSM市場で大きなシェアを獲得し、3G市場でも存在感を高めている。
Huaweiの従業員は8万7000人以上で、その57%は現地採用スタッフ。中でも本社は規模が大きく、従業員は約3万人に上る。訪れた本社の“キャンパス”は非常に広大で、面積は1.1平方キロメートル。東京都千代田区の面積は11.64平方キロメートルなので、Huaweiはその約10分の1を占めることになる。ちなみに、アイティメディアのあるJAビル(1万3400平方メートル)なら約82個分、東京ドーム(4万6755平方メートル)なら約23個分に相当する。会社がマンションの一室だったこともある筆者にとっては次元の違う規模だ。
徒歩ですべての施設を移動するのは困難なため、キャンパスにはシャトルバスが定期的に運行しており、会議などで施設を移動する際に使うこともあるという。近代的な建物が立ち並ぶ周囲は緑であふれており、企業というよりは大学のような雰囲気だ。なお、現在の本社は2001年に建設された。
社員の平均年齢は29歳と若く、昼時に食堂へ移動する社員がほぼ全員私服だったこともあってか、日本の一般企業よりもカジュアルな印象を受けた。キャンパス内には「百草園」という社員寮もあり、プールやジムなどの設備も充実している。また社員向けのクラブ活動も行われているという。ちなみに百草園という名前は、寮内に100種類以上の植物があることに由来する。洗練された建物と辺り一面に広がる植物を見ると、とても会社の敷地とは思えず、いわゆる日本の“社宅”とは違った趣だ。部屋は満室で、空室待ちの状態だという。
ショールームには基地局やネットワークソリューションなどの最新技術や装置を展示されている(残念ながら、基地局や一部の端末、施設は写真撮影が禁止されていた)。エベレストに設置された世界最高地(標高6500メートル)にある基地局や、世界最小の基地局、太陽光で発電できるソーラーパネルと連携した基地局などが目を引いた。世界最小の基地局は面積が0.25平方メートルで、2G、3G、4Gの異なる通信方式に対応しているという。
「通信の70%が室内で行われている」(説明員)ことから、室内向けのソリューションも充実している。最新のフェムトセル機器にはIPTV(インターネットを利用したデジタルテレビ)、カメラ、ホームゲートウェイが備えられており、「このフェムトセル装置を利用することで、ユーザーは効率よくネットワークを構築できる」(説明員)という。
ショールームではLTEとWiMAXのデモンストレーションも実施。LTEは2009年にノルウェーのオスロで世界初のLTE接続に成功したこともあり、今後も同社が注力していく分野だ。実証実験では最速で下り150Mbpsを記録したという。さらに、効率よくネットワークを移行するための工夫を施している。これまで、アップデートの際はソフトウェアとハードウェアの両方を修正する必要あったが、Huaweiの最新技術を使うことで、単一のハードウェア上でソフトウェアを書き換えるだけで次世代ネットワークへ移行できる。この手法により、「他社の基地局に比べて5分の1の消費電力で2倍以上の速度が出る」(説明員)という。
同社は中国で普及しているIPTVのソリューションも開発。自分が視聴中の番組をほかのユーザーに紹介できるほか、メッセージの送信やテレビ電話も可能だ。
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