PC USER Pro

レノボのデスクトップPC「Lenovo H320」で“Core i3”を見直す(3/3 ページ)

» 2010年07月26日 17時00分 公開
[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

Core i3-540の意外な実力を知る

ベンチマークテストの結果 Lenovo H320
PCMark Vantage Build 1.0.2.0 PCMarks 6185
memories 4037
TV and Movies 4207
Gaming 5141
Music 7002
Communications 6315
Productivity 6076
HDD 4642
PCMark 05 Build 1.2.0 CPU 7642
Memory 6608
Graphics 4429
3DMark 06 Build 1.0.2 1280×768ドット、nonAA、nonAniso 2954
CINEBENCH R10 Rendering(Single) 3475
Rendering(Multiple) 8722
CINEBENCH R11.5 CPU 2.52
CrystalDiskMark3.0 read Seq 137.4
Read 512 45.85
Read 4 0.557
Read 4KQD32 0.693
Write Seq 133.2
Write 512 65.52
Write 4 1.335
Write 4KQD32 1.369
3DMarkVantage Professional 1125
Professional:GPU 871
Professional:CPU 8929
Entry 5893
Entry:GPU 5309
Entry:CPU 8796
StreetFighterIV Score 8651
AVERAGE 44.36
The Last Lemnant 25.6
FINAL FANTASY XI Offical Benchmark 3 LOW 8026
High 6293

 レノボのデスクトップPCラインアップでバリュークラスとなるLenovo H320だが、先ほども説明したように、下位モデルが搭載するCore i3-540でも動作クロックは上位ラインアップのIdeaCentre K320が搭載するCPUより高い。そして、3次キャッシュメモリを気にしなければ、同時処理スレッド数やサポートする機能も変わらない(かえって、AES-NIのサポートなど、上回る部分もある)。

 バリュークラス向けのClarkdaleという印象の強いCore i3シリーズだが、その性能は意外と高いように思える。そこで、PCレビューで定番のベンチマークテストを中心に性能を測定した。システム構成が異なるため参考記録となるが、CPUのレビューで測定したLynnfiled世代のCore i5とも結果値を比べてみたい(Lynnfield世代のCore i7-870とCore i5-750のベンチマークテストの詳細は「Nehalemの機能をメインストリームで──Core i7-870とCore i5-750の“突発”性能を楽しむ」を参照のこと)。

 測定したベンチマークテストは、システムの性能評価としてPCMark VantageにPCMark05、マルチスレッド処理性能に特化した性能評価としてCINEBENCH R11.5とCINEBENCH R10.5、そして、グラフィックス関連のテストとしては、3DMark Vantage(Entry設定とProfessional設定)、3DMark06(標準設定条件)、さらに、ゲームタイトルを使ったベンチマークテストには、「FINAL FANTASY XI Offical Benchmark 3」、「The Last Lemnant Benchmark」、「ストリートファイター IVベンチマークテスト」を行っている。

 PCMark Vantageの総合スコア「PCMarks」の結果は6185で、これは、Core i5-750の結果(Turbo Boost Technology有効時で5541)を上回り、Core i7-870でTurbo Boost Technologyをオフにした状態で測定した結果(5847)をも上回る。Core i7-870でTurbo Boost Technologyをオンにした状態でも結果は6396と、その差は200ポイントと1%に満たない。

 LynnfieldでサポートしないAES-NIが影響するCommunicationsになると、Core i7-870の結果(Turbo Boost Technology有効時で5773)も大幅に超える6315を出している。ただし、PCMark05のCPUテストでは、物理コアの数が大きく影響するため、クアッドコアのCore i5-750のTurbo Boost Technology無効時の結果である8426にも届かない。

 この傾向はCINEBENCH R10.5でも確認できる。動作クロックが影響するSingle Renderingでは、Turbo Boost Technologyを有効にしたCore i5-750(3451)とTurbo Boost Technologyを無効にしたCore i7-870(3145)を上回り、Turbo Boost Technologyを有効にしたCore i7-870(3843)に迫る結果を出すが、Multiple Renderingでは、Turbo Boost Technologyを無効にしたCore i5-750の結果(10665)にも遠く及ばない

意外な実力で高いコストパフォーマンスを発揮する「Lenovo H320」

 以上、Core i3-540を中心にLenovo H320の性能を検証してみたように、条件次第でその実力は、上位ラインアップのIdeaCentre K320に採用されるCore i7-870やCore i5-750に匹敵する。シングルスレッド対応のオフィスアプリケーションやゲーム、一部のトランスコードアプリケーションなど、ユーザーの利用場面によっては、非常に高いコストパフォーマンスを発揮できる。また、グラフィックスもGeForce 310を採用することで、CPUに統合されたIntel HD Graphicsを上回る性能と機能(Intel HD Graphicsのドライバではまだ十分に対応していないDirectX 10.1やCUDAによるGPUコンピューティング)を利用できる。

 スリムタワータイプのケースということで、拡張性やボディ内部のメンテナンス性は制約されるものの、標準構成で十分というユーザーや、エンコードなどのマルチスレッドが影響するアプリケーションのウエイトが高くないユーザーにとって、Lenovo H320のコストパフォーマンスは、今すぐ導入の是非を検討するに値するだろう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー