エプソンは6月30日、産業用のインクジェットラベルプリンタ「SurePress L-4033A」を発表した。2010年10月よりエプソン販売が直販を開始する。価格はオープンで、市場価格は2500万〜3000万円、インクは1本あたり2万円台半ばの見込み。定期交換部品付きの年間保守料金は200万円を予定している。国内における販売目標台数は3年間で100台だ。
L-4033Aは商品に貼り付けるラベルを印刷するための産業用プリンタ。プリントエンジンは、同社独自のマイクロピエゾヘッドを15個並べた新開発のプリント機構「マイクロピエゾ・マルチプリント・ヘッド・アレイ」を採用する。
インクは新開発の水性顔料タイプ「SurePress AQ ink」を搭載。顔料粒子を皮膜化樹脂でコーティングすることにより、インクジェット用コート層がない印刷本紙にもダイレクトに高品位な印刷が行えるようにした。インク構成は、フォトブラック、マットブラック、イエロー、マゼンタ、シアン、オレンジ、グリーン、オーバープリントリキッドを用いて、広色域の印刷にも対応する。各色700ミリリットルのカートリッジを2本ずつ装着する仕組みだ。
用紙は80〜330ミリ幅のロール紙に対応し、上質紙やキャスト紙、アート紙などの紙メディアに加えて、合成紙やPETといったフィルムメディアにも直接印刷できる。印刷時に内蔵のプラテンヒーターで1次乾燥を行い、印刷後に乾燥炉で2次乾燥する「ヒートアシスト機構」によって、インクの定着性を向上し、トリートメント加工などの後処理を不要とした。
同日開催された製品発表会で登壇したセイコーエプソン 情報画像事業本部 副事業本部長の三村孝雄氏は、「これまでもエプソン独自のマイクロピエゾテクノロジーを生かしたLFP(大判プリンタ)で好評をいただいてきたが、今後は2015年に向けた長期ビジョンの一環として、商業・産業のあらゆる分野でラインアップを強化していく」と語る。
現在主流のアナログ印刷機によるラベル印刷工程は、刷版の交換や色調整、メンテナンスなどに時間がかかり、専門のオペレーターが必要なため、5000枚以下の小ロットラベル印刷は短納期、低コストで対応しにくいという。
これに対し、L-4033Aは既存のラベルプリンタと比較して導入コストとランニングコストが低く、DTPデータのダイレクト印刷なので製版作業が不要となり、アナログ印刷機のワークフローでは難しかった短納期で小ロットのラベル印刷を高品位に実現でき、環境負荷も低いのが強みとしている。
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