来た、見た、触った!!――写真で解説する「iPhone 4」WWDC 2010現地リポート(1/2 ページ)

» 2010年06月08日 15時50分 公開
[神尾寿,ITmedia]
Photo WWDCでは世界中のメディア関係者が集結。筆者も含め、多くのジャーナリストがiPhone 4の完成度の高さに驚嘆していた

 米Appleのスティーブ・ジョブズCEOは6月7日(現地時間)、iPhoneの新モデル「iPhone 4」を発表した。既報のとおり、これは外観デザインからハードウェア構成、OSなど基本ソフトウェアまで一新されたフルモデルチェンジであり、Appleのデジタルライフスタイルおよびモバイルインターネット戦略の“次の一手”を指し示すものだ。

 iPhone 4は1つのプロダクトとして見ても、ライバルを突き放す進化を遂げている。スマートフォンで世界最薄となったスリムデザインや高精細で見やすく鮮やかなRetina(網膜)ディスプレイ、高感度で使い勝手のよい裏面照射型CMOSの500万画素カメラ、そして高いパフォーマンスと長時間のバッテリー駆動を実現したApple A4プロセッサーなど見どころが満載だ。

 筆者はこのiPhone 4を、米サンフランシスコのWWDC会場でいち早く試す機会を得た。新型iPhoneは、どれほどの進化を遂げたのか。ファーストインプレッションをお届けしたい。

凝縮感と持ちやすさが両立したスリムボディ

Photo iPhone 3GSとiPhone 4を並べたところ。デザインのテイストが変わったことで、よりコンパクトに、かつ上質に見えるようになった

 iPhone 4最大のトピックス。それが抜本的なデザインの変更だ。iPhoneシリーズはこれまで、初代から3代目のiPhone 3GSまで、全体的にやや丸みを帯びたフォルムが採用されていた。さらに2代目のiPhone 3Gと3代目のiPhone 3GSは、ボディデザインはほとんど変えずに性能を向上させたマイナーチェンジという位置づけであったが、iPhone 4ではデザインがすべて一新。背面がフラットになり、全体的に直線的でシャープな印象のものへと変更された。

 実際に手にしてみると、この新しいデザインは写真で見るよりもずっといい。iPhone 4の外形寸法は幅58.6×高さ115.2×厚さ9.3ミリとiPhone 3GSよりひとまわり小さくなったが、デザインがすっきりとシャープになったことで、数字以上に“ギュッ”と引き締まった凝縮感を感じる。実際に小さくなったことと、この視覚効果の両方によって、iPhone 4はとてもコンパクトに感じるのだ。さらに周囲をめぐる金属パーツと、背面パネルの塗装がさらに高品質化したことにより、目で見て手で触ると納得する高級さも醸し出している。

 一方、iPhone 3GSまでの丸みを帯びたキュートさが好ましいと感じる人は、純正アクセサリの「Bumper」を使うといいだろう。これと白いiPhone 4を組み合わせると、それまでの高級感が一転してポップでカジュアルな印象になる。

Photo iPhone 4用の専用アクセサリ、「Bumper」。iPhone 4の周囲に巻き付けて端末を保護しつつ、カラフルな彩りを加えられる。色はwhite、black、blue、green、orange、pinkの6色を用意する

 デザインと機能を高いレベルで両立させる、Appleならではの「こだわり」も健在だ。その代表例とも言えるのが、本体周囲を覆う金属パーツ。よく見るとここにスリットが入っている。これは金属パーツを3分割にして、3GやWi-Fi、GPSなどのアンテナとして使うための機構だ。実際に測定や実地テストをした訳ではないが、この機構では従来よりもアンテナ部の露出が増えるため、各種電波の感度がこれまでより向上することが期待できる。デザインのアイデンティティをもって、機能上の必要性まで満たしてしまうという「こだわり」はすなおに脱帽である。

photo iPhone 4の中身を説明するApple CEOのスティーブ・ジョブス氏。実際に動くiPhone 4を手にすると、その基本設計の美しさとこだわり、工夫の多さに舌を巻くばかりだ
PhotoPhoto iPhone 4の正面。基本的なフォルムは変わらないが、インカメラなどが追加されている。ディスプレイパネルはヘリコプターや高速鉄道のフロントガラスなどに用いられるアルミノケイ酸ガラス製。とても滑らかで、さわっていて気持ちいい。耐指紋コーティングがされているので、指紋もあまり気にならない
PhotoPhoto 本体上部はスリープ/ウェイクボタン、3.5φのイヤフォンマイク端子、そして小さな穴はノイズキャンセル用のセカンドマイク。セカンドマイクは周囲の雑音を拾って、通話をよりクリアーにするためのもの。本体下部は従来どおり、Dockコネクターとマイク・スピーカーを搭載
PhotoPhoto 左側面にはボリュームコントロールとマナースイッチ。ボタンは金属になり、高級感が増した。マナーは従来機どおりのスライド式で使い勝手は抜群によい。右側面にはマイクロSIMのスロット。従来どおり専用ピンを使用する
Photo 背面パネル。iPhone 3GSと異なり、完全にフラットになった。500万画素カメラの隣にはLEDフラッシュも搭載されている
PhotoPhoto 前面にはインカメラ、スピーカー、照度センサーなどが搭載されている。金属パーツに入ったスリットは、金属部分を異なる無線機能のアンテナとして使うための分割機構。これにより高い電波感度とデザイン性の両立を実現したという
Photo iPhone 4はインカメラも搭載。新サービスの「FaceTime」のほか、さまざまなアプリでの活用が予想される

何も損なわず「キレイ」

 iPhone 4を動かしてみると、まずはディスプレイの美しさに目を奪われる。

 既報のとおり、iPhone 4はディスプレイの解像度が640×960ピクセルに向上。iPhone 3GSまでに比べて4倍の高解像度化を果たした。さらに新搭載の3.5インチIPS液晶により、明るく鮮やかな表示を可能にしている。

PhotoPhotoPhoto iPhone 4を手にとってまず最初に感動するのは「ディスプレイの美しさ」。単純に高解像度化しただけでなく、人が見て美しいと感じる要素が詰め込まれている。これを実機で見たら、発作的に欲しくなる人は多いはず

 しかし、単純にスペックが向上しただけではない。iPhone 4では画面解像度の向上に合わせてソフトウェアも最適化されており、日本語をはじめとする各種フォントがくっきりと見やすくなっている。また写真や映像はより自然な感じに表示されるようになっており、ごく自然な「きれいさ」を表現している。“Retina Display”(網膜ディスプレイ)という名前のとおり、人間の目が感じる美しさを実現するように作られているのだ。iPhone 4で写真・動画、Webサイトを見ると、その美しさに圧倒される。iPhoneの店頭展示はモックアップではなく実機展示を基本方針にしているが、このiPhone 4が日本で発売されたら、「ディスプレイの美しさの体感」は、とても強い店頭訴求力になりそうだ。

 iPhone 4の高解像度化にあたり、従来のiPhone用の解像度で作られたアプリなどを拡大表示する機能も用意されたが、こちらも文字などがアップコンバートされるため違和感のない表示になる。iPadでもiPhoneアプリの拡大表示機能が用意されているが、それと比べるとジャギーも目立たず実用的だった。

 また高解像度化をすると、画面のスクロールや拡大/縮小など反応速度がもたつくといったケータイ/スマートフォンもあるが、iPhone 4を試した限りは、そういった問題は一切なかった。詳しくは後述するが、従来のiPhone 3GSより画面は滑らかに動き、各種動作もサクサクと快適だ。高解像度でキレイな画面表示を手に入れても、何も損なわれない。これはiPhone 4の大きな魅力になるだろう。

PhotoPhotoPhoto Retina Display(網膜ディスプレイ)は、人の目に最適な表示を実現している。小さな文字でも見やすい。写真一覧画面も従来よりも美しく見やすい表示なのが分かる
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