ASRockといえば「キワモノ!」という印象が強い、ある意味強烈なインパクトを持つマザーボードベンダーだ。ダイレクトに「変態だーっ」と呼ばれることも多いと聞くが、そのASRockの販売代理店として最近加わったマスタードシードが主催する「ASRock新製品お披露目会」が、カフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店(リナカフェ)で、9月18日に行われた。
こちらの記事でも紹介しているように、このところ、PCパーツショップでASRockのマザーボードが売り上げを増やしているという。「キワモノ!」「変態!」というイメージが強い、古参の自作PCユーザーには、にわかに信じがたいところであるが、最近のASRock、というか、ASRockの“中の人”たちは、いたってまじめにマザーボードを開発しており、そういう「まじめな」マザーボードが多くのユーザーに購入されて売り上げを伸ばしているそうだ。
このように、いろいろな意味で注目されるASRockのプライベートイベントということで、会場のリナカフェには、関係者の予想を大きく上回る来場者が集まり、13時30分開始予定だったセミナーセッションが予定をちょっとだけ繰り上げて始まるほどの盛況だった。
メインスピーカーは、マスタードシードの山田正太郎氏だが、ASRock台湾本社から来日した副社長のジェームス・リー氏とマーケティングマネージャーのチャールズ・リー氏も加わって、グローバル企業としてのASRockの紹介と、彼らが開発してきた新旧製品の解説を行った。
マーケティングマネージャーのリー氏は、ASRockが、グローバル市場におけるマザーボード出荷台数が、ASUS、GIGABYTEに続いて世界第3位であって、2009年は約700万枚だった出荷台数が2010年には900万枚になる見込みであるなど、日本の自作PCユーザーには“意外な”姿を紹介した。リー氏によると、ASRockの生産拠点は、マザーボードが中国の新センでFittecに生産を委託しており、ベアボーンなどのホームシアターPC関連は中国のソシュウにあるPegatronで行っているという。そのほか、ASRockの拠点は米ロサンゼルス、オランダ、ロシア、北京など世界中に展開している。
続いて、山田氏が「ASRock 革新的マザーボード開発史」を講義した。登場したのはすべて「世界初」となる機能を実装したASRockの歴史を飾る「革新的な」マザーボード8モデルで、「世界初というか、ASRock以外やらないというか」という山田氏の解説とともに、1枚1枚実物が紹介された。
リー氏は、このような「変態」(ASRock台湾本社のメンバーに対して、山田氏は“abnormal”と訳していた)マザーボードが登場した背景を解説した。リー氏によると、変態モデルすべてで共通のコンセプトは「少ないコストで新しいプラットフォームへ移行できる」ことにあったという。
これらの変態マザーボードが登場するのは、新しい規格が登場したときで、新規格に対応したCPUやメモリ、グラフィックスカードは総じて高価であるため、購入できるユーザーが少ない。そういうユーザーのために、古い規格に準拠した低価格なパーツも使えるマザーボードを開発した、というのが、ASRockが変態モデルを次々と登場させた「いたってまじめな理由」だそうだ。
となると、「もうすぐ、LGA1155が登場するとかしないとか。LGA1156とLGA1155が一緒に載った“変態さん”は登場しますかね」と聞いてみたところ。「むーん、考えてみたけれど、それは技術的に困難で、できなそうなんだ」との答えだった。
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